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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1319話:対人形系スキル『ビートドール』

 フイィィーンシュパパパッ。


「やあ、チャーミングなユーラシアさん。いらっしゃい」

「ポロックさん、こんにちはー」

「こんにちはぬ!」


 昼食後にもう一度ラグランドへ行って、ツェーザル中将のアイデアを現地人首脳部に伝え。

 次いでパッフェルへプリンスルキウスとウルピウス殿下を迎えに行き。

 さらに魔境へ行ってのんびりしてからギルドにやって来たのだ。

 精力的に働くあたしに自分で満足。

 魔境はレジャーだから働いてるわけじゃないけど。


「ポーラは今日も来てるの?」

「中にいますよ」


 ギルド内部へ。

 ポロックさんの娘ポーラはどこだ、と。

 あれ? ラルフ君パーティーと一緒じゃん。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「師匠、こんにちは」

「こんにちはでつ!」

「ヒルデちゃんに振られたから、幼女にシフトチェンジ?」

「違います」


 ラルフ君にロリ属性はなかったか。

 まあピンクマンじゃあるまいし。


「何か今日は冷静だね? 『違いますよ! 自分と姫はラブラブです!』とか、セルフ暴露してくれればいいのに」


 冷静というより疲れてるっぽい?

 どうした?

 師匠のあたしは玩具の具合が心配だ。


「あれを見てください」


 えーとオリジナルスキル屋?

 いつものように見た目幼女魔道士ペペさんが寝ている。

 ここまでは想定内だが、『ラルク様、スキルできてます』という札がかかっている。


「名前違ってるじゃん。でも一字違いか。惜しかったね」

「惜しいも何も……いや、名前はいいんですけれども」

「いいんだ? じゃあ商品ができてるのに店主が寝てるのは許せないと?」

「許せないわけでもないですけれども」

「ラルフ君は心が広いな」


 寝てるペペさん相手にどう対応していいか迷い、ポーラを相手にしている内に疲れてしまったということか。

 ヴィルとぎゅーしているポーラを呼び打ち合わせ、と。


「……ということ。いいかな?」

「いいでつ」

「いいぬよ?」

「じゃ、行くよ? せーのっ!」

「「たのもう!」」「たのもうぬ!」

「ふあっ?」


 飛び起きる幼女魔道士。

 いつものギルドイベントだ。


「あっ、ユーラシアちゃん?」

「ペペさんおはよー。さすがにポーラと比べると年上に見えるなあ」

「ユーラシアちゃんのお子さん?」

「違うとゆーのに。受付のポロックさんの娘さんだよ」

「ぽーらともうしまつ。よろしくでつ」

「あら、しっかりしてるのね。よろしくね」


 ペペさんに比べれば大概の人類はしっかりしてる気がする。

 しかしペペさんの才能を人類が欲していることもまた事実だったりするのだ。

 つまりしっかりしてるかしてないかなんてどうでもいいという暴論。


「……ぎゅーしない?」

「しまつ!」

「するだぬ!」

「えっ?」


 何だかわかってないペペさんまで含めてぎゅー。

 ポーラもヴィルも嬉しそうでよかった。


「はあ、堪能しました」

「ペペさんにまで満足してもらえたか。実に有意義なイベントだったな」

「ところでユーラシアちゃん、どうしたの?」

「ラルフ君来てるんだ。スキルできてるって札がかかってたから」

「ああ、そうなのよ」

「ちなみにラル『ク』じゃなくて『フ』だからね」

「あら、ごめんなさい」

「いえいえ、どういたしまして」

「ラルフなんて名前を覚えてなくても、人生損しないと思うけど」

「できれば覚えていただけると嬉しいです」


 ラルフ君恨めしそーな顔するなよ。

 こうやって刷り込んどけば覚えてもらえるって。


「どんなスキルなん? この前言ってた対人形系用スキルかな?」

「そうなの! これ」


 何々『ビートドール』?

 スキル名はわかりやすいな。


「どういう効果ですか?」

「敵単体に少量の衝波属性ダメージを与えるバトルスキルよ。威力は攻撃力に比例で、レベル三〇くらいの前衛なら一撃で二〇前後のダメージを取れると思うわ。使用コストは『ファイアーボール』程度の属性攻撃魔法くらい。射程長めなので、中衛後衛でもポジション変えずに使えるの」

「すげえ、至れり尽くせりじゃん。汎用スキルなんだよね?」

「ええ。誰でも使えるわ」

「あら素敵! でもお高いんでしょう?」

「何と一五〇〇ゴールドなのでーす!」

「安過ぎるわ。六〇〇〇ゴールドにして」

「「「「「えっ?」」」」」


 驚いたような顔すんな。

 何が疑問なのだ。


「一五〇〇ゴールドって『経穴砕き』と同じじゃん。どう考えたっておかしいだろ」

「しかし『経穴砕き』と置き換えると考えれば……」

「スキルの値段が必要性と釣り合ってないんだよね。例えばこのスキルが二万ゴールドであっても、ラルフ君は買うでしょ?」

「買います」

「冒険者にとってはメッチャ価値があるスキルなんだよ。かといって冒険者以外に需要のあるスキルではない。いずれ汎用スキルは工房で生産したいんだ。でも利益が出ない数も出ないじゃ、作ってもらえなくなっちゃう」

「……なるほど、商売の観点から高くする必然性があると」

「ペペさんが趣味で誰かに作る専用のスキルはいいんだけどさ。商業ベースに乗せる汎用スキルは、お値段が安過ぎちゃ迷惑なんだわ」

「そうねえ。お値段についてはまたユーラシアちゃんに相談するわ」


 生産に関わる人が皆儲かる値段設定じゃないとよろしくない。

 逆に必要性が高くてメチャクチャ売れちゃう、『アクアクリエイト』みたいな生活系の魔法は安くしたいしな。

 またぼったくり価格では今度は冒険者文化が廃れ、魔物に対抗しづらくなっちゃう。

 今までのスキルの値段を参考に、比較して価値が上か下かで値付けすればいい。


「では『ビートドール』三本売ってくださいますか?」

「ごめんなさい! まだ一本しかできてないの」

「さっきも言ったように、いずれ汎用スキルは全てスキルスクロール生産工房で作ることにするからね。ペペさんには権利料を支払いまーす。オリジナルのスキルは小売価格の二〇%、そうでなくても原版書いてくれたやつは五%出そうと思ってるんだ」

「一枚書いただけで? 私お金持ちになっちゃう!」

「ペペさんみたいな天才がおゼゼに困るなんて間違っとるわ。あたしが許せん」


 経済的なことは考えず、新しいスキルの開発の方に頭使ってください。

 それがドーラと社会のためだ。


「あたしは帰るね」

「「「「「さようなら」」」」」


 ヴィルはもう少しポーラと遊んでいくらしいな。

 転移の玉を起動し帰宅する。

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