気まぐれ魔王
『ではレディー「ちょっと待ったー」
は?
いまどういう状況?
「えーとなんだ、そうそうあれだよあれ。えっと…」
あれとかそれとか指示語が多い。
そういうのは年をとった人がやるものだと思う。
俺の母も最近『テレビのリモコン』をあれと言ったり『クーラーのリモコン』をそれと言ったりと
するので、ものの名前が思い出せないことが多くなっているのではないかと俺は密かに心配している。
「そう!あれだ!えっと平らな闘技場じゃ味気ないってさっき思ったから戦いの場所を森の中に変更するね。ああ観客の皆さんには映像を魔術で見せるから心配はいらないよ。というわけで行ってらっしゃい!」
え?え?
………気づけば密林の中にいた。
「これは私の作った結界の中の世界だから暴れても問題ないよ。じゃあ戦いを楽しみにしてるよ!バイバーイ。」
……気をとりなおしてレディーゴォー』
魔王気まぐれすぎない?
敵がどこにいるかわからないな。
とりあえずどのあたりにいるか知りたいからタローに頼むか、
「タロー…あれ?タローは?」
「すぐに索敵に行ったよ」
さすがだな。仕事が早い。
「炎よ、荒れ狂う、炎よ」
マイ…?敵はまだいないよ?
「風よ、荒れ狂う、風よ」
なにをしようとしてるんだろう?
「今我が魔力を糧として」
え?誰も止めないの?リン?なんで弓に矢をつがえてるの?
「風の精霊と火の精霊の力をここに示す」
やばい!伏せろー。
やばい魔術が発動するぞ!
「…風よ回れ、火は風と共に、踊れ踊れ」
ん?まだ詠唱続くの?
「回れ回れ、今は汝らが主役なり」
追加詠唱ですか?そうなんですか…
「ここに彼らの舞台よ顕現せよ!」
あ、やっと終わったぽいです。
「火の竜巻」
無駄に魔力を詰め込んだマイ必殺(当たるとは言っていない)が発動した。
最初ファイヤボールほどの大きさだった火の玉は徐々に大きくなっていき、ついに火災旋風と言えるほどのものとなった。いや火災旋風よりさらに大きいのではないだろうか。その竜巻は自転車並みの速さで動き始めた。どんどん森が焼けていく…
…よく考えたら今のこの状況やばくね?
だってこっちの場所はバレてるし俺らは敵の場所がわからないし。マイは今ポーション飲んでるし…おい?マイ、なぜ火災旋風に向かって杖を掲げる?
「弾けよ」
ドーン
その音と共にファイヤボールが火災旋風からものすごい速さで飛んでくる。危なっ。
…あたるかと思った。
結果から言うと俺たちは森の中にいたはずなのに気づいたら周りから木が消えていた。
わー不思議なことってあるもんなんですね。
「これから毎日森を焼こうぜ!」
マイが変なテンションになってる…
これは何としても止めなければ…
「一人につき二人までね。じゃ解散!」
「「オッケー」」
一人につき二人までねって…
特売のセールの商品と同じようなセリフだな。
「じゃあ行ってきます!」
ハナが駆け出した…
特に相手のいる場所のあてなんてないだろうに。
まさかのローラー作戦だった。
「見つけたぞ!かかれ!」
っ!?いつの間に?
敵は7人。クソッ全員来てるのか…
それに対してこっちは今戦えるのがリンと俺とシンだけだ。
「リン!逃げるぞ!一旦逃げて集合しよう」
だけどリンは動かなかった。
リンは肩幅に足を開き弓を構えていた。
「盾を構えろ!」
やっぱり弓兵対策されてるのか。
「甘いわね」
リンが放った矢は盾を貫通し敵の体に風穴を開けた。え?いやちょっと待て…弓はそう言う武器じゃなかったはず。いつ弓は対物ライフルに進化を遂げたのだろうか……
「……火の槍!」
うわ!いつの間にかダウンしてたマイまで敵に攻撃を……
「ぐわぁ」「大丈夫かっ?」
敵は残り4にまで減っている
ん?4?
後ろからなにやら気配を感じる……チラチラ、チラチラ。そこにはタローがいた。
「暗殺して来たでござる。」
ああ通りで数が足りないわけだ。
さてじゃあ俺もそろそろやるとするか
背中に背負っているハンマーを手に取った瞬間それは起こった
「ジャストゴーフォーイット、フィニーッシュ!」
白い残像がスライディングしつつ敵の間をすり抜け司令官の男を殴り飛ばし、またスライディングをして離脱すると3人はスライディングをしつつ斬り刻むというわけのわからない技をくらい戦闘不能になっており残りの一人の司令官のような人物は追撃をかけられていた。
……俺のやる気返せ
「ねぇねぇ今どんな気持ち?どんな気持ち?」
リン…煽るのはやめて差し上げろ。
とどめさせよ。そこっ!ヲタ芸を踊らない!
「クッ、早く殺せ」
ほらぁー、むさ苦しい男の『クッコロ』なんて誰得だよ!
「そらぁ」
抜けた声出しながら何回も脇腹をえぐらないであけて!かわいそうだよ……もういっそのこと敵さん舌を噛みきれよ。
そんなことがあったが俺たちは無事に勝つことが出来た。まぁ、勝って当然だけどな。
「ハナ!一人二人までねって言ったよね?」
「次働かないからいいでしょ…」
「私も次は働かないから」
「え?」「は?」「あ、すいません。」
つまり次の試合は働かないということだ。うちの主力二名が役に立たない。
今一抹の不安が俺の心を占めている。
俺は次は肉壁になるのか……?
[あれ]とか[それ]を日常で使うとなぜか少し、年齢に対する敗北感を感じる時がある。
寄る年波【17年】には勝てないか…
そういえば最近階段を下りるのも辛くなって来たな…




