検証班
昼下がりのオフィスで
彼女は社内食堂に向かっていた
「こんちゃっす」
「こんにちは、何の用?」
「資料渡しにきたっすね」
なぜ私の机の上でなく私自身に渡しにきたんだ
この女は…
「私の机の上に置いておいて」
「えー、ひどいっすよ。せっかく持ってきたのに」
いや、前々から昼休みに資料を渡さないで欲しいと伝えたはずなんだが…
「いや私の昼休みはどうなるんだよ…」
「食事なんて5分で終わるじゃないっすか」
「それはあんただけよ」
「カレーは飲み物っす」
「痩せてるのにデブみたいな発言するのね」
「ギクッ…最近少し体重が増えたんすよ」
そんな会話をしているうちに食堂に着いてしまった
「汚れるといけないから資料はカバンの中にでも入れときなさいよ」
「はいはい、りょーかいっす」
食券売り場で彼女はカレーセットBを頼んだようだ
「またカレー?」
「またカレーっす」
私は定食セットAを頼む
「団長またそれっすか」
「そうだけど、ってゲーム内での呼び方で呼ばないでくれる?」
「ついやっちゃったっす☆」
「かわいく言ってもダメでしょ」
「15番のカレーセットBの方ー」
「はーい、今行くっす」
彼女がカレーセットBを持って歩いてくる
「先食べといて」
「当たり前っす、早く食べて掲示板見るっす」
彼女は見た目も人柄もいいんだが
その〜っすは治らないのかね
「16番の定食セットAの方ー」
私は定食セットAを受け取り彼女の隣で食べる
「団ちょ…じゃなくて菫係長、また和食っすか」
「あなたのカレー好きとおんなじようなものよ」
「ごちそうさまっす」
「あいかわらず食べるの早いわね」
「エネルギー補給に時間をかけるのは損っす」
彼女はノートパソコンを取り出し掲示板を見始めた
「それ私のパソコンなんだけど」
「いいじゃないっすか。おっ?新しい情報が入ってるみたいっすね」
「なになに?」
「第1ダンジョンでようやく35階層まで攻略組が行ったらしいっす」
「他には?」
「回復薬にハチミツを入れると回復薬グレートになるんすけど、その最適比率らしきものが載ってるっすね」
「それは私たち検証班としては調べないといけないわね。 ふぅ、ごちそうさま」
「団長食べるの遅いっすよ」
「ゲーム内ではそれなりの早さで食べれるんだけどね」
「ゲーム内にカレーが欲しいっす」
「料理に関してもそのうち検証したいわね」
「廃人の剣士の名前でそのことについて書き込んでおくっす」
「さくら…あんたもパソコン買いなさいよ。
廃人の槍使いでたまに書き込んでるでしょ」
「お金が足りないんすよ」
時計を見るともう昼休みの終わりが迫ってきていた
「さ、午後も頑張ろうか」
「唐突っすね」
仕事をこなし
終業時間になったので家に帰る準備をする
私の勤めている会社はセカンドワールドオンラインを作った会社だ。
まぁ私の部署は違うので情報が入ってくることないのだが
しかも基本残業がないホワイトな大企業
定時帰宅できるのは本当にありがたい
「団長ー。お疲れっす」
「お疲れ様、今日は8時集合で」
「みんなにも伝えておくっす」
電車に乗り家の最寄駅で降りる
改札を抜けてそのままコンビニで弁当とお茶を買う
「今日は幕の内かな」
自宅に到着した
玄関を開け
キッチンの電子レンジで温めた弁当を一人で寂しく食べる
「やっぱ幕の内うまいわ」
録画されているドラマを見終わると
ちょうど約束の時間の15分前になっていたので
トイレを済ませてから
ヘッドギアをつけてダイブした
目を開けると、私達検証班がお金を出し合って買ったクランハウスの天井が見える
「見慣れた天井だ」
オプションは調合室と鍛冶室のみだが
そのうち畑なんかもつけようと思う
起き上がると部下のさくらがいた
「菫係長。ようやくきたっすね」
おい、なぜこっちの世界でその名前を呼ぶ
「ゲーム内じゃ本名で呼ばないのがマナーだよ?
サクラさんや」
「団長ーだって私こと本名で呼ぶじゃないっすか」
「本名をプレイヤーネームにするやつが悪い」
「わかったっす。ムラサキ団長」
「ムラサメな」
不毛な争いだったな
「ところで検証班全員集まってる?」
「団長が最後っす」
「それはすまないことをしたな」
クランハウスの一番大きい部屋で
会議が始まった
「じゃ、今回のイベントはどうしようか」
「私達は一位じゃなくて入賞を目指したいところですね」
「生産職の方々には負担をかけることになりそうですね」
「回復薬グレート作りました?」
「あれね、あの割合は確かにいいんだけど
まだ最適とは言えないね」
「おーい、イベントの話題から逸れてるぞー」
「戦闘職の方々だけ出場する感じで生産職は参加せずにこっちで検証を続けるってことでいい?」
「えー、賭けしたいんだけど」
「生産職の奴ら最近麻雀セットをゲーム内で作って賭けやってたぞ」
「賭け麻雀は違法だぞ」
「現実世界じゃな」
「他にもルーレットやらトランプでミニカジノ状態になってたな」
「パチンコとスロットが作れないんですよ…」
「とぼやいております」
「くそっ技術の限界か?いやネットで検索すれば作り方くらいわかるはずっ」
「えーとじゃあ戦闘には参加しないけど賭けをする為に参加するってことでいい?」
「「「そういうこと」」」
「じゃあ薬剤班は回復薬を鍛冶班は防具と武器を
素材回収班はなるべく上質な素材を回収して薬剤班と鍛冶班に渡して
戦闘班はダンジョンに潜って宝箱を捜索
以上っ解散。」
「「「「了解」」」」
こうして検証班である
クラン【探求者】
がイベント対策に動き出した
「あっ一人につき賭けるのは最大で10000yenまでにしといて」
「「「「えー」」」」
「所持金全部賭けようとか思ってたりしないよね」
「「「い、いや、まままったく」」」
「あのさー…はぁ」
次にはイベント開始します(多分)




