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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1205話:セレシアさんのファッションを見てもらう

「ユーラシアさん!」

「今日は可愛らしい男の子と御一緒ですね。密会ですか逢引きですかスキャンダルですか?」


 新聞記者ズ登場。

 今日は登場が遅かったな。

 イシュトバーンさんがいないから?

 ピット君が不快感を覚えたようだけど、顔には出さないね。


「記者さん達は仕事熱心だねえ。彼はピット君。帝都メルエルの大店『ケーニッヒバウム』の店主フーゴーさんのお孫さんだよ」

「「よろしくお願いします」」

「こちらこそ」


 うむ、さすがにピット君は如才ない。

 あれだけ失礼なファーストコンタクトなのに、軽く流している。

 商売と新聞は相性がいいから積極的に活用するといいんだが、『ケーニッヒバウム』ほどの大店になると放っといてもお客さん来るからなあ。

 何でも売ってる商法って結構すごい。


「今日はピット君をドーラのあちこちに案内するつもりなんだ。まずセレシアさんの服屋を見てこようと思う」

「あのファッションは変わってますものね」

「帝国にないものだから、ピット君も興味あるみたい」

「なるほど、ピットさんはドーラの産物が目当てですか?」

「魅力的ですね。ドーラについては知らないことが多いですから、今日は楽しみなのです」

「フーゴーさんのニュアンスだと、ドーラの産物どうこうって言うより、滅多にできない体験してこいって感じだったけどな?」


 つまりあたしのいいようにピット君を構ってやれとゆーことだ。

 あたしの一番得意なやつ。

 午前中丸々遊んでやんよ。

 ってのはひとまず置いといて。


「ちょっと記者さん達に頼みがあるんだ。これ見てくれる」

「何でしょう?」

「脱落した『アトラスの冒険者』の名簿だよ。使える固有能力持ちの人とはコンタクト取っておきたくてさ」


 特にレイノスは人口が多いから、個人を探し出すのが大変なんだよな。

 新聞記者ズに協力してもらお。

 レイノス住み『日和』の固有能力者を指す。


「この人天気がわかるっていう固有能力持ちなんだ」

「「「天気がわかる?」」」


 驚くピット君と新聞記者ズ。


「前もって天気を知ることができるのが本当なら、利益は計り知れない……」

「ピット君も有益だと思うでしょ?」

「はい。天気で客足なんか全然違うんですから、仕入れのムダが防げます。もし長期で天気を知ることができるなら、農産物の収量だって予想できてしまうではないですか」


 『日和』の固有能力がダンテの天気読みと似たようなものと仮定するなら、あんまり長期にわたってはともかく、数日後の天気くらいはわかりそう。

 

「有用な天気の情報を載せられたら、新聞が売れると思うでしょ?」

「「思います!」」

「じゃあ探すの手伝ってよ。えーとバーナード・コッチさん。二〇歳前後の人だと思うんだけど」


 新聞記者(男)が叫ぶ。


「あっ、知ってます!」

「やたっ! ラッキー! どこにいる?」

「紙卸・小売りのヘリオス・トニックさん御存じですか? あの方の店の従業員ですよ」

「あとで行ってみよ」


 ヘリオスさんも新聞が売れると嬉しい側の人だ。

 間違いなく協力してくれる。


「バーナードさんはよく知ってますけど、天気の先読みができるなんて話は聞いたことがありません」

「評判になってもよさそうなものですがねえ?」

「『日和』って固有能力はレベルが低いと役に立たないらしいんだ。本人の了解が得られれば、レベルを上げてこようかと思って」

「「「レベルを上げるとは?」」」


 あっ、ピット君はともかく新聞記者ズも知らなかったか。


「あたしの得意技だよ。共闘して魔物倒すことによって経験値を得させるってやつ。せっかくだからピット君にも経験させてやろうと思ってるんだ」

「えっ? ボクのレベルも上げてもらえるということですか? ありがたいですけど、ユーラシアさんに何のメリットが?」

「あたしはドーラをいい国にしたいからね。良さげな人がいたら育てたいじゃん? ピット君だってそうだよ。自分のレベルが上がれば、気付かなかった利点なんかすぐわかるよ。そうすりゃ多分世界最高レベルであるあたしを高く売り込めるでしょ?」

「ユーラシアさんは当然カンストレベルの九九なんですよね?」

「あたしは今一二八だよ」


 唖然とする三人。


「尊敬するなよ。あたしはレベル上限が一五〇になる固有能力持ちってだけ」

「「「……」」」

「レベルが一〇〇を越えると便利なんだ。あたし『雑魚は往ね』っていう、自分のレベル以下の魔物を一撃で倒せるスキルを持ってるからさ。レベルが一二八もあると大体どんな魔物も一発なの」


 ピット君が慌てたように言う。


「ちょっと待ってください。ではヤマタノオロチはもっと簡単に倒せた?」

「多分ね。でも簡単に倒しちゃ儲かんないだろうが。ヒドラの類は牙をたくさん取れるほど儲かるんだぞ? 帝都の新聞には書いてあったと思うがな?」

 

 再び唖然とする三人。

 いやでも『雑魚は往ね』を使う気はなかったよ?

 首落とす方が攻撃受けなくて安全だし、ヤマタノオロチのレベルも知らんし。


 さてと、セレシアさんの服屋にとうちゃーく。


「ピット君、どう思う?」

「可愛らしいファッションですね。しかし装飾的というより機能的だ」


 売り子を見るピット君の目も真剣だ。

 もうちょっと目尻下げればいいのに。


「あの人が店長でデザイナーだよ。おーい、セレシアさーん!」

「あっ、ユーラシアさん!」


 駆け寄ってくるセレシアさん。


「そちらは?」

「帝都一の大店『ケーニッヒバウム』の店主のお孫さんピット君だよ。ドーラ見物に来たんだ。ピット君の感想を聞こうじゃないか」

「いいですね。既存のファッションと十二分に差別化できます」

「ひょっとして帝国に輸出するというお話?」

「そう。あっ、こらっ! 踊り出すんじゃないよ!」


 問題は多いのだ。

 嬉しがる段階じゃない。


「向こうでウケるかわかんない。仮にウケるとしても輸出すると数倍の値段になっちゃうから、コピー商品が蔓延しちゃう。いいね?」

「は、はい……」

「一度帝都の状況を見に行こうかってことなんだ。どうする?」

「行きます!」

「次のお店の休みはいつ?」

「えっ? 三日後ですけど?」

「ピット君、三日後連れてっていいかな?」

「もちろんです。お待ちしてます」

「三日後の朝、迎えに来るよ」


 新聞記者ズもネタが増えて嬉しそうだからこれでよし。


「じゃーねー」

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