214話 久々の学術都市
久しぶりの凪君視点‼
メイン、再開です。
――side凪――
柱岩龍谷でのあれこれから、二週間ほど。
帰り道では特に大きな事件に遭遇すること無く、予定通りの日取りで学術都市にたどり着いた。
「戻ってきましたね、ナギ兄様」
「そうだね、ユメもお疲れ」
入市の手続きを済ませ、街に一歩踏み出した所で目に入ってくる景色。
そこで、やっと戻ってきたなという感覚が湧き上がってきた。
「それで、この後はどうする予定ですか?」
「ん〜、まだ昼過ぎだしなぁ……」
時間としては、まだ午後に入ったばかり。
このまま、前も使っていた宿に行って休むというのもいいのだが、それだと何か時間が勿体ない気もしてしまう。
であれば、大図書館に行ってミヤさんに挨拶するのもいいかもしれない。
時期的には、もう図書館に籠もって新刊を読み漁ってる頃合いだろうし。
最悪、会えなかったとしても暇つぶしにはなるだろう。
「そしたら、大図書館に行ってミヤさんが居ないか探してみようか。
会えなかったとしても、暇つぶしにはなるしね」
「分かりました!
それじゃあ、道は……あっちですね」
「ストップ、ユメ。
途中で、宿に寄って部屋を取ってからにしよう」
待ちきれずに飛び出していったユメを急いで引き留め、最短距離から少し寄り道をするルートへの変更を伝える。
そうして、戻ってきたユメと並んで宿へと向かうのだった。
* * *
街に到着してからおおよそ一時間。
道中で無事に今夜の宿を確保した僕たちは、スカーサット大図書館へとやって来た。
入口で身分証をかざし、入場ゲートを通過。
中に入って辺りを見渡してみる。
基本的に机と椅子が並べられているのは中央だけなので、本を読むならその何処かに居るはず。
「……居ないな。
ユメの方はどう?」
「私も見つけられていません」
二人でミヤさんを探してみたが、その姿は見つけられなかった。
まあ、約束していたわけでもないし、会えなくても仕方は無い。
「まあ、そういう時もあるよね。
そしたら……、来てすぐに帰るのもアレだし、少し見て回ろうか。
もしかしたら、ここ以外にいるかもしれな――」
「あの、すみません」
今日は時間を潰して帰ろうかと、考えていた所で横から声が掛かった。
声を掛けてきたのは、胸に付けた職員証をつけているのを見るに大図書館の人だ。
彼女は僕たちの顔を見て、パッと明るい表情を見せる。
「ナギ様とユメ様、で間違いないでしょうか?」
「はい、確かに僕たちですが。
何かありましたか?」
「ああ、良かった。
ミヤ様より、お二人がお見えになった際に研究会議室へとご案内するようにと。
その様な言伝がありましたので」
「研究会議室ですか?」
「はい。
図書館の地下にあります、持ち出し禁止の書籍を使った研究等を行うための特別室です。
ミヤ様は本日、そちらにいらっしゃいます」
「あ~、そうだったんですね。
わざわざ、ありがとうございます」
ミヤさんの姿が無かったのは、単純に別の場所にいたからか。
図書館の地下にそんな場所があったとは、知らなかった。
「それじゃあ、申し訳ないですけれども案内をお願いします」
「はい、承りました。
それでは、職員用の通路を通りますので、離れないようにお願いいたします」
と、言うことで、職員さんの案内に従って僕たちは研究会議室へと向かうことになった。
* * *
コンコン
「失礼します」
案内してくれた職員さんを見送ると、僕は部屋の扉をノックしてから中に入る。
「お~、ナギ君にユメ君。
久しぶりだね。
ひとまずは、こっちに座るといいよ」
「それじゃあ、失礼します」
部屋に入ると、事前に探知か何かで気づいていたミヤさんがすぐに出迎えてくれた。
ミヤさんは中央に並んだ長机の真ん中に座っており、その横には本の山が三段。
横の席が空いており、ミヤさんはその空いた場所をトントン叩いて、ここに座るようにと示している。
僕とユメは、いくつかの視線に囲まれながら、その席に座った。
「えっと、それでこの状況は……?」
席に腰を落ち着かせると、僕はいの一番にミヤさんにそう尋ねる。
この状況――新刊の山に囲まれて読書をするミヤさん、それを囲む五人の研究者。
かなり、謎な状況である。
僕が研究者に向ける視線を読み取って、ミヤさんが合点がいったといった風な様子を見せてから、応えてくれた。
「ああ、彼らの事か。
彼らは学院の研究者、先の事件で僕のことを知ったみたいでね。
色々と僕の持ってる知識を聞きに来ているのさ。
まあ、僕の方も新しいことが知れるし、ウィンウィンってやつだね」
「ああ、そう言う……」
そうした説明を聞いてから彼らを見渡すと、皆一様に軽く頭を下げて挨拶をしてくれる。
「ま、彼らは彼らでここに研究のために来ているだけなのさ。
僕も僕で、読書の合間に知っていることを教えているだけだしね。
……が、皆すまない。
事前に伝えてあったように、今日はナギ君の方を優先したい。
まだ、数日はここに来る予定だから、続きは明日にしてもらおう」
ミヤさんが研究者たちにそう伝えると、彼らは示し合わせたかのようにパパっと広げていた資料を集めまとめると、順々に深々と頭を下げて部屋を後にしていく。
僕とユメはそんな様子を呆気にとられながら見送る。
そうして、部屋の中には僕とユメ、ミヤさんの三人だけが残された。
「彼らのことは、気にする必要などないさ。
元々、僕が本を読んでいる間はっていう約束だしね。
さて――それより、ナギ君の方もまた面白そうなことに巻き込まれたみたいじゃないか。
どうだい? 一緒に食事でもしながら、その話を聞かせてくれるかな?」
チラリと研究者たちの邪魔をしたんじゃないかと考えたことをミヤさんは見抜いたのか、先にそんなフォローを入れてくれる。
ただし、本題は後者の方。
ミヤさんは半ば身を乗り出しかけ、ワクワクが抑えきれないと言った風で僕の手を取るとそんな提案をしてきたのだった。
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