第1236話:魔王と共闘できるぞ!
「あ、ペペさんいるな」
「たのもうするぬか?」
「あとでね」
依頼受付所から中に入ってきた。
ペペさんにスクロール紙を見てもらいたいが、ソル君の話を聞くのが先だ。
食堂へ。
「おーい、ソル君達!」
「「「ユーラシアさん!」」」
「この美少女精霊使いを待ち焦がれていたと聞いたよ。ソル君にはアンセリがいるのに、もー気が多いんだから」
「気が多いんだぬ!」
アハハと笑い合う。
「で、何の用だったかな? 魔王のクエストに関してだと嬉しいな」
「御希望通りなんですよ」
「魔物退治で魔王が配下の悪魔に召集かけてるってウシ子に聞いた。魔王の手に余るほどの魔物なんだ?」
「ブラックデモンズドラゴンなんです」
「ブラックデモンズドラゴンかー。なるほどな」
古代竜に次ぐ強さを誇る災害級のドラゴンだという。
強いは強いけど、向こうに攻撃ターンやらなきゃ特に問題はない。
うちのパーティーが助っ人に入れば楽勝だな。
しかしソル君が深刻そうに言う。
「ブラックデモンズドラゴンが五体の群れで現れたということなんです」
「えっ? 五体を一回の戦闘で倒さなきゃいけないってこと?」
「はい」
五体の群れはムリだろ。
あたしの今のレベルなら『雑魚は往ね』で一掃できるけど、溜め技だから向こうの攻撃を食らわなきゃいけない。
ファイアードラゴンですら五体もいたらかなりの脅威だったんだが。
アンセリが言う。
「魔王島にブラックデモンズドラゴンが五体出現した。目障りで危険なので駆除したい、協力してくれというクエスト内容だったんだ」
「五体もいたら困っちゃうわなあ。でも魔王と共闘って熱いね。あたしそーゆーの好き」
「しかし一体ならともかく、ブラックデモンズドラゴン五体の群れともなると、危険過ぎてどうしようかという話になっていまして」
「ごもっとも。魔王は何と言ってるの?」
「ゾラスを除く配下の高位魔族を全員動員し、オレにも協力を求めると」
数で勝負するつもりだったのか。
わからんでもない、とゆーか正攻法ではあるんだろうけど。
「いいなあ。ソル君のところには勇者っぽいクエストが行くのに、何であたしんところには聖女っぽいクエストが来ないんだろ?」
「芸人っぽいクエストが回されるからだぬ!」
大笑い。
しかし魔王配下の高位魔族ったって、せいぜいレベル四〇~六〇くらいなんじゃないの?
ブラックデモンズドラゴン五体相手じゃほとんど戦力にならないぞ?
てか死ぬぞ?
「ユーラシアさんにも協力してもらいたいんですよ」
「そんな面白いことに一枚噛ませてくれるのか。もちろんいいよ」
魔王や配下の悪魔とも面識ができるなあ。
いろんな悪魔に会ってみたいと思ってたところだから嬉しい。
「具体的な戦略としてはどう考えてるの? ブラックデモンズドラゴンってどんな攻撃してくるんだろ?」
「ユーラシアさんはブラックデモンズドラゴンと戦ったことあるんでしたっけ?」
「あるけど攻撃食らう前に片付けちゃってるから」
尊敬されちゃってるな、おい。
「爪による攻撃と『闇のブレス』だそうです」
「レッドドラゴンみたいにこっちのステータス下げてくる攻撃がないのは助かるな。だけど……」
爪による攻撃は何とかなるとしても、全体攻撃の『闇のブレス』がヤバい。
ブラックデモンズドラゴン五体に『闇のブレス』吐かれちゃ、攻撃する隙がないだろ。
一ターン耐えれれば『雑魚は往ね』で倒せるが?
闇属性攻撃を軽減する手段を用意しないと。
「五体はどう考えてもキツいな。せめて二体三体に分けられればいいんだけど」
「岩地の奥まった場所らしいので、難しいと聞いています」
「挑発しておびき出せれば……いや、現地を見て魔王と話すのが先だな。いつだといいのかな?」
「逆にユーラシアさんの都合のいい日はいつですか?」
明日が肉狩りで開拓地に運ぶ日、明後日が公爵領に行く予定だから……。
「三日後か四日後だと嬉しいな」
「では三日後の朝、ギルドで待ち合わせしましょうか」
「オーケー」
アンが聞いてくる。
「ユーラシアさんは闇耐性装備に心当たりがあるのか?」
「『闇払い』っていう闇耐性三〇%のパワーカードがあるんだ。塔の村で売ってるから買ってくる」
ソル君が考えながら言う。
「魔王が闇耐性の装備を持ってないんですよ。申し訳ないですけれど、魔王の分も買ってきていただけませんか? 支払いはオレがするので」
「わかった。いいよ、あたしが払っとく」
パワーカードなら悪魔でも装備できる。
魔王とは仲良くしておきたいから、パワーカードくらいプレゼントしてやんよ。
ソロモコ事情も聞きたいし、ウシ子が参戦しないことも許してもらわないといけないしな。
「では、お願いします」
「ユーラシアさんはこれからどうするんですか?」
「ペペさん起こすよ」
ソル君パーティー皆興味あるみたいだな。
内緒話モード発動。
「帝国に輸出してる『アクアクリエイト』のスキルスクロールを、今バエちゃんの世界に外注して作ってもらってるんだ」
「サクラさんに聞きました。ビックリしましたよ」
「まーでも異世界に頼むのは苦肉の策なんだよね。ドーラで大量生産すると実入りが大きくなるじゃん? スクロール用の紙を試験的に作ってもらったから、ペペさんの感想とか要望も聞きたいんだよ。一応、塔の村のデス爺は合格くれてるんだけどさ」
「これ内緒話なのは、イシンバエワさんの世界がこちらと異なるということを知られるのを防ぐためですか?」
「うん。あたしはオープンでもいいと思うんだけど、向こうの世界はそれじゃ都合が悪いみたいだよ。バエちゃんやシスター・テレサは諦めちゃってて、あたしには普通に世界が違うって認識で話してくれるから、向こうに外注出すってこともできるんだ。でもバレると中止になりそうじゃん? 注文受けてくれなくなるとお得意さんの帝国にも迷惑がかかるし、ドーラの信用がなくなっちゃう。ドーラでスキルスクロールを量産できる体制を整えとかないといけない」
「ユーラシアさんは、商売の話をしてる方が生き生きとしてるな」
「生き生きとしてるんだぬ!」
アハハと笑い合う。
商売そのものよりも、道筋を作るということが楽しいのだ。
「じゃ、三日後ね」
「バイバイぬ!」
「「「さようなら」」」
食堂を後にし、お店ゾーンへ。




