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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1518話:新聞記者トリオにお話

「美少女精霊使い参上!」

「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子!」


 施政館でお昼御飯をいただき、コージモさんとルーネを送ったあと、帝都の新聞社にやって来た。

 飛びついてきたヴィルをぎゅっとしてやる。

 いやあ、思ったよりも交渉が簡単に終わってよかったな。

 今後帝国とガリアの交流は活発になり、テテュス内海の商業活動は盛んになるだろ。


 新聞記者が興味津々だ。


「いかがでした?」

「やっぱ記者さん達施政館に行かなくて正解だったよ。お父ちゃん閣下ったら、破廉恥だ、この絵は誰にも見せていないだろうね? ってしっかりルーネに確認してたぞ?」

「あ、危なかった……」

「絵師を処刑してやりたいって。ドーラ人に帝国の法は及ばないぞって言ったったけど、新聞記者さん達には及ぶから注意ね」

「勘弁してくださいよ」


 アハハと笑い合う。


「コージモ外務大臣の用件は何だったのですか?」

「ちょっと面白いんだ。三日前にあたしが施政館に呼ばれたじゃん?」

「クンツ大将とツェーザル中将のいた日ですね?」

「うん。その時の話の続きなの」

「記事にしてもよろしいので?」

「記事にしてもいい展開になったんだ。最初から行くよ? テテュス内海の国際情勢に関わることだよ」


 首を捻る新聞記者達。


「テテュス内海……ギル通貨による交易圏ですよね?」

「天崇教国家アンヘルモーセンが牛耳っているのでしょう? 正直我が国にはあんまり関係ないというか……」

「帝都の一般市民は、案外無関心に近い感覚なのかな?」

「アンヘルモーセンに無関心というわけではないのですが」

「施政館は結構重視してたみたいだよ」

「何故でしょうか?」

「バカにできない大きな経済圏だからだと思う。タルガ植民地の浮沈もかかってる」


 主席執政官閣下はタルガへの思い入れもあるんだろうが、タルガの発展が辺境開拓地区開発に繋がると考えてるみたい。

 だからひょろ長いアーダルベルト国土大臣に直接指示を出したんだろう。


「アンヘルモーセンがテテュス内海を牛耳っているじゃん? ここで歴史的にガリアに近いというか従属国っぽいサラセニアに、アンヘルモーセンが進出してきているという事実がありまーす。帝国はどう思いますか?」

「……ガリア&サラセニアと、アンヘルモーセンとの間で紛争が起きる?」

「いや、ガリアの了解の下でサラセニアに進出していることも考えられますね」

「そうそう。どっちの可能性もあり得る。前者なら内海は荒れるし、後者なら内海におけるタルガひいては帝国の存在感が薄れちゃう。帝国にとっていいことないじゃん?」


 つまり施政館の思惑としては、できることなら介入して帝国有利の状況を引き寄せたい。

 しかしうまい取っ掛かりがなかった。


「……ということはツェーザル中将は?」

「タルガに派遣される。同時に新造の軍艦一艦が投入されて、内海に睨みを利かせるって」

「「「……」」」


 話が繋がってきました。

 あたしは解きほぐされる謎って結構好きだけど、記者トリオはどーだろ?


「……なるほど。戦争対策ですね?」

「逆に内海を緊張させてしまうかもしれませんね」

「新造艦も一艦だけだからね。タルガの防備と見る向きが多いんじゃないかな」


 ガリアの王様もそーゆー見解だった。


「ガリアの思惑はどうなんです? ユーラシアさんがコージモ外相を帝都に連れてきたのは、ガリアとの折衝の事情なんでしょう?」

「ガリアはガリアで、アンヘルモーセンは帝国と結んだからサラセニアにモーションかけるんか、許せんみたいなこと考えてたわけよ」

「ははあ、帝国ガリア双方がアンヘルモーセンの独走を深読みして?」

「奇妙な構図でしょ?」


 情報が足りない中の各国の動きは面白いと思った。

 勉強になったわ。

 国際関係は愉快で、情報はメッチャ大事。

 とゆーか信用があって情報握ってりゃ世界を動かせるな。


「あたしはお父ちゃん閣下に、ガリアの王様はどう思ってるのか探ってきてくれって言われたんだ。で、ルーネ連れて遊びに行って」

「誤解があるから、閣僚級の会談をセッティングしたんですね?」

「もうちょっと話は進んで、タルガ~サラセニア間で直接貿易しようねってことになってる」

「直接貿易、ですか?」


 わからないか。


「テテュス内海の貿易ってのはさ。今は一旦アンヘルモーセンにものを集めて、そこから再出荷するっていうってのが慣習みたいなんだ」

「何故です? かえって面倒な気はしますが」

「あたしも内海に詳しいわけじゃないから推測が入ってるけど」


 記者トリオに地図を見せる。


「地理的な位置が絶好なんだ。近場以外はどこからどう交易しようとしても、アンヘルモーセンを経由しようがしなかろうが、あんまり距離変わんない」

「本当ですね」

「直接取り引きしようと思うと、買い叩かれたり売り惜しんだりしそうじゃん? でもアンヘルモーセンに行けば何でも相場で買える相場で売れるとなれば、ものが集まっちゃうのはある意味当然」

「なるほど、いい仕組みですね」


 正常に働いてればね。


「ところがサラセニアは貿易制限をアンヘルモーセンにチラつかされてるんだって。で、サラセニアの親分ガリアの王様が怒っちゃって。そもそもアンヘルモーセンが生意気なのは、テテュス内海交易圏で独占的な力を持ち過ぎてるからだろうってことで、帝国とガリアが手を組むんだよ」

「つまり、アンヘルモーセンの力を削ぐということですね?」

「うん。アンヘルモーセンも何か対抗策を打ってくるかもしれない。でも帝国とガリア相手にガチバトルするほどバカじゃないよね? 最終的に内海交易は、アンヘルモーセン・タルガ・サラセニアの三極で回るんじゃないかなと、あたしは予想してる」


 帝国だってアンヘルモーセンの地位が低下すれば、相対的に存在感が増すんだから嬉しい。

 内海情勢に詳しい人の解説入れて肉付けしてね。


「これは記事にしていいんですよね?」

「むしろ帝国とガリアが組んだぞーってことが知れ渡った方が、帝国にとって都合のいい段階に入ったからね」


 アンヘルモーセンはどう動くか?

 別に動かなくても地理的優位性は変わんないんだから、フェアに商売やってればナンバーワンの地位は揺るがないと思うけどね。


「今日は帰るね。またねー」

「バイバイぬ!」


 おっと、ちょこれえと買わないと。

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