第1314話:ラグランド現地民側の首脳に会う
フイィィーンシュパパパッ。
「おお? ここに転送されるのか。こんにちはー」
「こんにちはぬ!」
うちの子達とともにラグランドへやって来た。
が、今日は集落の方へ転送されたのだ。
『カル帝国・山の集落』で魔物退治した後、転送先が集落になったのと同じパターンだな。
「ユーラシア殿、よくいらした!」
「「「「「「「「うおおおお!」」」」」」」」
「この子はうちの連絡係を務めている……」
「高位魔族のヴィル殿ですな? よく存じておりますぞ」
「よろしくお願いしますぬ!」
「「「「「「「「うおおおお!」」」」」」」」
こんな遠隔地の田舎村でヴィルまで知ってるのか。
どんな情報網だ。
大歓迎されてヴィルもすげえ嬉しそうだし。
一人のごつい男の人が進み出てくる。
見るからにひとかどの人物だ。
レベルや身のこなしからして軍人かな?
この人が都の関係者だろう。
「ユーラシア殿、お初にお目にかかる」
「こんにちはー。都の衛兵さんかな?」
「ジャブラニと申す。衛士長を拝命しておる」
言葉が固いけど、誠実で忠義心の篤い人と見た。
信頼できそう。
「ぜひ、都へ来て欲しいのだ。御同行いただけるだろうか?」
「もちろんだよ。早速行こうか。ジャブラニさんはウマで来たの?」
「む? うむ」
「ウマに会わせてくれる?」
「構わんが、何故だ?」
「ウマはあらかじめ言い聞かせておかないと驚いちゃうんだよ。暴れられると危ないから」
「何やらわからんがこっちだ」
栗毛の優しい目をしたウマだ。
可愛いなあ。
「今から足元不安定になるけど、ビックリしないように。いいかな?」
「ひひーん!」
「よしよし、いい子だね。じゃ、クララお願い。ジャブラニさんは道案内ね」
「はい、フライ!」
「飛行魔法か!」
「皆さんさいなら」
「バイバイぬ!」
集落を後にし、びゅーんと都へ。
◇
「ここが都のウォルビスだ」
「賑わってる町だねえ」
小屋と露店が延々と並ぶ。
メッチャ大きな町だなあ。
貧しいんだろうけど、ひょっとして人口は帝都並みにあるんじゃないの?
大きく平べったい建物のところに着地する。
「よーし、大人しくできた。いい子だったね」
「ひひーん!」
「ふむう。ウマと意思の疎通ができるのか?」
「ウマは賢いから、大体こっちの言うことわかってくれるよ」
「ウマが賢いのはその通りだが……」
唸るジャブラニさん。
何か納得できないことがあったかな?
あ、誰か来た。
「こんにちはー。衛兵さん?」
「だ、誰だ! 空から至るとは面妖な……ジャブラニ衛士長?」
「こちらはドーラの冒険者ユーラシア殿のパーティーだ」
驚く衛兵。
「ドーラのユーラシアって、勝利の女神として名高い、あの?」
「そうだ」
「ついに女神に昇格したぞ?」
「クエストでラグランドに現われたとのことで、迎えに行っていたのだ」
「そうでありましたか! 大変失礼いたしました! こちらへどうぞ!」
ラグランドでは扱いがいいなあ。
いつももっとあたしを崇めろって思ってるけど、こう持ち上げられると却ってむず痒いのは何でだろ?
大きな建物の中に案内される。
◇
「おいしいねえ。これは何なの?」
「ココナッツジュースですよ」
ココヤシの実の中に含まれる液か。
ソロモコにもあったけど、ココヤシは暑い地方では重要な植物なんだなあ。
ドーラじゃ育てるの難しいって話だったが。
あ、何人か入って来た。
察するにラグランド人の幹部っぽい?
「そちが有名なユーラシアか!」
ラグランド人らしい褐色の肌と、勝気さと好奇心を湛えた目が印象的な、見た目クララくらいの年齢の女の子だ。
「こんにちはー。あたしが有名なユーラシアだよ。よろしくね。にこっ」
「おお、噂に違わぬ面構え、気に入ったぞ!」
「自慢のプリティフェイスだよ」
なかなかもののわかる子じゃないか。
後ろの人達はあたしの笑顔にビクッとしてたけどな。
侍従らしき人が説明してくれる。
「こちらが古きラグランド王家の正統な血を引く唯一の王女、オードリー様にございます。手前が姫様の世話係を務めておりますセグ、近い方から衛士長ジャブラニ、魔法連の頭ヒャクダラ、内政担当のリリウオです」
「丁寧にありがとう。うちの子達はこちらから精霊のクララ、アトム、ダンテ。ふよふよ飛んでるのが悪魔のヴィルだよ」
「うむ、よう存じておる」
大きく頷くオードリー。
リリウオと呼ばれた細身の男が話しかけてくる。
「して、ユーラシア殿はいかなる用件でラグランドへまいられましたかな?」
「あたしが『アトラスの冒険者』だってことは知ってるんだよね? 昨日ラグランドへ来られるクエストが出たんだ。こっちで困りごとがあるから助けろってことみたいだけど」
いや、蜂起を起こすことは知っている。
困りごとが何かなんてわかり切ってるけど、どう説明するか、あるいはしないのかは興味あるじゃないか。
オードリー、セグ、ヒャクダラが期待の表情を見せるが、リリウオは眉間にしわを寄せる。
衛士長ジャブラニは目を閉じていて、何考えてるんだかわからんな。
……突っ込んでみるか。
「ラグランドは今月の半ばに蜂起するという情報が入っているけど?」
皆の動きがピタッと止まる。
あ、ヴィルがクララのところ行った。
「……姫様、信用してもよろしいのでは?」
「ドーラ人は敵じゃないぜ? 憎っくき帝国に一矢報いる絶好の機会だ!」
「う、うむ、確かにの……」
「待たれよ。ユーラシア殿は帝国政府とも近いという情報が入っているではないか」
「あんたらそれ、反乱起こすのは本当だよ。あたしにも話しとく? やめとく? って言ってるのと同じだからな?」
揃ってばつが悪そうな顔になる面々。
大丈夫かこいつら。
正直過ぎやしませんかね?
「あたしはドーラの利益のために動いてるんだ」
「うむ、知っておる。そちは空飛ぶ軍艦を落としたとか」
「飛空艇はドーラ戦に投入されて、高々度から爆撃してくる予定だったんだ。飛空艇の参戦を許すと人死にが増えちゃう。どえらい迷惑じゃん?」
頷く面々。
「一方で独立後は帝国と仲良くしてるんだ」
「何故じゃ? 悪しき帝国と懇意にするなどもっての外じゃろう?」
「ドーラにとってメリットがあるからだよ。ドーラは広いけど、人口少ないし経済規模も小さいじゃん? 発展させるためには帝国との貿易、帝国からの移民導入が不可欠なんだよね」




