↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/8

第一話 物質を操る能力

第九話くらいから、力入れまくるんで期待して下さい!

人生(じんせい)というものは、思(おも)いどおりにならない。


それは、俺(おれ)が前世(ぜんせ)で学(まな)んだ数少(かずすく)ない教訓(きょうくん)の一(ひと)つだった。


努力(どりょく)すれば必(かなら)ず報(むく)われるわけではない。真面目(まじめ)に生(い)きていても、理不尽(りふじん)な目(め)に遭(あ)うことはある。望(のぞ)んでいない出来事(できごと)ほど、なぜか絶妙(ぜつみょう)なタイミングでやってくる。


……だが、さすがにこれは予想外(よそうがい)だった。


「おぎゃあ! おぎゃあ!」


誰(だれ)か、俺(おれ)を止(と)めてくれ。


いや、正確(せいかく)には、俺(おれ)の口(くち)を止(と)めてくれ。


頭(あたま)の中(なか)では、必死(ひっし)に冷静(れいせい)な言葉(ことば)を並(なら)べている。なのに、口(くち)から出(で)てくるのは赤(あか)ん坊(ぼう)の泣(な)き声(ごえ)だけだった。


俺(おれ)は今(いま)、誰(だれ)がどう見(み)ても赤(あか)ん坊(ぼう)だった。


手(て)を動(うご)かそうとしても、思(おも)うように動(うご)かない。起(お)き上(あ)がろうとしても、首(くび)すら満足(まんぞく)に支(ささ)えられない。


それなのに、頭(あたま)の中(なか)には自分(じぶん)が自分(じぶん)であるという感覚(かんかく)が、はっきりと残(のこ)っていた。


俺(おれ)は、どうやら別(べつ)の世界(せかい)に生(う)まれ変(か)わったらしい。


どうしてそうなったのか。


前世(ぜんせ)で何(なに)があったのか。


考(かんが)えようとすると、記憶(きおく)は霧(きり)の向(む)こうへ遠(とお)ざかってしまう。


少(すく)なくとも、今(いま)の俺(おれ)に分(わ)かるのは、ここが以前(いぜん)に暮(く)らしていた場所(ばしょ)ではないということだけだった。


「元気(げんき)な男(おとこ)の子(こ)ですよ」


柔(やわ)らかな声(こえ)が聞(き)こえた。


俺(おれ)を抱(だ)いているのは、一人(ひとり)の女性(じょせい)だった。疲(つか)れているはずなのに、その顔(かお)には穏(おだ)やかな笑顔(えがお)が浮(う)かんでいる。


その隣(となり)には、ほっとした様子(ようす)の男性(だんせい)が立(た)っていた。


「ありがとう。本当(ほんとう)にありがとう」


男性(だんせい)は女性(じょせい)の手(て)を握(にぎ)り、それから俺(おれ)の顔(かお)をのぞき込(こ)んだ。


「お前(まえ)が生(う)まれてくるのを、ずっと待(ま)っていたんだ」


……どうやら、この二人(ふたり)が俺(おれ)の両親(りょうしん)らしい。


「名前(なまえ)は決(き)めてある」


男性(だんせい)は、少(すこ)し照(て)れくさそうに笑(わら)った。


「ヴァラシーム・エレト。お前(まえ)の名前(なまえ)だ」


ヴァラシーム・エレト。


それが、この世界(せかい)での俺(おれ)の名前(なまえ)だった。


父親(ちちおや)の名(な)はヴァラシーム・ローニスというらしい。


母親(ははおや)は、俺(おれ)の頬(ほお)を優(やさ)しくなでた。


「よろしくね、エレト」


その声(こえ)を聞(き)いた瞬間(しゅんかん)、俺(おれ)の胸(むね)に不思議(ふしぎ)な感覚(かんかく)が広(ひろ)がった。


前世(ぜんせ)でどんな人生(じんせい)を送(おく)っていたのか、すべてを思(おも)い出(だ)せるわけではない。


それでも、今(いま)の俺(おれ)は確(たし)かに、この二人(ふたり)に愛情(あいじょう)を注(そそ)がれている。


だったら。


この人生(じんせい)を大切(たいせつ)にしよう。


せっかくもう一度(いちど)、生(い)きる機会(きかい)をもらったのだ。


今度(こんど)こそ、平穏(へいおん)に暮(く)らしたい。


大事件(だいじけん)に巻(ま)き込(こ)まれることもなく、命(いのち)がけの戦(たたか)いをすることもなく、家族(かぞく)と笑(わら)いながら生(い)きていく。


それが、俺(おれ)の新(あたら)しい人生(じんせい)の目標(もくひょう)になった。


……このときは、本気(ほんき)でそう思(おも)っていた。


まさか三年後(さんねんご)、その目標(もくひょう)が盛大(せいだい)に崩(くず)れ去(さ)るとは、夢(ゆめ)にも思(おも)わなかった。

三年(さんねん)という時間(じかん)は、長(なが)いようで短(みじか)い。


赤(あか)ん坊(ぼう)だった俺(おれ)は、少(すこ)しずつ歩(ある)けるようになり、言葉(ことば)も覚(おぼ)え、簡単(かんたん)な会話(かいわ)ならできるようになった。


そして、三歳(さんさい)になった俺(おれ)は、この世界(せかい)について少(すこ)しずつ学(まな)んでいた。


俺(おれ)が暮(く)らしているのは、ニア国(こく)の第三都市(だいさんとし)、マルノ。


町(まち)には石造(いしづく)りの建物(たてもの)が並(なら)び、商人(しょうにん)たちが道(みち)を行(い)き交(か)い、見慣(みな)れない道具(どうぐ)や食材(しょくざい)が店先(みせさき)に並(なら)んでいた。


魔法(まほう)が存在(そんざい)し、魔物(まもの)が人々(ひとびと)の脅威(きょうい)となり、職業(しょくぎょう)によって人間(にんげん)の能力(のうりょく)が大(おお)きく変(か)わる世界(せかい)。


前世(ぜんせ)の常識(じょうしき)だけでは、到底(とうてい)理解(りかい)できないことばかりだった。


「エレト、こっちへおいで」


ある日(ひ)、父(ちち)に呼(よ)ばれた俺(おれ)は、家(いえ)の中(なか)を小走(こばし)りで移動(いどう)した。


「なに、お父(とう)さん?」


「今日は、この世界(せかい)の職業(しょくぎょう)について教(おし)えておこうと思(おも)ってな」


父(ちち)は椅子(いす)に座(すわ)り、俺(おれ)を自分(じぶん)の前(まえ)に座(すわ)らせた。


「人間(にんげん)には、生(う)まれ持(も)った適性(てきせい)がある。三歳(さんさい)になると能力診断(のうりょくしんだん)を受(う)け、自分(じぶん)の職業(しょくぎょう)を知(し)ることができるんだ」


「職業(しょくぎょう)って、仕事(しごと)のこと?」


「似(に)ているが、それだけじゃない。職業(しょくぎょう)によって、戦(たたか)い方(かた)も、得意(とくい)なことも変(か)わる」


父(ちち)は指(ゆび)を一本(いっぽん)立(た)てた。


「まずは魔導士(まどうし)。遠(とお)くから魔法(まほう)で攻撃(こうげき)するのが得意(とくい)だ。ただし、敵(てき)に近(ちか)づかれると不利(ふり)になりやすい」


二本目(にほんめ)の指(ゆび)が立(た)つ。


「剣士(けんし)は近距離(きんきょり)で強(つよ)い。高(たか)い攻撃力(こうげきりょく)を持(も)つが、防御力(ぼうぎょりょく)は低(ひく)い。攻撃(こうげき)を受(う)ける前(まえ)に、敵(てき)を倒(たお)す必要(ひつよう)がある」


三本目(さんぼんめ)。


「格闘士(かくとうし)は攻撃(こうげき)と防御(ぼうぎょ)のバランスがいい。ただし、どちらも専門職(せんもんしょく)には及(およ)ばないことが多(おお)い」


四本目(よんほんめ)。


「盗賊(とうぞく)は素早(すばや)さが武器(ぶき)だ。動(うご)きの速(はや)い戦闘(せんとう)や、相手(あいて)の隙(すき)を突(つ)く戦(たたか)いを得意(とくい)とする」


五本目(ごほんめ)。


「僧侶(そうりょ)は仲間(なかま)を支(ささ)える職業(しょくぎょう)だ。後方(こうほう)から回復(かいふく)や支援(しえん)を行(おこな)い、失(うしな)われた命(いのち)を蘇生(そせい)させる力(ちから)を持(も)つ者(もの)もいる。高位(こうい)の僧侶(そうりょ)だけが使(つか)えるパニッシュメントという魔法(まほう)は、敵(てき)を消滅(しょうめつ)させるほど強力(きょうりょく)だ」


最後(さいご)に、父(ちち)は六本目(ろっぽんめ)の指(ゆび)を立(た)てた。


「そして絶防(タンク)。一般(いっぱん)にはタンクと呼(よ)ばれている」


「タンク?」


「敵(てき)の攻撃(こうげき)を受(う)け止(と)める役目(やくめ)だ。攻撃力(こうげきりょく)は低(ひく)いが、物理攻撃(ぶつりこうげき)にも魔法攻撃(まほうこうげき)にも強(つよ)い。仲間(なかま)を守(まも)るために欠(か)かせない存在(そんざい)だよ」


なるほど。


遠距離攻撃(えんきょりこうげき)の魔導士(まどうし)。


高火力(こうかりょく)の剣士(けんし)。


万能型(ばんのうがた)の格闘士(かくとうし)。


高速戦闘(こうそくせんとう)の盗賊(とうぞく)。


支援役(しえんやく)の僧侶(そうりょ)。


防御役(ぼうぎょやく)のタンク。


役割(やくわり)が分(わ)かれているのは、合理的(ごうりてき)だと思(おも)った。


「それなら、どの職業(しょくぎょう)でも、頑張(がんば)れば強(つよ)くなれるの?」


俺(おれ)が尋(たず)ねると、父(ちち)は少(すこ)し考(かんが)えた。


「もちろん、努力(どりょく)は大切(たいせつ)だ。ただし、職業(しょくぎょう)によって得意(とくい)な分野(ぶんや)は違(ちが)う。苦手(にがて)なことを克服(こくふく)するには、それだけ工夫(くふう)が必要(ひつよう)になる」


「ふうん……」


俺(おれ)はうなずいた。


正直(しょうじき)、戦闘(せんとう)に関(かか)わる仕事(しごと)なんて、できるなら避(さ)けたい。


この世界(せかい)には魔物(まもの)がいる。


それだけでも十分(じゅうぶん)に怖(こわ)いのに、わざわざ自分(じぶん)から危険(きけん)に飛(と)び込(こ)む理由(りゆう)がない。


できれば、普通(ふつう)の職業(しょくぎょう)に就(つ)いて、平和(へいわ)に暮(く)らしたい。


「ちなみに、お父(とう)さんは何(なん)の職業(しょくぎょう)なの?」


「俺(おれ)か? 俺(おれ)は――」


父(ちち)が答(こた)えようとした、そのとき。


母(はは)が台所(だいどころ)から顔(かお)を出(だ)した。


「ローニス、エレトに怖(こわ)い話(はなし)ばかりしないでね。まだ三歳(さんさい)なんだから」


「いや、これは大切(たいせつ)な知識(ちしき)だぞ」


「そうかもしれないけど、怖(こわ)がらせたら駄目(だめ)よ」


二人(ふたり)が言(い)い合(あ)う様子(ようす)を見(み)て、俺(おれ)は思(おも)わず笑(わら)った。


この家(いえ)は、居心地(いごこち)がいい。


だからこそ、俺(おれ)はこの暮(く)らしを守(まも)りたかった。


どんな職業(しょくぎょう)になっても、家族(かぞく)と一緒(いっしょ)にいられるなら、それでいい。


そう思(おも)っていた。


少(すこ)なくとも、明日(あした)までは。


第三話(だいさんわ) 超越者(ちょうえつしゃ)という最悪(さいあく)の結果(けっか)


能力診断(のうりょくしんだん)の日(ひ)は、あっという間(ま)にやってきた。


朝(あさ)から父(ちち)は落(お)ち着(つ)かなかった。


服(ふく)を整(ととの)え、俺(おれ)の髪(かみ)を直(なお)し、何度(なんど)も「忘(わす)れ物(もの)はないか」と確認(かくにん)する。


いや、俺(おれ)は三歳(さんさい)なんだけど。


忘(わす)れ物(もの)を気(き)にする年齢(ねんれい)だろうか。


「エレト、緊張(きんちょう)しているか?」


「ちょっとだけ」


「そうか。大丈夫(だいじょうぶ)だ。何(なに)が出(で)ても、お前(まえ)は俺(おれ)の息子(むすこ)だからな」


父(ちち)はそう言(い)って笑(わら)った。


その言葉(ことば)に、俺(おれ)は少(すこ)し安心(あんしん)した。


診断(しんだん)の場所(ばしょ)には、同(おな)じ年頃(としごろ)の子供(こども)たちと、その家族(かぞく)が集(あつ)まっていた。


子供(こども)たちは緊張(きんちょう)している者(もの)もいれば、はしゃいでいる者(もの)もいる。


その様子(ようす)を見(み)て、俺(おれ)は心(こころ)の中(なか)で祈(いの)った。


魔導士(まどうし)でもいい。


剣士(けんし)でもいい。


格闘士(かくとうし)、盗賊(とうぞく)、僧侶(そうりょ)、タンク。


どれでもいいから、普通(ふつう)の職業(しょくぎょう)であってくれ。


強(つよ)くなくてもいい。


特別(とくべつ)じゃなくてもいい。


目立(めだ)たず、危険(きけん)を避(さ)け、静(しず)かに生(い)きられれば、それで十分(じゅうぶん)だ。


やがて、診断(しんだん)の順番(じゅんばん)が回(まわ)ってきた。


判定者(はんていしゃ)が俺(おれ)の前(まえ)に立(た)ち、手(て)をかざす。


「では、始(はじ)めます」


淡(あわ)い光(ひかり)が広(ひろ)がった。


最初(さいしょ)は何(なに)も起(お)きなかった。


ところが、数秒(すうびょう)が経(た)つと、光(ひかり)の色(いろ)が変(か)わり始(はじ)めた。


判定者(はんていしゃ)の眉(まゆ)が動(うご)く。


もう一度(いちど)、手(て)をかざす。


光(ひかり)が強(つよ)くなった。


「……おかしいな」


その一言(ひとこと)を聞(き)いた瞬間(しゅんかん)、俺(おれ)の背中(せなか)に嫌(いや)な汗(あせ)が流(なが)れた。


おい。


何(なに)が起(お)きている。


普通(ふつう)に診断(しんだん)してくれ。


判定者(はんていしゃ)は結果(けっか)を確認(かくにん)し、慎重(しんちょう)に口(くち)を開(ひら)いた。


「この子(こ)の職業(しょくぎょう)は……超越者(ちょうえつしゃ)です」


空気(くうき)が止(と)まった。


周囲(しゅうい)のざわめきが、一瞬(いっしゅん)だけ遠(とお)くなった気(き)がした。


「超越者(ちょうえつしゃ)……?」


誰(だれ)かが小(ちい)さくつぶやく。


父(ちち)は目(め)を見開(みひら)いていた。


母(はは)は驚(おどろ)いた顔(かお)のまま、俺(おれ)を見(み)つめている。


判定者(はんていしゃ)は、さらに説明(せつめい)した。


「六(むっ)つの一般職(いっぱんしょく)とは異(こと)なります。超越者(ちょうえつしゃ)は、通常(つうじょう)の職業(しょくぎょう)の枠(わく)に収(おさ)まらない、特別(とくべつ)な分類(ぶんるい)です」


……終(お)わった。


俺(おれ)の平穏(へいおん)な人生(じんせい)、終了(しゅうりょう)。


いや、まだだ。


職業(しょくぎょう)が珍(めずら)しいだけかもしれない。超越者(ちょうえつしゃ)だからといって、必(かなら)ず戦(たたか)わなければならないわけではないはずだ。


そうだ。


落(お)ち着(つ)け、俺(おれ)。


問題(もんだい)は、能力(のうりょく)の内容(ないよう)だ。


「それで、エレトの能力(のうりょく)は何(なん)なのですか?」


父(ちち)が尋(たず)ねた。


判定者(はんていしゃ)は、結果(けっか)を見直(みなお)した。


「物質(ぶっしつ)を操(あやつ)る能力(のうりょく)です」


「物質(ぶっしつ)を……操(あやつ)る?」


父(ちち)が聞(き)き返(かえ)す。


俺(おれ)も心(こころ)の中(なか)で、その言葉(ことば)を繰(く)り返(かえ)した。


物質操作(ぶっしつそうさ)。


土(つち)や石(いし)、金属(きんぞく)などを操(あやつ)れるのだろうか。


それとも、もっと別(べつ)のことができるのか。


具体的(ぐたいてき)なことは、まだ分(わ)からない。


しかし、もし本当(ほんとう)に物質(ぶっしつ)を自由(じゆう)に操(あやつ)れるなら、使(つか)い方(かた)次第(しだい)では強力(きょうりょく)な能力(のうりょく)になるかもしれない。


……問題(もんだい)は、俺(おれ)がそれを使(つか)いこなせるかどうかだ。


「すごいじゃないか、エレト!」


父(ちち)は俺(おれ)を抱(だ)き上(あ)げた。


「お前(まえ)は特別(とくべつ)な才能(さいのう)を持(も)っているんだ!」


母(はは)も笑顔(えがお)で俺(おれ)を抱(だ)きしめる。


二人(ふたり)が喜(よろこ)んでくれるのは、素直(すなお)に嬉(うれ)しかった。


けれど、俺(おれ)の気持(きも)ちは複雑(ふくざつ)だった。


特別(とくべつ)な才能(さいのう)。


珍(めずら)しい職業(しょくぎょう)。


未知(みち)の能力(のうりょく)。


そんな言葉(ことば)が並(なら)ぶほど、俺(おれ)の望(のぞ)みからは遠(とお)ざかっていく。


「……普通(ふつう)に暮(く)らすのは、難(むずか)しいのかな」


小(ちい)さくつぶやいた声(こえ)は、誰(だれ)にも聞(き)こえなかった。


その日(ひ)、俺(おれ)は一(ひと)つのことを決(き)めた。


特別(とくべつ)な職業(しょくぎょう)になってしまったのなら、せめて能力(のうりょく)をきちんと理解(りかい)しよう。


自分(じぶん)の身(み)を守(まも)れるようになれば、危険(きけん)な目(め)に遭(あ)う可能性(かのうせい)も減(へ)るはずだ。


俺(おれ)はまだ三歳(さんさい)。


先(さき)のことを心配(しんぱい)しすぎても仕方(しかた)がない。


まずは、自分(じぶん)に何(なに)ができるのかを知(し)るところから始(はじ)めよう。


こうして俺(おれ)の訓練(くんれん)が始(はじ)まることになった。


そして、俺(おれ)はまだ知(し)らなかった。


この世界(せかい)には、俺(おれ)の能力(のうりょく)だけでは説明(せつめい)できない、奇妙(きみょう)な仕組(しく)みがあることを。


人(ひと)は百歳(ひゃくさい)に達(たっ)すると、自分(じぶん)の望(のぞ)む年齢(ねんれい)の姿(すがた)を選(えら)べる。


一度(いちど)選(えら)んだ姿(すがた)は、その後(あと)、一生(いっしょう)変(か)わらない。


そして、いつか俺(おれ)は、その法則(ほうそく)と、伝説の勇者(でんせつのゆうしゃ)と呼(よ)ばれた自分(じぶん)の祖父(そふ)に出会(であ)うことになる。


その再会(さいかい)が、世界(せかい)の運命(うんめい)さえ揺(ゆ)るがすことになるとは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。