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第34話




 ゴーレムとオーガか。

 ゴーレムたちは何か首輪のようなものをつけている。

 鍵穴のようなものがついたそれは……奴隷の首輪か? 鑑定をしてみた結果、奴隷の首輪だと断定できた。


 たぶん、ヴァンパイアたちに造らせたのだろう。

 救助するときはあれの解除もしないとだな。

 以前、リオンが持っていたのを見ていたからすぐに分かったな。

 

 こんなところで鉢合わせになるとはな。

 思っていた以上に北まで来てしまっていたようだ。

 まあ、ちょうどいい。気づかれていないようだし、もう少し様子を伺うとしよう。


 鞭で叩かれていたゴーレムはあのゴーレムたちの中でもっとも大きな体をしていた。

 オーガよりも少し大きいため、抵抗しようとすればできそうな気もしないではないが……。


「おい、おまえら。ゴルガにお仕置きをしな」


 オーガの男がそういって、別のゴーレムと思われる男たちにそんな命令を飛ばした。

 どういうことだ?

 ゴーレムたちは顔を見合わせていた。今にも泣き出しそうな、困った様子だ。


「おい! やらねぇなら、てめぇらがこの鞭の餌食になるんだぞ!? いいのか!?」

「……おまえたち、オレ、なぐれ」

「しゅ、首領……」


 ゴーレムがゴルガを見ながらそう言った。

 なるほど。あの一番体格の良いゴーレムが、ゴーレムたちの首領か。

 しかし、首領と呼んだことでオーガの一人がブチ切れた。


「てめぇらの首領は、ゴルガじゃなくてガーナス様だろうが!」

「あ、あう!?」


 オーガは鞭を振りぬき、ゴーレムの背中を打ち付けた。身に着けていたボロボロの服が破れ、肌が赤く染まる。


「や、やめてくれ。やるなら、オレを……」


 すかさず、ゴルガがその間に割って入り、オーガは笑みを浮かべた後何度も何度もゴルガを叩いた。

 ……むなくそ悪い奴らだな。

 オーガは何名かいたが、皆ケラケラと笑ってゴルガをいたぶっていた。


 誰かに似ている、と思ったのは……そうだ。ハバースト家の人たちだ。

 俺の兄たちも、あんな感じでみんなで寄ってたかって弱い立場の俺を虐めていた。

 だから、だろうか。

 

 俺は自分のことのように怒りを覚え、ゴーレムたちを助けたいと思った。

 ぐっと奥歯をかみ、大きく深呼吸をする。


 ここで暴れたい気持ちはあった。しかし、今動けばゴーレムたちは救えても他の亜人たちは救えないかもしれない。

 拳をぐっと握りしめ、俺は湧き上がる怒りを抑えた。

 しばらくして、オーガたちは鞭を振るう手を止めた。


 ゴルガの背中は血で真っ赤に染まっていた。放っておけばただではすまないだろう。


「あー、スッキリした。おい、その馬鹿はきちんと連れて来いよ。ああ、背負ってくるな。足を持って引きずってこい」


 オーガたちはそうゴーレムたちに命令を出した。

 その瞬間ゴーレムたちの首輪が光り、一人のゴーレムがゴルガの足を掴み、引きずっていく。


「ご、ごめんゴルガ様……! 体が、勝手に……!」


 涙を流しながら、ゴーレムは意識を失っているゴルガを引きずっていく。それを見てオーガはさらにケラケラと笑っていた。


「ああ、そうだ。ゴーレム。ゴルガ様を殴ったらどうだ?」


 それは、提案ではなく命令だったようだ。

 バカにしたような口調でオーガはそう言った。

 あれも、命令だ。ゴーレムたちの首輪が光り、そしてゴルガを一度手放し、その体へと拳を振りぬいた。


「おいおい! なにやってるんだ? 死なない程度に加減しろよ?」


 バカにしたようなオーガの声が響く。

 それもまた命令だったのだろう。先ほどよりも威力の低い攻撃が何度も続いていく。


「そんな無茶言うなよな!」

「はっはっはっ! そうだよな!」

 

 オーガたちはゴルガを殴りつけるゴーレムたちを見て、ひたすらに笑っていた。

 涙を流しながら拳を振りぬくゴーレムに、俺はそれ以上見ていることはできなかった。


 このままでは、ここであのオーガたちを殺してしまうだろう。

 それでは、駄目だ。

 俺は彼らに背中を向け、村へと向かって歩き出す。


 すでに、ガチャポイントは10000ポイント分たまっている。

 これで二十二回分のガチャが回せる。

 速やかにアサシンを獲得して、そしてゴーレムたちを含めすべての亜人を救い出してみせる。

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