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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1006話:マーシャの占いの衝撃

 帰宅するなり近衛兵長さんが聞いてきた。

 冒険者活動に対する興味を感じるなあ。


「明日はクエストですか?」

「そうそう。ファイアードラゴンのドロップする燿竜珠を納めろってやつ」

「ど、ドラゴンですか?」


 ドラゴンって言うと、皆それなりの反応があるもんだ。

 有名な魔物だからかな。


「ドラゴンは大体単体で出てくるんだけど、ファイアードラゴンって群れで出現する特徴があるんだって。となると倒すの結構難しいんだよね。今までずっと塩漬けになってたクエストなんだそーな」

「な、なるほど。高難易度ですな」


 近衛兵長さんと魔道士長さんが首を竦めてるけど。

 魔道士長さんは杖の先についてる魔宝玉とかには興味ないのかなあ?


「面倒なことに、依頼主がドラゴンを間近で見せろって言うんだよ。その人レベル高いわけじゃないから、ちょっとブレスで炙られただけで死んじゃう」

「ええ? 大変危険ではありませんか」

「危険だよねえ。あたしも依頼者が死んじゃうと、依頼料もらいはぐれるからなー」


 あれ、皆引いた顔してるけどジョークだよ?

 ブレスは火無効化の装備で何とかなるのだ。

 ただ直接攻撃されないとも限らないので、危険は危険だけどね。

 ま、ドラゴンのことはいいとして。


「じゃ、ヤバい魔力の子のところへ行きまーす」


 ほこら守りの村へ。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「ほう、ここはまた……」

「拓かれた奥地の集落、という雰囲気がありますな」


 確かにそうだ。

 ほこら守りの村の成り立ちは、豊かな土地を求めてだろう。

 土地神様のパワーに悩まされてはいても、魔物はいなかったんじゃないかな。

 北へ歩き、集落の中心へ。

 村長に話しかける。


「こんにちはー。これ、お土産のお肉だよ」

「やあ、ありがとうございます。村の衆はいつも楽しみにしているのです」

「それは美少女精霊使いを楽しみにしてるのかな? お肉を楽しみにしてるのかな?」


 アハハと笑い合う。

 村長に紹介しておく。


「こちらは帝国の皇帝陛下の相談役リモネスさん、宮廷魔道士長ドルゴスさん、近衛兵長ヴォルフさんだよ」

「何と! 田舎の村にようこそお出でくださいました」

「マーシャの話をしたら会ってみたいということで」

「そうでしたか。今時分ですと、もう家の方だと思いますぞ」

「行ってみまーす」


 参道入り口の土地神様の碑を参ってからマーシャの家へ。

 魔道士長さんが言う。


「……ふむ。強い魔力を感じますな。しかし心地良い」

「でしょ? あたしも何やったらいいか迷った時には、マーシャに占ってもらうの」

「そのマーシャという子は占い師なのですかな?」

「うん。まだちっちゃい子なのに、占い師になりたい、じゃなくて一人前の占い師なんだ」


 しかも自称占い師を、ほこら守りの村の住人が全然おかしなことだと思ってないのはすごい。

 水路を越えたところの小屋を覗く。


「こんにちはー」

「ゆーしゃさまっ!」


 飛びついてくる魔力膨大幼女。

 魔道士長さんビックリしてるぞ?


「あらあら、精霊使いさん。この前は魔宝玉をありがとうございました」

「いえいえ、お礼だからね。マーシャをしばらく借りますよ」


 マーシャを連れて外へ。


「きょうはどうしましたか?」

「そーだな。マーシャに占ってもらいたいかな」


 興味深そうに見つめる三人。


「はい、なにについてうらないましょうか?」

「これからのクエストについてお願い」

「はい、では、わたしをじっとみてください」


 ソロモコのクエストについては何をやっておくべきか。

 抜けてることがあったら聞いておきたい。

 マーシャをじっと見つめる。

 穏やかな魔力があたしの意識に浸透してくる。

 これ眠くなってくるな。


「こんなんでました!」


 マーシャが元気よく叫ぶ。


「しまのくえすとは、はやめにうしろのさんにんにはなすべきです!」

「うあー、やっぱそーかー」


 とゆーことはやはり、ソロモコに帝国が関わってくるということのようだ。

 いよいよ帝国対魔王の対立構図について対策を打たねば。


「ありがとう、マーシャ。こっちの三人も見てくれる?」

「はい!」

「で、では小官からお願いしますぞ。仕事について見てもらいたい」

「はい、では、わたしをじっとみてください」


 あっ、すごい!

 マーシャの占いって、傍から見るとこんな風に魔力に包まれてるんだ。


「こんなんでました! だいきち、なんのもんだいもないです! うえからのしんらいあつく、したからしたわれるへいしがみえます!」

「はっ! ありがとうございます!」


 ハハッ、敬語になってやがる。

 マーシャのすごさを身をもって感じたろ。

 次は魔道士長さん。

 こちらも仕事についてか。


「こんなんでました! たりません! まだうえをめざせます!」

「……やはり足りない、ですか。ありがとうございます」

「えっ?」


 宮廷魔道士長より上ってどーゆーこと?

 しかも心当たりあるみたいだし?

 宮廷魔道士の組織の拡大を志向するってこと?

 それとも大臣職みたいな政府高官を目指すってこと?


 最後にリモネスさんだ。

 将来についてか。


「こわがらなくていいですよ」

「……はい」


 マーシャの声は優しく、信頼できる感じがする。

 そして魔力に包まれた。

 おいおい、リモネスさん涙出てんぞ?


「こんなんでました! だいきちです! つぎのこうていへいかのもと、すごくだいじにされます!」

「あ、ありがとうございました」

「衝撃発言キター!」


 マーシャがこう言うってことは、大マジで皇帝の逝去は近いようだ。

 誰だよ次の皇帝?

 いや、未来って決定してるものじゃなかったんだっけ。

 あたしも飛空艇の時、生死半々だったみたいだしな?


「マーシャ、ありがとうね。村長さんにお肉渡してあるんだ。皆に配られると思うから食べてね」

「わあい! おにくだいすきなのです!」

「うんうん、お肉はジャスティスだからねえ。そーだ、骨があるからあげるよ。煮るとおいしいスープになるんだ」


 マーシャがすごく喜んでくれた。

 何となく骨も持ってきたけどよかったよ。

 マーシャには感謝したいことが多いからな。

 この前の画集モデルのお礼の透輝珠は一律だから仕方ないとして、マーシャみたいな小さい子におゼゼや魔宝玉はどうかと思う。

 やっぱり食べ物関係がいいかな。


「じゃあね。また来るよ」

「ゆーしゃさまのぜんとにさちあれっ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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