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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1229話:知らないよ

「サイナスさん、こんばんはー」

『ああ、こんばんは』


 毎晩恒例のヴィル通信だ。


「今日雨だったじゃん? 動いてない割に、昼ゼムリヤで、夜海の王国で御馳走だったんだ。大変結構でした。太っちゃうかな?」

『知らないよ』

「どうせなら胸にお肉がつくといいと思わない?」

『知らないよ』

「右のおっぱいがゼムリヤで、左のおっぱいが海の王国。逆かな?」

『知らないよ』

「ええ? つれないなー」


 サイナスさんはおっぱいにあんまり興味ないんだろうか?


『今日はゼムリヤか。雨降ってたからか?』

「まあそうだね。雨が降ってもやることがあるのは、ごまんとあるあたしの長所。違った、『アトラスの冒険者』のいいところ」

『今日のユーラシアは欲しがり過ぎじゃないか?』

「我が儘なのは自覚しとるわ。常に欲しがるわ」


 アハハと笑い合う。


「今日はドーラどこも雨だったみたいだから、大人しくしてた」

『大人しく?』


 疑問符がついてるじゃねーか。

 あたしは大人しくとゆーよりも、お淑やかの方がキャラに合ってるからかな?


「ゼムリヤはこの前魔物を間引くって話あったじゃん? 数日でお礼用意してくれるって言ってたんで、取りに行ってたんだよ」

『なるほど?』

「何でまだ疑問符なのよ?」

『君のトラ……主人公体質を理解してるからだな』

「サイナスさんはすごいなー」


 トラブルメーカー言おうとしてたけど。


『ということは何かあったんだな?』

「ってほどでもないけど、ちょっとしたイベントとゆーことなら」

『ユーラシアの言うちょっとしたイベントって、どの程度のことだろう?』


 事後のことで期待されても困っちゃうんだが。

 ゼムリヤの北に位置する王国との貿易交渉に参加してどうのこうの。


『ガリアか。大国だろう?』

「地図で見る限りは大きな国だね。でも人口は三〇〇万人くらいって言ってた。帝国の何分の一かだわ」

『ドーラよりは遥かに大きい』

「まあねえ。寒くて農産物の生産量に限りがあるみたいだよ? 小麦をゼムリヤからの輸入に頼ってるっぽい」

『そういう話してる時のユーラシアは生き生きしてるなあ』

「ドーラの女の子の中では、世界情勢に関わるのが大ブームだぞ? って言ったら、即座にウソだと見抜かれたな。何でだろ?」

『信用度の問題じゃないか?』

「だったら盲目的に信じるはずでしょ?」

『冗談がなければな』

「冗談が余計だったかー。冗談のあるなしはあたしの存在意義に関わるしなー」


 エンターテインメントが信用を落としていたのか。

 でも譲れない部分だしな?


「基本的にドーラは農業国だと思うんだよね」


 何たって耕作に適した土地の面積が広い。


『というか農業しかやれることがないだろう。金もない、技術もない』

「悲しいねえ。でも魔物さえいなけりゃ、レイノスから塔の村にいたるまでの広大な面積が居住可耕作可のエリアにできるよ」

『確かにな』

「魔物の駆逐が可能なら、アルハーン平原に偏ることなく、西域も開発できるのにな」

『西域は平野じゃないだろう? 起伏があるから、アルハーン平原ほどの人口は支えられないぞ?』


 そんなことはわかってるけど。


「魔物の駆逐ってゆー考え方も良し悪しじゃん? 角ウサギやマッドオーロックスみたいな、おいしい魔物がいなくなっても困っちゃう」

『おいしい家畜を飼えばいいよ』

「マッドオーロックスって食べでのあるサイズなんだよなー。家畜化できないものか」

『おーい、どんどん話がずれていくぞ?』

「何の話だったっけ? あたしの美貌を賛美する話だっけ?」

『元々そんな話はしてないよ』

「これからだったかー」


 あたしが美のカリスマなのは否定しようのない事実だから置いとくとして。


「農業国の話に戻すけど、農産物を輸出したいと思うとどうしても距離がネックじゃん?」

『帝国も農業国だからな?』

「ドーラとは気候が違うから、差別化はできるでしょ」

『距離はどうにもならないだろう? それこそ……』

「うん。転移術使わないとどうにもならない」

『……転移術を世界に普及させることを考えてるのか?』

「まー考えるだけはタダだから」


 今のままだと、デス爺が亡くなると転移術を受け継ぐものはいないので忘れられてしまうだろう。

 デス爺の転移先まで見えちゃうっていうレアな固有能力がないと、アレクが言ったように危なくて研究が進まない。

 しかし帝国ならどうか?

 魔道を研究するしっかりした組織がある。

 人口も多いから、虱潰しに探していけば目的の固有能力持ちも見つかるんじゃないか?

 デス爺の基礎研究さえあれば、おそらく帝国で転移術は完成する。


「うまく使えば世界を飛躍的に発展させることができるんだけどねえ」

『軍事技術に応用される未来が、容易に見えてしまうところに難ありだな』

「サイナスさんも思うか。どうして帝国は戦争しようと考えるのかな?」

『君だって『世界を我が手に』とか言うじゃないか』

「言うけど、あたしは争いたいわけじゃないんだもん。美少女の腕に抱かれる世界と戦争だらけの世界は違うわ」


 あたしの究極の目標は世界征服だ。

 『アトラスの冒険者』になる前から冗談交じりでクララには話している。

 皆がおいしいものを腹一杯食べられる世界を作れたら、戦争なんかなくなるんじゃないか?


「口先で丸め込んで世界征服したい」

『ハハハ、頑張れよ』


 本気なのに流されたぞ?


「ところで移民って、今日そっちに到着したの?」

『いや、来なかったな。明日になるんじゃないか?』

「雨中ムリヤリ進んで、体調崩すとよくないもんねえ」

『君はこっちに来てくれるのか?』

「あたしって言うか、お肉が移民に必要ってことでしょ? 明後日の午前中なら大丈夫かな。二〇トンくらいクララに運んでもらうよ」

『よろしく頼む。明日はセレシア族長を連れて帝都に行くんだったか?』

「うん。ついでに帝国施政館に寄って、第二皇子にラグランド蜂起について話してくる」

『随分と重要なついでだなあ』

「世界平和に関わるついでなんだよ」


 アハハと笑い合う。

 スケールの大きい話は大好きだ。

 ボーナス出ないところは玉に瑕だが。


「今日そんなとこだよ。サイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『了解だぬ!』


 明日は帝都におでかけだ。

 まずディオ君に会ってこないと。

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