第27話
……エリスの明らかな変化に、俺は戸惑っていたが、やがてエリスは自分の家に向かって歩き出した。
俺もリビアとともに自宅へと向かって歩き出したのだが、その途中でリビアがこちらを覗きこんできた。
「クレスト様。エリス様は話に聞いていた方とは随分と印象が違いますね」
「俺も驚いているよ」
リビアには俺の上界での様子について話していた。
エリスとの関係についても、簡単にではあるが話したため、特に彼女はエリスに対して警戒してくれているようだった。
俺は改めてエリスについて考える。
……本当に彼女に一体どんな心境の変化があったのだろうか。
ただ、同時に思うところもある。
昔から、素直に甘えるときもあったと思う。
そう考えると、ある意味今のエリスは素直さを前面に押し出しているのかもしれない。
リビアとともに部屋へと戻ってきた俺は、軽く体を伸ばしていた。
会議を行った後はいつも体が緊張してしまっている。
それらをほぐすように動いていると、リビアの声が聞こえた。
「クレスト様はこれからガチャを回すのでしょうか?」
「一応その予定だ」
今日の狩りのおかげでポイントもあるからな。
一応二十二回分のガチャが回せる。
そろそろ、どれか一つくらい虹色スキルのレベルがMAXになるはずだ。
「それでは、私も一緒に見させていただきますね」
「ああ、分かったよ」
俺がベッドに腰かけると、リビアも隣に並ぶ。
それから、ガチャ画面を開いてみる。
さて、いいスキル出てくれよ。
そんな気持ちとともに、俺は十一回目のガチャを回した。
箱が出現すると、中から美しい玉が十一個出現する。
虹色は一つか。
すべてのスキルを確認していくが、新しいものはない。
虹色スキルは黒ノ盾だった。
嬉しいが、今は暗黒騎士のほうが欲しかったというのが本音だった。
次のガチャに期待しよう。
俺は最後のポイントを使って、ガチャを引いた。
……虹色スキルはまた一つか。
最近はあまり運が良くないのかもしれない。
俺は一気にスキルを確認していく。
最後の虹色スキルは、影術だ。
影術か。
とうとう影術のレベルがMAXになった。
これで、さらに操作性がアップするかもしれない。
そう考えると、次に使用するときが楽しみではあった。
「……暗黒騎士は出ませんでしたね」
隣にいたリビアが残念そうにそう言った。
俺も同じ気持ちだ。
「そうだな。とりあえず、また新しい魔物でも探してこないとな」
「そうですね……まだ見つかればいいのですが」
もう、あまり新種の魔物も見つかっていないので、できればここらで暗黒騎士だけでもレベルMAXまで上げたかったんだけどなぁ。
とはいえ、今さらもうどうしようもない。
回し終わったガチャのことは忘れ、今日はもう休もう。
疲れがたまっていた俺は、すぐにベッドへと入って目を閉じた。
《銅スキル》【力強化:レベル8(7/8))】【耐久力強化:レベル8(1/8)】【器用強化:レベル6(5/6)】【俊敏強化:レベル7(4/7)】【魔力強化:レベル7(3/7)】
《銀スキル》【剣術:レベル5(2/5)】【短剣術:レベル3(2/3)】【採掘術:レベル3】【釣り術:レベル3(1/3)】【開墾術:レベル3(1/3)】【格闘術:レベル3(1/3)】【料理術:レベル2(1/2)】【鍛冶術:レベル3(2/3)】【仕立て術:レベル2(1/2)】【飼育術:レベル2】【地図化術:レベル4】【採取術:レベル2(1/2)】【槍術:レベル2(1/2)】【感知術:レベル4(1/4)】【建築術:レベル4(1/4)】【魔物進化術:レベル3】【回復術:レベル3(2/3)】【忍び足術:レベル2(1/2)】【鍵術:レベル2(1/2)】
《金スキル》【土魔法:レベル5(3/5)】【火魔法:レベル6(4/6)】【水魔法:レベル5(3/5)】【風魔法:レベル4(1/4)】【付与魔法:レベル3(2/3)】【光魔法:レベル2(1/2)】【罠魔法:レベル3(2/3)】
《虹スキル》【鑑定:レベル3(MAX)】【栽培:レベル3(MAX)】【薬師:レベル3(MAX)】【召喚士:レベル3(MAX)】【魔物指南:レベル3(MAX)】【魔物使役:レベル3(MAX)】【アサシン:レベル3(MAX)】【弱点看破:レベル2(1/2)】【変身:レベル2(1/2)】【暗黒騎士:レベル2(1/2)】【影術:レベル3(MAX)】【黒ノ盾:レベル1(1/2)】
《余りスキル》【鑑定:レベル1】【薬師:レベル1】【召喚士:レベル1×3】
次の日。
昨日話していた通り、エリスに協力してもらうため、訓練場へと向かう。
訓練場に到着すると、そこにはすでにエリスの姿があった。
軽く体を動かしていた彼女は、こちらに気づいてから微笑を浮かべた。
「クレスト、おはようございますわ」
「おはよう。悪いな朝早くから来てもらって」
エリスはいつもと同じ格好だったが、腰には剣を差していた。
エリスって剣とかはどの程度使えたっけ?
貴族というのは、護身術程度に剣を学ぶこともある。
ただ、エリスがどのくらい学んでいたかは覚えていなかった。
「いえ、クレストにこうして出会えて嬉しいですわ」
ニコニコ。
満面の笑顔のエリスに、俺は苦笑を返すしかない。
「そういえば、エリスって剣は使えるのか?」
「もともとは、そこまで得意ではありませんわね」
「もともとは?」
彼女の言い方に疑問が残る。
「ええ。聖女の加護を得てからはかなり扱いもうまくなりましたわね」
……なるほどな。
聖女の加護自体に、剣術スキルのような効果があるのかもしれない。
まあ、今回エリスは戦わないけど。
エリスと話をしていると、オルフェがこちらへとやってきた。
「クレスト、エリス。それで一体今日は何をするんだ?」
オルフェがちらと俺たちに視線を向けてくる。
オルフェには、詳しい話はしていなかったな。
「ちょっと、俺たちのスキルの相手になってほしいと思ってな」
「……実験体ということか?」
「別に、怪我をさせるまでやるつもりはないからな? あくまで、ちょっと相手してもらいたいっていうか」
俺の言葉に、オルフェは苦笑いを浮かべている。
「まあ、相手は務めるが……さすがに、優秀なスキルを持った二人を満足させられるとは思えないぞ?」
不安そうに語るオルフェに、俺は苦笑を返す。
「それは、別に大丈夫だ。実際に戦うのは俺一人だし……それに他にも協力してもらうからな」
俺はちらと視線を向ける。
ぞろぞろとやってきたのは、各種族のリーダーたちだ。
リビア、スフィー、ヴァンニャ、ゴルガ、カトリナ。
オルフェを含め、合計六人をこれから俺は相手にするわけだ。
「クレスト様。さすがにいくらクレスト様とはいえ、私たちを相手にするのは無謀ではありませんか?」
先頭に立っていたリビアがそう言ってくる。
彼女の目は楽しそうに緩んでいる。
それはリビアだけではない。
「クレスト、手加減はしないわよ」
「ふっふっふっ、今日は曇りじゃし、わしも大活躍できるんじゃよ!」
「クレスト、オレたちだって、それなりに戦えるんだからな」
「私も、本気出したら結構凄いから」
それぞれが、それぞれの調子でこちらを見てくる。
もちろん、普通に戦っていればまず厳しいだろう。
ただ、今回はエリスがいる。
彼女の補助魔法を受ければ、無謀ではないとさえ思っている。
「それじゃあ、早速始めようか。エリス、補助魔法をかけてもらっていいか?」
「ええ、分かりましたわ」
エリスはそう言って、こちらに手を向けてきた。
次の瞬間、俺の体を淡い光が包む。
その光に包まれた次の瞬間だった。
体の奥底から、力が沸きあがってきた。
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