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夜明けのソラの契承者 悠久漂流帝国  作者: やたか なつき
四章「継承者」
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「警告への応答なし。

敵艦、速度進路、変わらず。

間もなく、前陣艦隊の中央に接近。

一次防衛ラインに侵入します」

 士官の一人が現在の状況を報告する。

それは、間もなく、戦いが始まることを予告していた。

艦橋からは、既に一時の喧騒は失われている。

前を見据え、その時が訪れることを待っていた。

「前陣艦隊の攻撃管制を同期。

有効射程に到達した瞬間に斉射を行う」

「攻撃管制の同期を確認。問題ありません」

「やはり、迂回してはくれなんだか。

困ったものだ」

「いよいよですね」

 ため息をつくシャルケに参謀の一人が声をかける。

「ああ、そうだな。

貴官はどう考える?」

「小官であれば、勝算のない戦いは挑みません」

「私もだよ。

ならば、敵は勝とうとしている。

そう考えるべきなのだろうな。

にわかには信じがたいことだが」

「それが、愚かな思い上がりであれば良いのですが」

「怖いか?」

 握りしめた拳は揺れていた。

「いえ、ただ、悔しいのです」

「そうか、だが、そう悲観することはない。

皇帝陛下は仰っておられた。

未来を見据え、帝国の威光を示せとな。

ここで終わりではないと、そう告げられたのだ。

ならば、我らは、それを信じ、その礎となるだけだ」

「有効射程まで、三〇カウント」

 声が響き渡る。

艦橋にいる者全てが、永遠にも感じられる時間を過ごした。

敵艦の座標を示す赤い柱体。

立体俯瞰図の中で明滅していたそれが、遂に実在する脅威として現れた。

「敵艦、有効射程に入りました」

「撃て」

 シャルケは、ただ命じた。

その瞬間、宇宙は眩い光に包まれた。

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