side ロアン
洞窟内に突如現れた強烈な光にロアンは目を眇めた。
その光は優奈を包むようにして強烈な光を放っていた。。
(いったい何が?!)
呆然としたのは一瞬だった。優奈が危ない、そう思い手を伸ばしたが、何かに阻まれるように手は弾き返された。
「おい、これは・・・」
何だ? そうハルトに問いかけようとした時だった。
聞きなれない、けれどもやけに耳に残る声が洞窟内に響き渡った。
「わが御子はしばらく預かって行く。・・・勇者の選定を受けし子よ、そなたが決断するその時まで」
その声にロアンは思わず光の塊を凝視した。
眩しさなど気にも留めず、光に目が焼かれるように痛む事も構わず、光の中心に目をやる。するとうっすらとだが人影が見て取れた。
「・・・っ」
ロアンはえも言われぬ感情が瞬時に自分の中に沸き上がってくるのを感じた。
(勝手な事を・・・)
だが次の瞬間それも霧散した。
光が急激に拡大し、強まったかと思うと、一瞬にしてそれは消え去ったのだ。
優奈の姿と共に・・・。
◆◇◆◇◆◇◆
「・・・っくそ」
ロアンは悪態を吐くと、力任せに真っ白な壁を殴りつけた。
ダンっという音と共に白い壁に穴があき、パラパラと壁だったものが下へ落ちる。
後でハルト辺りに文句を言われるかもしれないが、文句でもなんでも言ってくれた方が今のロアンにとってはよかった。
自室に戻ってくるまでの間、誰も何も言わなかった。ラグも、ハルトも、アランもだ。三人はロアンの事情を全て知っていた。
優奈を連れ戻す術がロアンの心構え次第だというのに・・・何も言わなかった。
いや、何も言わないでいてくれた。全てを知っているからこそ、何かを言ったところで無駄だとわかっているのだろう。
それが今のロアンには逆に辛かった。
(責め立てるでも、追い立てるでもしてくれれば・・・決断できたかもしれないのに・・)
ロアンはグッと拳を握りしめ、唇をかみしめた。
(いや・・・誰かに言われて決断するだけじゃ、あの時と同じだ。・・・俺自身が、きちんと決断しなければ・・・)




