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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1011話:繰り返しになるけど

 フイィィーンシュパパパッ。

 うちの子達及びリモネスさん魔道士長さん近衛兵長さんとともに、イシュトバーンさん家にとうちゃーく。


「こんばんはー」

「こんばんはぬ!」

「皆さん、いらっしゃいませ。お待ちしておりました」


 警備員さんが屋敷に案内してくれる。


「おう、待ってたぜ」

「イシュトバーンさん、お土産だよ」


 ワイバーンの卵を渡す。

 最近はバアルのお宝無限ナップザックがあるので、ワイバーンの卵をいくら拾っても割っちゃう危険がない。

 一番役に立っているお宝だ。


「ハハッ、一品増えたな」

「ところで今日スイーツある? 先に聞いとかないと胃袋のペース配分があるから」

「学習したじゃねえか。あるぜ」

「やたっ!」


 アハハと笑い合う。

 屋敷に上がるとすぐ、イシュトバーンさんが帝国からの客人三人に話しかける。


「刺激的な一日だったろう?」

「まさに。特に魔境は夢のようでしたな」

「悪夢かい?」

「何てことをゆーんだ」


 爆笑。

 あ、御飯来た。


「いただきまーす!」


          ◇


「ごちそうさまっ! おいしかった! もー入んない!」

「入んないぬ!」


 今日はスイーツまでたっぷり食べることができた。

 おかずを腹一杯食べてからスイーツに挑戦しようかと思ったけど自重した。

 めでたし!


「ワイバーンの卵は大変美味ですな」

「デザートも。これほど洗練された甘味を堪能できるとは」


 大好評だ。

 いずれ大衆向けの簡易スイーツレシピ本を出したいなあ。

 食文化の発達に必要な方向性は、今のところ味変とスイーツだと考えているから。

 魔道士長さんが聞いてくる。


「精霊使い殿はおいくつになられるのですかな?」

「一五歳だよ。明後日で十六歳になるの」


 明後日が精霊の月、所謂三の月の一日だ。

 灰の民は自分の生まれ月が来ると一つ年を取る。


「何と。おめでとうございます」

「ありがとう。プレゼントは年中受けつけてるからね」


 笑い。

 楽しいなあ。

 リモネスさんが不意に言う。


「精霊使い殿は何を御存じで、帝国をどうしたいとお考えですかな?」


 ぶっ込んで来たなあ。

 一見超然としているようだが、リモネスさんの目はある種の覚悟を秘めている。

 今日を逃すと、魔道士長さん近衛兵長さんに言い聞かせる機会はないと考えているようだ。


「帝国はお友達付き合いできる国だといいなあと思ってるよ。あたしの知ってることといえば……第二皇子はメキスさんとバアルから情報を得て、政治家として辣腕を振るっていたんだ」


 近衛兵長さんが言う。


「メキス……メキス中佐か? 情報部の?」

「うん。メキスさんはドーラへ唯一攻め込んだ潜入工作部隊の隊長でもある」

「何と!」


 驚く近衛兵長さんと魔道士長さん。

 潜入工作部隊は飛空艇並みの機密だったっぽいな。


「簡単に説明するよ? メキスさん率いる潜入工作部隊が物流を引っ掻き回してドーラを長期戦に耐えられないようにして、飛空艇が上からドカドカ爆撃して音を上げさせるっていう帝国の作戦だったんだ。で、さっきのパラキアスさんが、リリー皇女は塔の村にいるって情報を流して、リリーを保護しようとした潜入工作部隊を引き寄せて叩いたでしょ? 飛空艇もあたしが落としちゃったから、帝国にはドーラを降参させる術がなくなった。だから艦隊から砲撃させることなく、ドーラの独立を認めることにしたんだよ」


 すぐ方針を切り替えられる第二皇子の政治的センスは、優れていると思わざるを得ないが。


「今メキスさんは塔の村でドーラ人として働いてもらってるんだ。メキスさんの話によると、帝国本土に残してきた人員だけでは情報部組織が回んないんだって。第二皇子の知り得る情報は激減するって」

「待ってくだされ。メキス中佐はドーラにいるのか? 監禁されているわけでもなく?」

「だってドーラに優秀な人を遊ばせておく余裕はないもん。潜入工作部隊二五人だったかな? 皆楽しく村人ライフを送ってもらってるよ」


 潜入工作部隊は帝国に帰れないという事情もあるが。

 リモネスさんが言う。


「さらにバアルもいないとなると?」

「今までみたいなテキパキとした処理能力は発揮できないはず。法整備の遅れでドーラ独立後初の移民が着の身着のまま放り出されたのは、そのせいなんじゃないかとドーラでは考えているよ。もう第二皇子は凡庸な政治家に過ぎない」


 と、言ってみただけ。

 決して凡庸だとは思ってないけどね。


「第二皇子もわかってるから、外征に勝利して求心力を高めようとしてるんじゃないの?」

「辻褄は合いますな」


 リモネスさんはけしかけてくるし、イシュトバーンさんはニヤニヤしてる。

 もー踊り手あたしだけじゃん。


「ドーラに攻めてこようとしたってこともあるけど、安易に武力に訴えようとする人が大国の最高権力者って面白くないね。次の皇帝は誰だって話なら、あたしはプリンスルキウスがいいな。行政府で言ったことの繰り返しになるけどさ」

「「「……」」」

「多分ソロモコは帝国艦隊に攻められるでしょ? 軍艦には魔道士長さんの弟子とか部下とかも乗るのかな?」

「おそらくは」

「さっき魔境で披露した極大魔法あったでしょ? あれを海に落とすと津波が起きるんだ。魔道結界とか関係なしに艦隊は海の藻屑になっちゃう」

「せ、精霊使い殿はそれを知らせるためにあの魔法を……」


 やっぱり飛空艇の魔道結界は通常軍艦にも応用されるみたい。

 ソロモコ遠征は魔道結界のテストケースという側面があるのかもしれないな。


「見た方が理解しやすいからね。あたしも口先で艦隊を追い返すつもりでいるけど、頭の固い司令官だとそうもいかないじゃん? 対魔王戦争と天秤かける前に、乗船してる魔道士達から説得してくれると助かるなー」

「わかり申した! 魔法での津波の可能性は伝えておきます!」


 イシュトバーンさんが言う。


「おい、遠征が失敗しても、執政官殿下の政権は持つのか?」

「どーだろ? 知らないけど、相対的にプリンスの地位は上がるんじゃないの?」


 こっちが剣呑な話してるから、ヴィルがクララのところに行ってる。

 あの二人のペアはすげえ可愛いな。


「イシュトバーン殿。馳走になりました。大層おいしかったです」


 三人が次々に礼を言う。

 お開きだな。


「イシュトバーンさん、ばいばーい」

「バイバイぬ!」

「おう、また来い」


 繰り返し転移の玉を使用し帰宅する。

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