第32話
俺は残っているポイントを消費して、ガチャを回した。
先ほど同様、新スキル以外はサクサクと見ていこう。
とりあえず、虹スキルはまた二つだ。
これで、アサシンのスキルレベルが上げられればいいんだけどな。
銅、銀、金スキルで、新しいスキルはない。
そして最後。虹スキルだ。
明るく輝くその玉へと触れた俺は、そのスキルを確認して口元が自然に緩んだ。
《虹スキル》【変身:レベル1】【変身:レベル1】
やった。また新スキルだ。
いきなり被ってしまったが、これでとりあえずすべてのスキルを獲得だけはできた。
ここからレベル上げの必要があるが、それについては時間をかけてやっていけばいいとして。
とりあえず、新しいスキルについてみていこうか。
これはどのようなスキルなのだろうか?
『変身 対象のものに変身できる』
そのままの意味だ。この文章だけだと、性能がどのくらいのものなのかはいまいち分からないな。
あとは実際にどのようなスキルなのか、実際に使ってみたいのだが、このためだけに誰かを呼ぶのもな。
夜にはリビアと一緒に寝るんだし、その時にでも効果を試してみようか。
ガチャを回し終えた俺は、ひとまず獲得したスキルについて再確認しつつ、レベル上げを行っていく。
今回獲得したスキルは、わりと使えるものが揃っている。
力強化二つ、耐久力強化二つ、器用強化一つ、俊敏強化二つ、魔力強化一つ。
剣術一つ、短剣術一つ、鍛冶術一つ、地図化術一つ、感知術二つ。
土魔法一つ、火魔法一つ、罠魔法二つ。
アサシン一つ、弱点看破一つ、変身二つ。
レベルが上げられるものは上げていき、出発の準備をする。
剣は持ったし、ポーションを作るための材料も準備した。他には……。
再確認していると、部屋がノックされた。
「誰だ?」
「私です、リビアです」
「リビアか。ちょっと待ってくれ」
返事をしながら玄関へと向かいかんぬきを外して扉を開く。
そこには、リビアがいた。
柔らかな微笑を浮かべていた彼女に、俺もつられて笑みを返す。
「どうしたんだ?」
「ワーウルフと一緒に狩りに行っていたゴブリンたちから聞いたのですが、新種の魔物がいたそうで、それの報告をしようと思いまして」
「ああ、ワーウルフからも報告があってね。これから倒しに行こうと思っていたんだ」
わざわざ伝えに来てくれたのか。彼女の気遣いに嬉しさを覚えていると、リビアが僅かに目を見開いた。
「あっ、そうでしたか? それでは私も一緒に行きましょうか?」
「いや。場所がオーガの拠点よりだし、俺がアサシンを使いながら行動しようと思っている。だから、今回は一人で行こうと思っているんだ」
リビアを抱えて移動すれば問題ないだろうけど、それだと動きに制限もかかってしまう。
それに、リビアについてきてもらうほどの敵でもないと思う。
一人で倒すのが無理そうなら、また日を改めればいいだけだしな。
「……そうですか。お気をつけてくださいね?」
「ああ、分かってる。わざわざ伝えに来てくれてありがとな」
「いえ、クレスト様とこうして話もしたかったですから」
そう素直に言われると照れ臭い。俺が頬をかいていると、リビアも恥ずかしそうにしながらも嬉しそうに微笑んでいる。
でも、それなら……もうちょっと話に付き合ってもらおうかな。
ちょうど、試したいスキルもあったしな。
「リビア。今時間はあるか?」
「え? はい、もちろんですよ。どうかされたのですか?」
「さっきガチャを回して新しいスキルが手に入ったんだ。試してみたいんだ」
「そうなんですね? 早速見てみたいです。どのようなスキルなんですか?」
期待するような表情のリビアは、後ろ手で扉を閉め、室内へと入った。
俺たちはいつものようにベッドで並ぶように座った。
「伝えるより見た方が早いと思ってね」
俺はそう言ってから、スキルを発動すると。
変身する対象を選択する。相手はリビアだ。
スキルを発動し、リビアに変身する。
次の瞬間俺の体が変化した。
ついていたものがなくなり、今までなかったものがついている。
へ、変身って、ここまで本物そっくりに変わるのか。
もっと何かこう……表現はできないが不完全なものだと思っていた。
「あー、あー」
軽く話してみると、声も変化している。
凄いスキルだ。戦闘能力があるわけではないが、これまでのスキルの中で一番ぶっ壊れているかもしれない。
「く、クレスト様……私、ですよね?」
「ええ、そうですね。なんでしょうか、リビア様」
俺はリビアの口調を真似るようにして、そう返した。
そうすると、リビアは僅かに頬を膨らませた。
「も、もうクレスト様。ふざけないでください」
「……ああ、悪いな」
リビアに、苦笑した俺は変身のスキルを眺めていく。
解除は簡単にできるようだ。
これ以上からかうとリビアが怒るかもしれないので、俺は変身を解除した。
「変身はこんな感じみたいだな」
「驚きました。あと、少し不気味でしたね。目の前に自分がいるってなると、なんだか気持ち悪いです。あと自分の声とかもそんな風に聞こえているんだなぁって思いました」
「……確かにそうだな」
俺も一度は経験してみたいとも思ったけど、俺以外には使えないからな。
でも、スフィーも似たようなことはできるか。
「それじゃあリビア。俺はさっき話した通り、魔物狩りに行ってくる」
「はい、お気をつけてください」
村の外を目指して歩いていく。
久しぶりの一人での行動だ。
気を付けていかないとな。




