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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1261話:何とエルマが?

「おーい、ヘルムート君! ベンジャミンさんが仲間になってくれるって」


 集まっていた顔役の皆さん達も一様にホッとした面持ちだ。

 ベンジャミンさんの影響力強いなあ。


「ベンジャミン様が指揮してくれれば安心だ。なあ?」

「ああ。実績が違わあ」


 ヘルムート君も心得たもので、ベンジャミンさんの手をがしっと握る。


「音に聞こえたベンジャミン・ホープ殿が手を貸してくれるなら百人力です」

「は、こちらこそ微力を尽くします」


 ベンジャミンさんの顔赤くなってるじゃねーか。

 気が高ぶってるのがわかるよ。

 ヘルムート君はなかなか雰囲気のある男だからね。

 少なくともやらかし元男爵よりは、仕え甲斐があると思うよ。


「ベンジャミン殿、これがユーラシア殿にもらったガータンの旧臣リストなのだ」

「ほう、さすがにマテウス君が作成しただけある。大したものだ」

「とりあえずベンジャミンさんの欲しがる人を先に雇ってもらえばいいんじゃないの?」

「うむ、そうしよう」


 人間なんて実際に会ってみないと正体がわからん。

 人事はベンジャミンさんに丸投げするのが、どう考えたって一番早いわ。

 春の植えつけ時期が始まっちゃうからモタモタしてらんない。


「今日は帰るけど、明日も来るね。近場の山賊捕まえよう」

「簡単に捕らえると言うが……」

「よろしく頼むぞ」

「じゃねー」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 うちの子達とともにギルドにとうちゃーく。


「やあ、いらっしゃい。ユーラシアさんは今日もチャーミングだね」

「こんにちは、ポロックさん。あたしはいつもチャーミングだよ」


 アハハと笑いながらギルド内部へ。


「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子!」


 三分前にガータンで別れたばかりのヴィルが飛びついてくる。

 あんたは可愛いのう。

 依頼受付所へ。


「サクラさーん、お金下ろしに来た!」

「おいくらでしょう?」

「五〇万ゴールドは下ろせるんだっけ? 下ろせないんだっけ?」

「事前予約なしで下ろせる上限金額ですよ」

「じゃ、五〇万ゴールドお願い」


 すぐさま用意してくれるおっぱいさん。

 ……ふむ、オニオンさんとの婚約決まったからか嬉しそうだね。

 ほとんど態度に出さないけど、ヴィルがピッタリ寄り添っている。

 幸せそうで何よりニヤニヤ。


「結構な金額ですが、何にお使いになるのか伺ってもよろしいですか?」

「帝国で黒妖石っていう、転移石碑にできる石がたくさんある場所見つけたんだ。でも現地では農具を傷める厄介物って扱いなんだよね。土に硬い石が多くて農地にできないって悩みを抱えているの。あたしが投資して黒妖石を掘り出す専用の道具を作って貸し出すでしょ? 代わりに黒妖石をもらってくる」

「そういうことでしたか」

「サクラさん、じゃーねー」


 あれ? ヴィルがおっぱいさんから離れないな。

 まあいいや、昼御飯昼御飯と。

 食堂へ。


「珍しいね。一人?」

「あっ、お姉さま! こんにちは」


 エルマがお昼を食べてた。

 あたしも注文してこよ。


「昼にギルドで会うの初めてのような気がする」

「わたしはお家で食べることが多いんです」


 エルマは御飯を家族で食べる習慣だったか。


「今日はどうしたの?」

「父が開拓地のお手伝いに行ってるんです。母と弟も向こうでお弁当とのことで」

「水路も随分長くなったよねえ」

「計画されてる太い水路は、今年中にはほぼ完成できるだろうという話ですね」


 最終的に水路は灰の民の村近辺まで延長の予定だ。

 完成するとアルハーン平原のクー川以西はどこでも住みやすくなるな。

 もっともバラバラに住まれても面倒なんで、ある程度計画して居住区と畑とその他を区画していくんだろうが。


「お姉さまは今、どんな活動をしてらっしゃるのですか?」

「最近は帝国へよく行ってるんだ。ドーラのお得意様だから、あたし達に都合のいい国になって欲しいじゃん? ところがもう数日で戦争始めそうでさ。それを止めることが、目下の石板クエストの内容なんだよね」

「大変ですねえ」

「あと有力者に食い込もうと思って、あちこちちょっかいかけてる」

「……も」

「え?」

「わたしもお姉さまのような冒険者になりたいのです!」


 エルマは以前もそんなこと言ってたな。

 身近にいる憧れのお姉さまが眩し過ぎるから仕方ないけれども。


「あたしは好き勝手やってるだけだぞ? 冒険者とパワーカード職人を両立してるエルマは大したもんだと思うけど」

「お姉さまはわたしにどうなって欲しいとかありますか?」

「パワーカードの職人増やして欲しいんだよね。帝国にどんどん売れちゃいそうだし」

「わたしはドラゴンスレイヤーになりたいのです!」

「おお?」


 エルマがドラゴンスレイヤー?

 あんまり魔物には興味なかったんじゃないのかな?

 どんな心境の変化があったんだろ?


「わたしも冒険者寄りのパワーカード職人としてやっていきたいのです。となると実績があるのとないのとでは大違いですから」

「ふむふむ、確かに説得力には実績が必要だね」

「お姉さまのような特別な方じゃなく、わたしのような平凡な子でもドラゴンスレイヤーになれるとなれば、パワーカードの需要は大きくなると思うんです」


 『大器晩成』持ちのエルマは全然平凡じゃないと思うけど。

 それはさておき、エルマの言い分はわかった。


「エルマは今レベルいくつなんだっけ?」

「六二です」

「『大器晩成』で覚えた以外のスキルは、何がある?」

「いえ、特に習得していないです」


 一ターン目『反撃の防御』か『勇者の旋律』で攻撃力を上げておけば、使用者の攻撃力と魔法力を一時的に高める『セルフプロデュース』は必要ない。

 回復手段として『ハイヒール』を持たなくとも、『ドレインアタック』とヒットポイント自動回復があれば十分という判断か。

 正直ソロならもう少しレベルは欲しいが、パワーカードで弱点を突くなら普通に勝てそう。


「アイスドラゴン相手なら勝てると思うんです」

「あたしもそう思う」

「でも勇気が出なくて……」

「よし、あたしが見届け人になってやろう」

「ありがとうございます!」


 大喜びのエルマ。


「じゃ、昼御飯をやっつけたら魔境行こうか」

「はい!」


 エルマは『煙玉』使えるから、逃げるのも問題ないしな。

 オニオンさんと相談してからドラゴン退冶だ!

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