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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1538話:らしくないセリフ

「美少女精霊使い参上!」

「参上ぬ!」


 コケシを連れて塔の村の食堂に戻ってきた。

 ヴィル?

 クラッシャー精霊コケシがいるのにヴィルを連れてこないのは、何となく不安だから。


「まだエル達は戻ってなかったか」

「永遠に戻って来ないのかもしれません。地下の魔物は強いですから」

「うーん、そーゆーのはあんまりコケシらしくないね」

「参考までに、どういうセリフが私らしいでしょう?」

「地下の魔物は虐殺し甲斐がありますから、とか?」

「強く明るくサディスティックだぬ!」


 アハハと笑い、注文のハーブティーが来る頃にエルパーティーが帰ってきた。


「お帰りー」

「エル様、お帰りなさいませ」

「待たせちゃったかい?」

「いや、今来たとこだよ」

「ユーラシアさんらしくないセリフですね」

「ちなみにコケシ基準だと、どんなセリフがあたしらしいの?」

「待ってないよ二〇年くらいしか、なんてどうでしょうか?」

「どんな文句だ。二〇年も経ったら美少女が美魔女になってしまうわ」


 再びの笑い。


「ありがとうね。こっちはコケシ大活躍だったよ」


 戦闘面でお肉確保係だったり大石に刻まれた文字を解読したり。

 強力な魔除けに使える碧長石は大収穫だった。


「……とゆーわけで、あたしは欲しかった石を手に入れたのでした!」

「ユーラシアはおかしなものを欲しがるなあ」

「おかしくないんだって。今後のドーラの発展を支えるキーアイテムなんだって。コケシにも分け前あげるって言ったのに、いらないって」

「『て』が多いですね。石をもらっても仕方ないですから。私は彫文の写しが取れたので十分ですよ」

「おかしいな? コケシはもっと強欲なはずなのに」

「今日はクララとバーターでしょう?」

「だから大人しかったのか。コケシらしくもない。これあげるよ」


 鉄瓶をナップザックから取り出す。


「これは?」

「見ての通り、ハーブティーとか淹れる時に使う鉄瓶。以前お宝として手に入れたものなんだ。いいものには違いないんだけど、家で使うには大き過ぎてね。使い勝手がよろしくないから、死蔵状態になってたの」


 塔の村だと人数多いし、使う機会もあるんじゃないかな。

 食堂に預けてもいい。


「ふうん。重厚感あるし立派なものじゃないか。いいのかい?」

「もちろん。今回のトレードはあたしが頼んだものだから、何かお礼しなきゃとは思ってたんだ」

「しかしボク達もあまり使う機会がなさそうなんだが」

「いや、コケシなら有効活用するはず。鈍器として」

「何てことを言うんですか!」


 鉄瓶をぐるんぐるん振り回すコケシの姿が、容易に想像できるわ。

 あ、精霊は重いもの持たないんだったか?

 絵面がピッタリなのに。


「そっちはどうだったかな?」

「クララちゃんも大活躍だったよ」

「あの『アビゲイルホームラン』という技、見事でござった」

「えへへー」

「すごかったんよ? おいちゃんビックリ」

「『アビゲイルホームラン』使ってるとこ、あたし見たことないな?」


 『アビゲイルホームラン』は、ゼンさんに作ってもらったパワーカード『チャリオット』に付属しているバトルスキルだ。

 名前からしてエルフの族長アビーが組み立てたもの。

 魔法力を攻撃力に加算した状態で攻撃、必ずクリティカルになるとかいうひどい技だ。

 クララの魔法力は高いから、かなりの威力が出るだろうことはわかる。


「ワイバーンを一撃で倒したんだ」

「すごいじゃん」

「あれほどの技を使わせないってどうしてだ?」

「うーん、パーティーの戦闘スタイルの違いってのが一番大きいかな」


 うちのパーティーでは、あたしの『雑魚は往ね』が主力だ。

 ノーコストで、かつほぼ何が出ても一撃で全滅させることができるため、絶対的な火力ソースとなる。

 敵の攻撃を食らってクララの『乙女の祈り』でノーコスト回復して、最後にあたしの『雑魚は往ね』で仕留めるのが黄金パターンなんだよな。

 もっとも最近はクララの敏捷性が上がってしまってるので、敵の攻撃の前にクララの攻撃順が回っちゃうけど。


「魔法攻撃ならともかく、自分で殴りにいくなんて野蛮なこと、クララにはして欲しくないとゆーか。コケシのアイデンティティを脅かすようなことはしなくていいとゆーか」

「独特な理屈だなあ」

「逆を考えてみりゃわかるよ。回復魔法と治癒魔法しか唱えないコケシなんて、悪いもの食べたんじゃないかと思うでしょ?」


 メッチャ頷いとるやないけ。

 ニコニコするクララ。


「たまには物理攻撃もいいものだと思いました」

「そお? じゃあ、クララが勇姿を披露する機会を時々は作ろうか」


 どーもあたしは効率を重視し過ぎる傾向にあるっぽい。

 クララだってレベル上がってるんだから、物理で殴りたい時だってあるだろ。

 やりたいことはやらせてあげたい、保護者の気持ち。


 エルが声を低くして聞いてくる。


「……その後、母の行動はわからないか?」


 エルの母ちゃんで『アトラスの冒険者』トップの赤眼天使か。

 喋ってることが本当かウソかわかるっていうヤバ目の固有能力『ダウト』の持ち主だ。


「エンジェルさんなー。コンタクトがなくて。あたしも会えてないんだ」

「では仕方ないな」

「あたしも『アトラスの冒険者』関係で探りたいことあるから、撒き餌はしてたんだよ。でも獲物がいないと効果がなくてさ」

「わかります。ようくわかります」


 コケシにわかられても。

 あんたいつも何やってるんだよ?


「エルちゃんがこれ以上追われることはないずら?」

「ちょんまげ、あんたは語尾を統一しろ」


 ちょんまげは本当に正体がわからん。

 コケシに聞いとけばよかったな。


「エンジェルさん忙しいのか、今はこっちの世界に手を出す余裕がないみたいなんだ。でもいつまでもそのままとは限らないから、レベルは上げといてね」

「何故レベル?」

「レベルは大体何でも解決するから」


 あるとすれば、エルを力技で連れ戻そうとする展開だと思う。

 こっちに放っておかれる可能性も高いけどな。

 もし向こうが強引に何かをしようとするなら、レベルで対抗できるんじゃないか?

 向こうの世界は魔物がいないから、極端な高レベルの人もいないという話だった。

 でもテクノロジーはすごそうだから、安心はできないが……。


「じゃ、あたし達帰るね」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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