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動乱の兆し

~97

 ニコルが空中遊びを覚えてから一月がたった頃ハーモニア大陸の北にある港町ノスモニアで起きたとある事件。

 ノスモニアは港町で神聖ハーモニア王国の最北部にあり、北の大陸サームスギを監視するサームスギ大陸最南端の港町サウススギとの交易を唯一することが許されている町である。

 その日は週に一度のサウススギからの定期船が着くはずだったのだがサウススギから来たのは・・・


 けたたましく警鐘がノスモニア中に鳴り響く。

「何事か?」

 ひと際豪華な屋敷の執務室で煌びやかな服を纏った男が突然の警鐘の音に狼狽えている。

 と突然部屋の扉が開け放たれる、部屋の主人の心臓は危うく飛び出るところだった。

「大変です、ノスモニア卿!」

 声と共に部屋に駆け込んでくるいかつい男が部屋の主をノスモニア卿と呼ぶ。

「・・・大変なのはわかったが何事なのかね?

 あと、人の部屋を訪ねる際はノックをしたまえ」

 ようやく落ち着いたノスモニア卿は起きていることを聞く、ついでにノックぐらいしろと文句も付けて。

「はい、現在サウススギから着いた定期船の中から突然スケルトン等のアンデットが大量に湧き出てきたのであります!

 現在警備の兵で対応しておりますが数が多く押されている状態であります!」

「アンデットだと!そんなものが沸いてる船がまともに動いていたのか?

 なぜ入港前に確認をしなかった!」

 ノスモニア卿が吐き捨てるように怒鳴り散らすと、

「はっどうも訊いてみたら停泊を滞りなくこなした後に突然船に乗っていた者たちがアンデットへと姿を買えたそうです」

「死霊使いでも乗っていたというのか?」

 乗組員がすべて死亡して死霊術で操っていたということならそのくらい説明できないこともない、ノスモニア卿はそう考え。

「直ちに術者を見つけ出し始末せよ!始末後にアンデット共を駆逐だ、術者がいては鼬ごっこが続くだけだぞ!」

「はっ!」

 男が返事と共に部屋を出る。

「さて、私も指揮をとらねば」

 ノスモニア卿が席を立とうとした時、後ろから、

「その必要はありません、あなたはワタシの命令を聞く人形になってもらうのですから」

 という声が聞こえたような気がしたのだが、ノスモニア卿は振り返ることもできずに意識は無くなっていった。



「どうやらうまくいきそうですね”ネクロマジック”」

 先ほどノスモニア卿の背後から聞こえた声の主が動かなくなった彼に死霊魔術をかける。

「さて、これで情報源は得られましたし後は好きに暴れていいでしょう」

 ノスモニア卿の背後の物陰から青白い顔の紳士風の男がゆっくりと顔を出す、目の下には酷いクマができておりパッと見不健康そうな見た目である。

「では私の命令を聞いてくださいね、クヒヒヒッ!」

 男はいやらしい笑みをこぼし嬉々としてノスモニア卿だった物に命令を出す。

 この町に阿鼻叫喚をあげさせるための命令を・・・


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