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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1224話:世界情勢に関わるのが大ブーム

 ヒゲピンがおずおずといった感じで聞いてくる。


「ソロモコにしてもラグランドにしても、世界情勢を左右する事柄ではないか。その方はいつもこんなことばかりしているのか?」

「ドーラの女の子の中では、世界情勢に関わるのが大ブームだぞ?」

「ウソだ! 信じられるか!」


 アハハと笑い合う。

 まあガリアとの交渉は楽しかった。

 ソロモコやラグランドについて知ってもらって、今後帝国政府が打ちそうな手についてアドバイスをもらった。

 今日のあたしのやるべきことは終了だな。


 メルヒオールさんがしみじみと言う。


「『アトラスの冒険者』か。どうも聞き知っていたものとは別物のようだ。魔物退治やアイテム採取がメインになるのだと思っていたが」

「いや、その理解で合ってるんだけど、あたしんとこへは何故かややこしいクエスト回されるんだよね。でもそのおかげでじっちゃんやおっちゃんと知り合えたからいいんだ」

「ほう、興味があるな。どんなクエストがあるんだ?」

「一番最初はごく普通のやつだよ。スライム五匹倒しなさいってやつ。でも戦闘の心得がないから大変だったなー。『アトラスの冒険者』もねえ、最初魔物が倒せなくて脱落しちゃう人多いの」

「今のユーラシアを見てると信じられんがな」

「じっちゃんなら理解できると思うけど、レベル一の人間が武器だけ渡されて魔物倒せっていうのは、相当ムリがあると思う」

「指南する者がいないのか?」

「あたしが冒険者になった以前はいなかった。最近は先輩が助けるようになったから初期で脱落はしないけど」


 あたしの時も助けてもらいたかったわ。

 とゆーか情報が欲しかったな。

 今情報や意見が欲しくてあちこち聞いて回るのは、当時の経験からかもしれない。


「最初を切り抜ければまずまず順調だったよ。精霊関係のクエストで仲間が増えて、悪魔と聖火教のクエストでヴィルがうちの子になったな。ターニングポイントになったのは魔境のクエストだよ」

「魔境か……」

「ドーラではレベル三〇超えると上級冒険者扱いなんだよね。上級冒険者になると魔境行けるようになるっぽい」

「ど、ドラゴンがいるのであろう?」

「いるいる。何か失礼なことしてきたやつにドラゴンのエサにするぞーって言うのは、あたしの定番のギャグだよ」


 本当だぞ?

 呆れるのか恐れるのかどっちかにしなよ。


「高級魔宝玉を可能な限り持ってこいってクエストをもらって。こなしてる内に、どんどんレベルが上がって大金持ちになったよ」

「ハハッ、人形系の魔物か」

「うん。でもおゼゼは移民対策に使ったからなくなっちゃった」


 頷くメルヒオールさん。


「リリーと知り合ったのは、『遭難皇女:至急』ってクエストだったんだ。魔物が住んでる遺跡の跡に落ちた、助けろってやつだったけど、リリーは中で焚き火して寝てたわ。心配いらなかった」

「ハハハ」

「あっ、バアルのクエストも面白かったな。高価な美術品とか珍しいアイテムとか、一杯貢いでくれたの」

「貢いだわけではないのである。欲と危険を天秤にかけた罠である!」

「全部かっぱいだ」

「根こそぎ持っていかれたである!」

「その美術品は、将来バアル美術館作って展示しようと思ってるんだ」

「「バアル美術館?」」


 メルヒオールさんもヒゲピンもおわかりでないようだ。


「旅行者が来ておゼゼを落としてくれる観光施設がドーラに欲しいんだよね。その一つとして考えてるの。入場者がバアルに感謝してくれれば、バアルだって悪さしなくても良質の負力を得られるじゃん?」

「光栄である!」


 当面は難しい。

 ドーラには箱物を作ってる金銭的余裕がないから。

 そしてドーラを見てみたいという人は、興味が魔物や産物にあるんだよな。

 観光しようとする機運すらない。

 まだまだ先は長いわ。


「あとは亜人の集落とか外国のクエストも多いな。あちこちと仲良くしてるから、その内ゼムリヤにも魚人の王国のお酒とか入ると思うよ」

「酒か。楽しみだな」


 メルヒオールさんが表情を引き締め、ヒゲピンに言う。


「ザムエル。年齢で侮ってはならん。ユーラシアの場数を理解したか?」

「はい、心から」

「お主とは背負うべき運命が異なる。比較しなくてもいい。自らの正道を行け。精進を怠るなよ」

「はっ!」


 ヒゲピンに悟らせる意図だったの?

 面白話が聞きたいんじゃなくて?

 あたしが恥ずかしいわ。


「ヒゲのおっちゃんもまあまあやるなあと、今日思ったよ。ガリアの大臣さん相手に臆するところなかったし」

「主よ。ヒゲの者は凡庸であるぞ?」

「おいこらバアル。本人目の前にして凡庸とかゆーな」


 ヒゲピンが笑う。


「ハハッ、オレが凡庸なのはよくわかった。自分の器を越えた水は入れられないこともな」

「吾が主は底抜けである。いくらでも入るのか入ってないのかわからぬである」

「おいこらバアル。本人目の前にして好き勝手ゆーな」


 大笑い。

 自分の分をわきまえていれば、大間違いはしないよ。

 あたし? わきまえてないことないわ。

 こう見えて慎重派だわ。

 

「ところで、この前の魔物退治の礼を用意させているのだ。見ていってくれ」

「いいの? 楽しみだなあ」


 おお、随分と一杯用意してくれたんだな。

 中でも珍妙なものが……。


「何これ?」


 大きさの違う二つの団子をくっつけたような形の実がある。

 ついつい目が行ってしまうユーモラスさ。

 どことなくセクシーな感じもする。


「おいしいの?」

「食べるものではないのだ。ほら」


 加工して水筒のように使えるそーな。

 へー、変なの。


「ヒョウタンというウリの一種だ。残念ながら食べると腹を壊すが、形が愉快だろう?」

「面白いねえ。いつまでも見ていたい感じがする」

「導入する気になったら、加工の仕方も教えてやろう」

「ありがとう!」


 加工する前提の実か。

 変わったものがあるなあ。

 あとは小麦大麦じゃない麦が何種類かとソバ、ビート、シーアスパラガス、サトウカエデなどなど。

 魚の加工品もいくつかある。

 あ、作り方も書いてあるじゃん。

 ドーラは魚の食べ方については遅れてるから、こういうのを導入できると嬉しいな。


「そろそろ飯にするか。大臣殿一行にも供するつもりだったのだが、喜び勇んでお帰りになったからな。残ってしまうから、たくさん食べていってくれ」

「やたっ! いただきまーす!」

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