ミュークシュ王国
広大に広がる砂漠の中を走る馬車の中に俺はいた。
「あとどれくらいでミュークシュ王国に着くんだ?」
「そーっすね、この調子やと、あと6時間は掛かりますぜ旦那。」
「6時間か…いよいよだな…」
そんなことをつぶやきながら俺は思い出す、
幼い頃の記憶を…
ーーーおいレオ、起きろよレオ!
目を覚ましたらそこには俺の親友のジャックの姿があった。
「どうしたんだよ、、、ジャック」
俺はまだ寝ぼけてる目をこすりながら訪ねた
「どうしたも、こうしたもねえだろ!
今日始めての狩りに行くんじゃなかったのかよ!」
「…」
俺はレーフィ(炎系の呪文)でもかけられたかのような勢いで布団から飛び出た
「どっぐうぁ!!!」
その勢いでジャックの顔面を蹴ってしまったらしいが今はそれどころじゃなかった、
急いで昨日の夜に用意した皮のマントとお鍋を頭に装備した。
そう今日は俺の10歳の誕生日で、始めて狩りに出かける日なのだ。
村のみんなにばれないように夜中に出発しようと俺が提案したんだけど…慣れない早起き計画はどうやら失敗してしまったようだ。
「準備おっけー!はやく行こうぜジャック!」
装備を終えた俺は、まだのたうちまわってる、ジャックに言った。
「いちち…おめぇなぁ…まぁいい今から狩りに行くんだ、こんなところで時間使ってらんねえからな。それよりおめぇ武器はどうしたんだ?」
ジャックに言われてハッと気づいた、
皮で作ったマントにお鍋のフタをかぶり重装備…なんて思ってたけどよく考えたら1番重要な武器が俺にはなかった。
ジャックを見てみたら腰には立派な短剣があった。
立派といっても今思えばそこまでなんだけど、
子供が、使うのには十分すぎるものだろう。
「ぁあ…ちょっとまってて!」
俺はキッチンにむかった。
そしてキッチンに置かれてる野菜などを切るためのナイフを選び1番良さそうなのを持ってきた
「おいおい、なんだよそれ、そんなんで狩りができるかよ。」
ジャックが鼻で笑いながらそういう。
俺は手に持ったナイフを持ちながらこういった。
「甘いなジャックこれだって立派な剣だ、
剣は魂と同じ、全ては使い手次第なんだよ。」
「レオ…すまねぇやっぱりおめぇは男の中の男だ!よっしゃ!そうと決まればさっそく出発しようぜ!」
「おう!そうだな!」
そういって俺たちは村の門へと向かった。
俺たちが門を出ようとした瞬間、、、
「止まりなさいよ!あんたたち!!!」
やばい…誰かに見つかった。
門を出ようとしたまさにその瞬間、俺たちは誰かに呼び止められた。
そして恐る恐る後ろを振り返ってみた…
が俺たちの緊張はすぐに解かれた。
「なんだ…おめえかよ、びっくりさせやがって」
俺たちを呼び止めたのは俺たちの幼馴染で一歳年上のマイカという女の子だった。
「なんだとはなによ。あんたたちがまたなんか変なことしようとしてるから、わざわざこんな朝早くに起きてきてやったのよ。」
「んだとこら!変なことじゃねーよ!
俺たちゃ今から戦いにいくんだぞ。それをおめぇはーーーー」
「はぁ…」
俺はため息をついた。
まーた始まったよと言わんばかりのだ。
そうマイカは女の子だけどすごく気が強いのだ。
その性格からよくジャックと揉めているのだが、、、
こうなった二人はちょっとやそっとじゃ止まらない。
もちろん仲がいいからこその喧嘩ってことは俺もよくわかってるけど、正直喧嘩を止める立場の俺からしたらすげーめんどくさい。
「二人とももうやめろよ、あんまり騒ぎすぎると大人達が起きるぞ。」
「だってこいつがよ!」「だってこいつが!」
二人が口を揃えて俺に迫ってきた。
「わかった、わかった。それよりマイカはなんでここにいるんだ?」
「え…だからあんた達が変なことしようとしてるから追いかけてきたんだって。」
ジャックがまた噛みつきそうになったところを、手で押さえながら俺は再び問い詰めた。
「こんな朝早くなのにご苦労様だな。それに結構武装してみるたいだけど。」
見ればマイカは俺と似たような皮のマントを装備していた。そして腰には、いかにも子供が作りました、という木でできたスティックがあった。
「ん…こ、これはあれよ…そう普段からこーゆ格好してるのよ、、、」
「そっか。じゃあ俺たちの会話を盗み聞きして自分も狩りについて行こう…って思ったんじゃないんだな。」
「ん、いや、それは…えっと。」
どうやら図星のようだった。
「ははーん。おめぇそーゆーことだったのかよ。」
ジャックがニヤニヤしながらそう煽った。
「う、うるさい!!!」
ばこーんと、
マイカがジャックの顔面に回し蹴りをいれた
「どっぐぁ!!!」
クリーンヒットのようだった。
ジャックはその場で倒れこみ、のたうちまわっていた。
俺はその様子をポカーンと口を開けてみていた。
マイカの家は道場で幼い頃から武術を学んでいた。
おそらくこの中の誰よりも強いだろう。
だけど俺はいった。
「けどマイカ、狩りには連れて行けないよ。俺たちだって初めての狩りだし、、、何か会った時、責任がとれない。」
「あら、私の方があんたたち二人より随分強いことくらいレオにもわかるでしょ。
それにいいの?二人が勝手に村の外で狩りをしてた、なんて私のパパに言っちゃったらしばらく道場から出て来れないでしょーねー。」
う…痛いところをつかれた、マイカは口は弱いけどこうゆう悪知恵はよく思いつくのだ。
でもこの場合悪いのは俺たちのほうか…
「わかった。でも一つだけ、少しでもヤバイと思ったらすぐに逃げてくれ。」
「はいはーい。」
マイカは頷いた。
「じゃ、そろそろ起きろよジャック。」
俺は倒れてるジャックに手を差し伸べた。
「いちち…なんで狩りにいく前に2回もダメージを受けなきゃなんねーんだよ。」
差し伸べた俺の手に捕まり、立ち上がりながらジャックはそう愚痴った。
「まぁそう言うなって、そろそろ気持ち切り替えていこうぜ!」
「おおお!いよいよだな!くぅぅ燃えてきたぜ!じゃ、おめぇら準備いいか?」
ジャックが指揮をとった。
「なんであんたが指揮るのよ…準備おっけーよ」
マイカがジト目でそういった。
「へへ、リーダーは俺様だからな!レオはどーだ?」
「ああ、準備おっけーだよ。」
俺はグッドサインを出してそういった。
「よっしやぁ!出発だあ!!!」
「おー!」
俺たちが声を揃えて言った。
ーーー旦那、旦那付きやしたぜ
「ん、ぁあ…ありがとう。」
どうやら回想の途中で寝てしまったらしい。
続きはまた今度話すとしよう。
「へへへ、旦那お礼より先に例のあれ頼みやすよ。」
「ぁあ、わるかった。受け取れ」
俺は全財産が入った袋を運び屋の男に渡した。
「へへへ、確かに受け取りやしたぜ。
じゃ、あっしはこれで。」
そういって運び屋は馬車にのって先に進んで行った。
俺は周りを見渡した。
辺り一面は砂漠、そしてそこにそびえ立つ大きな城下町。
ミュークシュ王国ーーー全てのハンター達が集まる
別名狩人の墓場と呼ばれる、この国に俺は用があった。
ここには世界一のハンター本部がある、そこで俺は正式にハンター登録しに来たのだ。
ハンター登録をすればハンターの証を貰え、任務を受けれるようになるのだ。
そう、俺は正式にハンターになるためにここにきた。
「とりあえず行くか。」
俺はミュークシュ王国の城下町に入った。
城下町は異常なほど賑わっていた。
武装をしているハンター達の人混み、
昼間から酒を飲んでる奴ら、賭け事をしている奴らもいる。
そんな周りの様子を見渡しながら人混みの中を歩いていたら、俺は人にぶつかってしまった。
前を向くとそこには、右足の無い大男がいた。
「あ、すまない。」
俺は謝った、、、が返事が返って来ない。
そして俺はあることに気づいた、この男は俺とぶつかったことに気づいていなかった。
こいつの目には見覚えがあった。
地獄を見たかのような目、
おそらく前の狩りで酷い思いをしたショックで絶望に打ちひしがれてるのだろう。
この男の右足と目がそう覚えさせる。
なるほど…狩人の墓場か。
よく見てみたら盛り上がってる奴の他にも死体のような雰囲気を放ってる奴らもゴロゴロいた。
この盛り上がってる奴らも、そうゆう気分を紛らわすために無理に上げているのかもしれない。
とりあえず俺は武器屋を探すことにした。
今の俺は果物を切るナイフはおろか、
なにも装備していなかった。
武器も持ってない奴をハンター本部が通してくれるとは思えない。
ニ、三十分ほど城下町をウロウロしていたら、遠くにそこそこ繁盛している武器屋を見つけた。
遠くから見てみるにその武器屋は、なにか盛り上がってるらしい。
イベントか何かか?
しかし、近づいて行くごとにそれがただのイベントではないことが分かった。
揉め事だ。
ガタイのいい二十代くらいの重装備の男と、ひょろそうなガキが店の前で揉めていた。
そしてそれを取り囲むように、ギャラリー達が集まっている。
止める義理はないが、俺は事情を周りの野次馬に聞いて見た。
「なにかあったのか?」
「ああ、あのエヴァインにあのガキが喧嘩をふっかけたらしいんだ。」
野次馬はそう答えた。
「エヴァイン?」
あのゴツいやつの名前か。
「まさかあんたエヴァインを知らんのか?最近巷で有名なハンターだよ。セコイやり方でランクを上げたって噂の奴さ」
いかにも小者そうなやつだな、
だが見た感じ腕は良さそうだったし、
そしてなにより、あいつは経験者の目をしていた。
「もう一度…もう一度僕の剣を侮辱してみろ!お前を許さない!」
ガキの方が怒鳴り出した
「おいおいそれが剣だぁ?笑わせるなよクソガキぃ、そんなのじゃ果物も切れやしないぜ?」
「くそ…くそおおお!」
そう叫びながらガキはエヴァインに剣を向け突っ込んでいった。
「かわされるな…」
俺は呟いた。
案の上エヴァインはその剣をひょいとかわした。
全く…見てられないな。
「おっとっと〜あぶねぇなぁ、お?これって正当防衛で俺はなにしてもいいんだよなぁ?」
そういいながらエヴァインは背中にある斧に手をかけガキを斬る動きにでた。
「やめときな。」
振り下ろすまさにその瞬間俺はエヴァインの腕を掴みそれを阻止した。
「うっ、なんだよてめぇはよ。このガキの兄貴かなんかか?」
「なるほど、確かにつよいな、正し力だけだがな。」
俺はそのままエヴァインの斧を持った腕を逆方向にねじり上げた。
「うがぁっ…なんだこいつぁ」
「力の使い方が下手くそなんだよお前。」
そういいながら俺はあいつの手を離した。
「クソッタレが…殺してやるぅ!!!」
エヴァインはそのまま斧で、俺に斬りかかってきた
「ちょっとこの剣借りるぜ。」
俺は後ろで倒れてるガキの手から剣をとり。
エヴァインの斧を受け止めた
ガキーン
鈍い音が鳴り響いた、
全身に振動が行き渡る。
「なるほど、なかなか重たいじゃないか。」
「おい、あいつナイフでエヴァインの殺人アックスを止めやがったぞ!?」
ギャラリーが騒つく。
「くそがぁぁぁぁぁぁ!!!!」
エヴァインは競り合ったまま力技で俺を押してきた。
マズイな、このまま競り合いを続ければ流石に負ける。
純粋な力勝負では俺よりエヴァインの方が一枚上手だ。
ならば、、、
俺は競り合っていた剣の力を一気に緩めた。
「ぬおお?!」
その表紙でエヴァインは顔面から斧ごと地面に突っ込んだ。
その瞬間を俺は逃さなかった、俺は倒れたエヴァインに起き上がる隙を与える間も無く、やつの首に剣を当てこう言った。
「これは剣だ、お前の命くらい簡単に奪える。思い上がるなよ、剣は魂…全ては使い手次第だ。」
「はぁはぁ…」
息を切らしたエヴァインはそのまま斧を手から離した。
戦意喪失、俺の勝ちだ。
「うおおおおなんだあいつぁ!!!!」
「エヴァインの野郎を倒しやがったぞ!!!」
まずいな…ギャラリーが騒ぎ始めた
気づけば最初にいた時より、2倍以上ギャラリーが増えていた。
ここで騒ぎを起こしてしまったら、めんどくさいことになってしまう。
するとさっきまで倒れていたガキが、急に俺の服を持って走り出した。
「なんのつもりだ?」
俺は走りながらガキに聞いた。
「なんのつもりって…あんな騒ぎ起こしたら、ハンター本部の奴らが来ちゃうよ!」
どうやらガキは、俺をつれて逃げようと測っていたらしい。
「近くに隠れれる場所でもあるのか?」
「ちょっと遠いけど、僕の家があるよ。あそこなら騒ぎが収まるまで隠れられる!」
ガキが俺の質問に答える。
しかしそれにしてもペースが遅すぎるな。
こんなんじゃおいつかれてしまう。
俺はガキの手を掴んだ。
「ついてこいよ?」
「え?」
ガキがそう反応した瞬間、俺はスピードを一気にあげた。
人混みの中をかき分け、マックススピードを出した。
全身に逆風があたり、
耳元で風の音がゴウゴウと唸りを上げた。
「うわぁぁぁぁぁぉぉぁ。」
ガキが奇声をあげる。
そしてスピードについて来れなくなったガキが掴んでいた俺の手から離れそうになった。
「おい!!!足を地面から上げて、俺の肩につかまれ!!!」
今にも飛んでいきそうなガキに俺は指示をした。
「わ、わかった!けど前!前!!!」
前?そういって俺は前をみた。
俺たちが走ってる四十メートルくらい先に、
全身に同じ鎧を着て、槍を装備している奴らが
待ち伏せをしていた。
なるほど、ハンター本部の奴らか。
仕事が早いことで、、、
ここで戦闘をしてもいいけど、それこそ罪人になってしまう。
なら、、、
「おいガキ!!!さっきもいったように肩につかまれ!!!絶対に離すなよ!」
俺は前を向きながらそう叫んだ。
「わ、わかったよぉ!!!!」
「よし、、、いくぞ!!!!」
俺たちと鎧集団(といっても三人だけ)
との距離が8メートルくらいになった時、
俺は全身の全ての力を足に集中させ、
全力スピードのまま、大ジャンプをし、鎧集団たちを飛び越えた。
「うるおおおおおおおおおお!!!!!!」
「ぎゃぉぁぁぁぉぉぁぁぁぉぁ!!!!」
そして鎧集団たちの五メートルくらい先に着地した。
鎧集団たちが呆気に取られてる間に、俺たちはすぐさま走り出した。
あの武装ではもう、俺たちに追いつくことは出来ないだろう。
ハンターになるために鍛えた俺のジャンプ力をまさかこんな所で、初披露することになるとは、
思ってなかったが、
ともあれ、やっと一息がつける。
俺は立ち止まり言った。
「よし、ひとまず巻いたから、こっからはナビ頼んだぞ。」
「あ、ああ…うん任せて。」
どうやらこいつも俺のスピードとジャンプ力で放心状態らしい。
全く…だらしないやつだな。
ここからは何事もなく、家に着いたのでカットしよう。




