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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1342話:あたしのモチベーションを上げる

「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」


 ヴィルを肩車して『ケーニッヒバウム』にやってきた。

 帽子被せて肩車してりゃ、ヴィルを怪しむ人なんかいないわ。

 ヴィルもニコニコ愛想がいいしな。

 途中で記者トリオにもうまく合流できてラッキー。


「ユーラシア殿、いらっしゃい」

「いらっしゃいませ」

「あれ、ピット君大分商人っぽい笑顔になってきたじゃん。悪さが隠れてるだけで消えちゃいないけど」

「何てこと言うんですか!」


 アハハと笑い合う。

 成長が見られるってことだよ。


「今日はどうされましたかな?」

「帝国にはちょこれえとというスイーツがあると聞いたんだ。食べに来たの」

「ハハハ、そんなことでしたら。用意させますので食していってはいかがですかな?」

「いいの? ありがとう! ちょこれえとに関する、フーゴーさんにも知っててもらいたい情報があるんだ」

「何ですかな?」


 声を落として伝える。


「……ちょこれえとの材料カカオを産するラグランド植民地が蜂起する。二日後」

「「「「「!」」」」」


 一早く冷静さを取り戻したフーゴーさんが奥を指し示す。


「こちらへ」


 新聞記者トリオともども、事務室へ通される。

 フーゴーさんが内心を読ませない表情で聞いてくる。


「ユーラシア殿。ラグランドで蜂起とはどういうことですかな?」

「まず前提条件から」


 ソロモコの事情を一切合切説明する。

 ピット君からある程度情報聞いてるだろうし、艦隊の物資も納入してたんだから、かなりのことは知ってたんだろうが。


「艦隊が留守の内に反乱というわけですか?」

「ラグランド人はそーゆーつもりだったみたい。実際にはソロモコの件はとっとと片付いて、艦隊帰ってきてるけど」

「『アトラスの冒険者』はここまで世界情勢に関われるのですな。正直驚きですぞ」


 関わってるのあたしだけだけどな。

 多分おっぱいさんが、外国の大事になるクエストを意識的にあたしに回してくれてるから。

 新聞記者が聞いてくる。


「これソロモコは、ユーラシアさんから魔宝玉を得て和解が成立したでいいんですか?」

「いいわけないだろ。あたしはソロモコでは救世主の扱いなんだ。ソロモコから魔宝玉を獲得したって記事にしといてよ」

「了解です」

「ドミティウス様の機嫌が悪いという件は?」


 悪魔についてはさすがに。


「細かい事情は機密も含まれてるから言えないんだ。でも要するにソロモコ遠征をあたしに邪魔されて怒ってたけど、逐一説明して納得してもらったってことだよ。今は機嫌直った」

「ラグランド蜂起については、施政館は知っているのですか?」

「知ってる。とゆーか、半月くらい前にあたしが伝えたんだ。当時蜂起の日付けまではわかんなかったけど」

「……艦隊が出撃するよりかなり前ですな。にも拘らずソロモコ遠征は中止にならなかったのか。施政館の目論見が透けて見えますが……」


 確かにフーゴーさんの言う通り、ソロモコ遠征を中止する手はあった。

 でもあたしが報告した時点で、ラグランド蜂起が絶対に確かだって根拠はなかったはず。

 また軍事的成功の実績が欲しいとか、軍からの突き上げがあるとか、一旦決めたことを中止にしにくかったとか。

 色々理由があってのソロモコ遠征敢行だったんだろうが。


「ラグランド蜂起ともなると貿易が止まってしまいますな。カカオが入らなくなるとチョコレートを食べられなくなるから、今食べておくということですかな?」

「いや、どっちかというと自分のやる気を出すためかな」

「「「「「やる気?」」」」」


 皆が首かしげとるわ。

 個人的なことだもんな。


「ラグランド蜂起についてはたまたま知っただけで、あたし自身は関わる気なかったの。ところがソロモコクエストが終わった後、ラグランドクエストが出ちゃってさ」

「『アトラスの冒険者』のクエストでですな?」

「そうそう」

「ふむ、『アトラスの冒険者』のユーラシア殿と知り合えたのは幸運でしたぞ」


 普通じゃ知り得ない情報持ちという意味だろう。

 でもあたしだって、何でこんなにあちこち海外に行けるようになったのかわからんけどな?

 今まで捌けなかったクエストを、おっぱいさんが興味本位であたしに振ってるだけだと思う。

 ソロモコにしてもラグランドにしても、あたし自身の直接の収入には繋がらない。

 でも帝国での人脈を強固にするのにはメッチャ役立ってるから、すげえありがたいのだ。


「やる気とはいかなる?」

「ラグランドって、食料の足りないところだと聞いたよ。貿易止まると飢えて殺し合いになっちゃうらしいじゃん?」

「親帝国派と反帝国派に分裂して内乱に移行するということですか。可能性は高いでしょうな」


 フーゴーさんもパラキアスさんと同じ見解だな。

 ラグランドとしては、帝国に要求を通したいが、穀物輸出を止められるとえらいことになるという状況だ。


「帝国だってラグランドの特産品が入らないとつまらんでしょ? 施政館の立場から言うと、大衆の不満が高まりゃ政権の支持率が落ちちゃう。もっと言うと、次期皇帝を目指す主席執政官閣下に大ダメージ」

「ハハッ、ユーラシア殿の言う通りですな」

「帝国ラグランド双方ともに、なるべく早く穏便に収束させることが望ましいということですね?」

「つまりユーラシアさんの役割は?」

「施政館ともラグランド人の首脳とも話のできるあたしが仲介すれば、ラグランドの混乱はすぐ収まるかもってことだよ。でもここで大きな問題がある」

「何です?」


 場がやや緊張する。

 ヴィルをぎゅっとしてやる。


「今のままじゃあたしにやる気が出ないんだなー」

「ええ? 投げやりにも限度があるんじゃないですか?」

「責任があるでしょう!」

「帝国と植民地ラグランドの争いで、そもそもあたしは部外者なんだもん。責任なんかあるか。解決しても、あたしやドーラに得があるわけじゃないんだもん」


 呆れた顔すんな。

 偽らざる本音だぞ?

 ピット君が苦笑する。


「ある意味素晴らしい。商人の理屈ですよ」

「とゆーわけで、あたしのモチベーションを上げるのが、帝国とラグランドの安寧のための急務なのでした!」

「「「色々ひどいです!」」」

「ハハッ、よってチョコレートうんぬんという話に繋がるのですな。よろしい、今すぐ用意させますぞ」

「やたっ! フーゴーさん、ありがとう!」

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