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第31話




 それから俺は、マールナスとの関係性についてを種族のリーダーたちに話していった。

 途中、マールナスが割り込んできては暴走気味に話をしてきて、そのたびに話が脱線しかけるが……それでも、最後まで話すことはできた。

 すべての説明を終えたときには、ほとほと疲れ切ってしまったが。

 俺の説明に納得した様子のオルフェは何度か頷いた後、

「なるほど、な。とにかく。彼女の管理はクレストに任せればいい、ということだな?」

「そう、だな。それじゃあ、オレたちは退散、しよう」

 オルフェとゴルガは巻き込まれまいといった様子で一方的に言って逃げていった。

 それはヴァンニャたちもそうだ。

 そそくさと退散する彼ら彼女らを見送るしかない。

 あいつらめ……。

 残された俺は、リビアとエリスのじとっとした視線にさらされながら、マールナスを見る。

「マールナスは……これからどうするつもりだ?」

「クレスト様にお仕えいたします!」

「つまり、この村にいるってことでいいんだな?」

「あなたの隣に常にいます!」

「常にはいなくていいからな」

「安心してください! どこまでもついていきますから!」

 安心できないっての。

 ……ただ、マールナスが仲間になってくれること自体は、悪くない。

 先ほど、エリスに飛びかかったときもそうだが、彼女の戦闘能力はかなり高い。

 仲間ならばこれほど心強い存在はいないだろう。

「そういえば、上界は今どうなっているんだ?何か、色々大変だとは聞いているが」

 エリスからも簡単には聞いていたが、それからさらに状況が変わった可能性もある。

 上界に関しては、正直どうなろうとも……とは思うが、下界に影響が出るのなら話は別だ。

 例えば、上界が魔物に支配されてしまい、手に負えないような魔物が下界にまで下りてきてしまったらと考えたら、さすがにすべて無視するわけにはいかないからな。

 そもそも、魔物というのは下界の濃い魔力を好むからな。まず間違いなく下界へと降りてくるだろう。

「たくさんの次元穴が出ていて、かなり危険な状況となっているようですね。今はそれの対応に公爵家の女性一人だけで対応しているのだとか。名前はえーと……クレスト様とたまに一緒にいた女性ですね」

「ミヌ、ですわね」

 マールナスの言葉を引き継ぐように、エリスがそう言った。

 エリスの言葉に、マールナスは小さく舌打ちをしてから言葉をつづけた。

「その、ミヌという方が一人で対応していますが、さすがに一人では抑えきれないようですよ。どっかの誰かが役目を放棄したせいで、余計に大変な状況のようですね。どっかの誰かが」

 どっかの誰か、といってマールナスはエリスをちらと見ている。

 エリスは腕を組んでふんとそっぽを向いていた。

「……それは、可哀想だな」

 俺がそういうと、エリスがじっとこちらを見てきた。

「ミヌのことを心配しますのね」

「それはそうだろ。エリスだって、それなりに関わりはあったし心配はないのか?」

「わたくしが関わりがあったのは、クレストに絡んできたせいですわ。別にミヌ自身がどうなろうともわたくしには知ったことではないですわよ」

「……そうか」

 そこまで言わなくても、とは思ったが……そういえばあまりエリスとミヌは仲良くなかったような。

「エリスよりもミヌを心配されるのは当然ですね」

「何が言いたいんですの?」

「だって、ミヌはクレスト様に優しかったですしね。当然ですよね、クレスト様」

 答えにくい質問を投げてくるな。

 エリスは目つき鋭く、マールナスを睨む。

「マールナス。あまり余計なことを言わないでくださいますの?」

「余計なこととは思っていないが? すべて、正しいことを口にしているだけだ」

 じろり、とマールナスも負けじと睨み返す。

 マールナスは俺以外に対してはかなり口調が荒らい。

 今後も、こんな喧嘩は絶えない気もするな……。

「喧嘩するな、二人とも」

「申し訳ございませんクレスト様!」

 マールナスはすかさず謝罪の言葉を口にし、エリスもそれ以上口を開かずに、視線を外した。

「話を戻そう。上界ではたくさんの次元穴が出ていると言っていたが、下界もその可能性はあるよな? ……そのことを考えて、もっと防衛面に力を入れたほうがいいよな」

「下界は大丈夫だと思いますよ、クレスト様」

 そう言ったのはマールナスだ。

「どういうことだ?」

 幸い、今は見ていないが上界だけで発生するものでもないだろう。

 そう思っていると、マールナスが口を開いた。

「次元穴は、下界にいる亜人が発生させていると聞きましたからね。わざわざ下界を狙ってくることはないのではないでしょうか?」

 マールナスの衝撃的な発言に、彼女をじっと見る。

 それは俺だけではなく、リビアもだった。

「嫌ですクレスト様……そんな熱視線で見ないでください。興奮してきちゃいました。クレスト様の匂い堪能していいですか?」

「……さっきの次元穴についてだが、どういうことだ?」

 下界にいる亜人が発生させている。

 それが真実なら、とんでもない話だ。

 リビアをちらと見てみるが、彼女は首を横に振った。

「私も詳しくは分かりませんが、上界にいたときに亜人たちに声をかけられました。なんでも、レジスタンス的なのがいて、そのリーダーが下界にいるのだとか。いずれ上界に攻め込んで、共に世界を取り戻そうとしている……とかなんとか」

「……上界にいる亜人に声をかけている、か。誰かは分かるか?」

 まさか、それもレイブハルトがやっているのだろうか?

 ただ、確かに上界にも決して少なくない亜人の奴隷がいる。

 彼らを解放すれば、亜人側の戦力もかなりのものとなるだろう。

「私も詳細は知りませんね。私が仕えるのはクレスト様だけと、その頃から決まっていましたので、断ってしまいましたし」

 勝手に決定するのやめてもらえないだろうか。

 ただ、マールナスの話が本当ならば、下界にいるという亜人たちのリーダーは、次元穴を自在に操れるってことか。

 レイブハルトの様子を思い出す。

 ……確かに、あれだけの力を有している彼ならば、それも可能かもしれない。

 あのときの戦闘能力を思い出し、それに追いつこうと思っていたが……まだまだ足りない可能性もある。

 もっと、強くならなければ、か。

 その手段の一つとして、マールナスの力は使えるかもしれない。


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