玖話 刀一本で兵士も兵器もズバッと斬る。ロマンじゃね?
そう言えば、白零初めての実戦描写です。
アクロバットな剣術が好きです。
さて、敵の数は八匹(?)囲まれたらまずい。
しかも、各々武器持ってるし、鎧着けてるし、強そうだ。
だがこの戦いは浜辺とは違って護る戦い……、
そのためにはこの娘の近くで戦うのは危ない。
武器が長い刀ならなおさらだ。
だから……
「千代。聞こえるか、千代」
『うん。聞こえるよ零ちゃん』
俺はトランシーバーで千代に指示を出す。
「千代。お前、狙撃はできるか?」
『うん。大丈夫だよ。狙撃銃があればいけるよ』
「なんで、そこまでできるんだ……」
さすがに突っ込まずにはいられなかった。
もうそれ自衛じゃなくて自分からやりに行ってるじゃん。
「なにをごちゃごちゃと……!」
蜥蜴男が邪魔をしてきたが、
……ヒュン!
「うお!」
どうやら千代が狙撃してきたようだ。
「邪魔すんな!」
とりあえず牽制をした。
「さて……」
俺は風精族の女の子に指示を出す。
「おい」
「な、なによ……」
「お前、もう少し走れるか」
「え?」
「どうなんだって言ってるんだ」
「それは、大丈夫だけど…」
よし、ならば……
「いいか。あっちの森に俺の相棒がいる。お前はそっちに向かって走れ」
「え! あんたはどうするのよ!?」
「俺はこいつらが追ってこないように倒しておく」
「な、なに言ってるのよ! 人間が複数の火蛇族に挑むなんて無茶よ! それに、見た所防具は着けてないし、剣だって細くて脆そうだし、そんな装備で大丈夫なの!?」
「大丈夫だ、問題ない」
「問題あるって! こいつらは火蛇族の中でも中位の蜥蜴人よ!」
え、ランクがあるの? しかも中位!?
「………大丈夫だ。俺に任せろ」
「返事が遅いわよ」
「大丈夫! 俺は用心棒だから死なない。だから……」
これは倒すためではなく護るため!だから……
「お前は俺達が護る! だから信じろ!」
「……! ……わかった!」
「千代! そういう訳で今からこの女の子がお前の所へ行く! 追いかけている奴がいたら撃て!」
『わかった』
「そろそろ始めたらどうなんだ」
すると、待ちくたびれたのか蜥蜴男たちの一人が突撃の構えを取った。
「そうだな。そんじゃあ……」
俺は女の子に目配せをした。
「行け!」
「はい!」
風精族の女の子は一直線で千代の元へと走った。
「あ!」
「待ちやがれ!」
蜥蜴男が風精族を追いかけようとしたので。
「てい!」
「うお!」
「ぶへ!」
蜥蜴男の足にローキックをしてこかした。
「さて、お前らの相手は………俺だぁ!」
さて……零ちゃんに言われた通り、女の子を追いかけている蜥蜴男さんを狙撃しています。
さぷれっさー(発砲音を出さないためのものです)を着けていますので、私の場所は気づかれません。
あ、一匹来ています。
私は追ってくる蜥蜴男さんの足に向けて発砲しました。
普通の弾丸だと傷すらつきませんので徹甲弾を使っています。
さすがに強すぎるかなと思ったのですが……
「い、いてぇ――――――――――!!」
どうやら痛いで済んだようです。
蜥蜴さんは頑丈ですね。
「あ、また追いかけようとしている」
もう一度発砲しました。
「ぐあっ!?」
大丈夫です。
死なないように配慮していますから。
もっとも……
「い、痛てぇ――――――――――!」
痛覚までは保障できません。
あ、風精族さんが来ました。
「大丈夫ですか?」
「あ、あなたが相棒?」
「うん、そうよ」
私は周りを見て警戒しつつ、今度は零ちゃんの援護に回ります。
「あの、なんなのそれ?」
「うん?」
どうやら風精族さんは銃が初めてのようです。
しかし……
「説明は後でしますので風精族さんは周りを警戒してください」
「わ、わかった」
私は銃を構えて向こうを見ます。
零ちゃんに援護です。
さてと、俺は今現在、平原で蜥蜴男たちと交戦中だ。
ってか、同じ顔ばかりなのでABCと分けよう。
浜辺の蛇男よりは強そうな蜥蜴男と闘ってみた所…
「はあっ!」
斬れました。
「ぐあ……!」
「な! なんで刃が通るんだよ!」
こいつらの鱗はとても硬い。はっきり言って鉄みたいだ。
しかし、斬鉄など刀でできないことはない。
それに、硬い鱗でも隙間はある。そこを斬ればいいし。
「うらぁ!」
蜥蜴男Aが持っている剣を縦一直線に振り下ろした。
「食らうかぁ!」
俺は振り下ろされた剣を白刃取りをし、
「はっ!」
思いっきり脚を振り上げ……
「なに!?」
剣を上へ蹴り飛ばし、奪った。
そして、奪った剣を隣の蜥蜴男Bに投げた!
「ぎゃあ!!」
「なに!?」
投げた剣は蜥蜴男Bの太ももに深く刺さった。
「身刀流。刀手の段・白刃盗り!」
と、その時。
「こいつ!」
「なんの!」
俺は殴り掛かった蜥蜴男Aの拳を躱し、その腕を抱えて……
「ふん!」
ごきゅ!
「ぎぃああああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
関節を極めた。良い子は捻挫、脱臼まではするなよ。
今分かったが、こいつら鱗は硬くても関節は普通の様だ。
「おい! 大丈夫か!?」
「くそ! さっきからなんなんだ貴様は!」
「用心棒だ」
「ふざけ……ぐあぁ!」
お、千代が援護射撃してきた。
蜥蜴男Cは両足を撃たれた。
「くそっ! こうなったら!」
「おい! まさか人間相手に精霊術を……!」
「うるせえ! もう容赦なんかしねえ! ぶっ殺してやる!」
ん? 精霊術?
「すううううぅぅぅぅぅぅ……」
蜥蜴男の一人が大きく息を吸うと……
「【火炎吐息】!」
俺の目の前に炎が噴射され…
「……えっ!?」
こいつ口から火を噴きやがった!
「うおおおおおお!?」
全力で横へ跳んで回避した。
「な、なんだ今の!?」
「ふん! これが精霊術だ!人間にはできまい!」
おいおい、火蛇族って名前だからって火を噴くなんて……
「これなら弾くことはできまい!」
「く……!」
どうするんだよこれ……
『……!? きゃああああぁぁぁぁぁ!?』
「……!」
トランシーバーから突如聞こえた風精族の悲鳴。
いったい何が……!
「おい! どうした千代!」
『零ちゃん大変! 他の蜥蜴男に見つかっちゃった! 援護ができないよ!』
『ここ……いたか……よく……』
『う………!』
すると銃声音が千代のいる所から大きく響いた。
余裕がないのか、発砲音を抑えてないぞ。
「おまえら! 一斉に構え!」
「「「すううううぅぅぅぅぅぅ……」」」
って、一斉発射かよ!
……ならば!
「発っ!」
「…………来る!」
目の前にすごい勢いで火炎が襲う。
「身刀流! 鞘の段・踏跳!」
俺は鞘を垂直に立てて、そこに足をかけて跳んだ。
そして、炎の壁を飛び越え、火を噴いている蜥蜴男Dの肩に、
「ていやぁ!」
体重をかけて、刀を突き刺した。
「ぐあああああ!」
「なに!?」
「いつの間に上に!? このっ!」
「おっと!」
俺は鞘を回収しつつ攻撃を回避した。
あと三匹!
「こいつ!!」
「おおっと!」
蜥蜴男は怒っても冷静だ。
火吹きしかしてこなくなった。
「……ちっ!」
交互に吹くため隙は狙えない。
しかも一匹は上を警戒している。
同じ手は使えない。
その上、千代からの援護はなし、か…
だが……
「ならこうするまでだ!」
火炎放射の場合、下手に逃げの姿勢を取るよりは立ち向かった方がいい。
俺はタイミングを見計らうためじっとした。
「なんだ、諦めたか? ふん、これで終わりだぁ!」
まだだ、まだ……
「くらえ!」
もう一度炎が襲い掛かる。
今だ!
俺は火吹きが終わり、次の火吹きが行われるわずかな“間”を狙い、駆け出した。
地面を滑るようにして、火の中へ突撃し……
「……! 何!?」
火を吹いている最中の蜥蜴男Eの足元に到着。
「てぇああ!」
そして……
「ぐああああ!」
即座に足で蜥蜴男Eを蹴り上げ、空中に飛ばし……
「まだまだぁ!」
自分も跳んで上昇中の蜥蜴男Eに……
「本来は刃だが、峰打ちで勘弁してやる」
思いっきり峰打ちで地面に叩き落とした。
「身刀流! 刀手の段・飛斬!」
地面に強く落下した蜥蜴男Eは……
そのまま気絶したのだった。
「あと二匹!」
「こいつ……!」
蜥蜴男が火を吹こうとしたが…
「遅い!」
「ごがっ!?」
俺は鞘を投げて、蜥蜴男Fの口の中に突っ込んだ。
突然口が詰まってしまった蜥蜴男Fに追い打ちをかけた。
「しばらく寝てろ」
「が……!」
よし、あとは……
「このガキ! 調子に乗りやがって!」
「俺の腕を……!」
「ぶっ殺してやる!」
あれ? AとBとDが復活しやがったし。
「もう謝っても許さないからな!」
蜥蜴男Gが便乗しやがるし。
だがな……
「こっちだって許さないからな」
「なに……?」
悪いが、無抵抗の女の子追いまわしたのはいただけねえ。だから……
「少しだけ痛い目見てろ!」
そう言って俺は残る四匹に突貫していったのであった。
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「さて、これでいいかな」
刀を仕舞った俺の前には蜥蜴男共が皆、無力化して倒れている。
もちろん、一人も殺していない。
「あーあ、ジャージがボロボロだよ」
地面を滑るわちょっと焼けてしまうわ散々だよ。
ま、運動着だから汚れるのは必然だが…
「な……なぜだ……」
「ん?」
振り向くとそこに意識が朦朧とした一匹がいた。
「それだけ強くて……なぜ殺さない……」
「そんなもん簡単だ」
言われなくても、な。
「俺は用心棒だ。殺し屋じゃねえ。護るのであって殺すんじゃないんだ」
「護る……だと……?」
「ああ」
「…………俺には……わかんねえや……ぐっ……」
そう言って意識を失ったのだった。
おっと、こんなことしてる場合じゃない。
「千代が心配だ。行かないとな」
俺は、こいつらを動けなくした後、千代の元へと向かった。
ちなみに刀手とか言ってますけどつまりに刀を手で持っています。
あと、八匹目は黒千代に撃たれました。




