038 プラネット国と星団連盟国
そして更に100年の時が過ぎ、第104囮艦隊は目的地の近くまで来ていた。 UAVを使い惑星上の電波傍受や、大気圏内の様子を直に観測したりと、更に詳しい情報が集まっていた。
彼等は自分達の星系をプラネット星系と呼び、住んでいる星をプラネット第4惑星と呼んだ。 そして国の名前がプラネット国・・・ とても残念な命名だ。 どうやらこれは第3、第4囮艦隊が最初に名付けたみたいだが、国や星の名前を考えるのをめんどくさがり、星=プラネットで命名したようだ。
さて、このプラネット国の現状だが、人口は約4億、戦闘艦を始めとする軍事技術は何とか元のレベルを維持しているが、コンピューター関連 (特にソフト面)は残念な感じである。 元から有る物を何とか複製する技術は有るが、基本的に発展させるだけの力は無いといった感じか・・・
そして宇宙で戦っている相手がいるが、攻めて来るから身を守る為に戦っているだけで、相手の正体も目的も分かっていない。 破壊した敵艦に乗り込んだ事があるが、無人艦ばかりで会話を試みる事が出来ない。 ただし、使われている機器や工業規格がこちらと殆ど変わらない事から、囮艦隊かそれに準じた存在が攻めてきている可能性が高いと判断している。 その為、徹底抗戦の構えだ。
さて、もう一方だが・・・
「ふじ、調査した結果を報告してくれ。」
「はい。 プラネットの敵対勢力ですが・・・ 複数の避難船団が基になっているようですね・・・ 第6次~第15次避難船団の全てか半数以上が集まって出来上がった様です。 第6、7、10、12、15次避難船団に所属していた艦船のスクラップを星系内で確認できました。 調査を続ければ、更に見つかるかと・・・ 」
「それで? 戦いの動機は?」
「はい。 相手艦隊の通信を傍受した内容からは・・・」
と、十色が口を挟む。
「ちょっと待て、相手は無人艦なのだろう? 何の通信をおこなっている?」
「はい。 彼等は10隻を1グループとし、複数のグループを纏めて艦隊にしています。 1グループの内訳は、戦艦2隻、巡洋艦3隻、駆逐艦5隻となっております。 巡洋艦の1隻に複数のコントロールルームがあり、それぞれがグループ内の他の艦に対応していて、遠隔操縦で動かしています。 今まで有人艦が破壊された事がほとんどなく、又、そのタイミングでの調査が行われなかったために無人艦隊と誤認していると思われます。」
「へぇーそんな事してたのか・・・ で、動機は?」
「はい。 悪名高い第3囮艦隊から身を守る為に団結したのが始まりで、後はこちらへのちょっかいを出されるより前に、こちらからと言った感じで戦いが始まった様です。
現在は、ちょっかいを出されない程度に戦力を消耗させる事が目的になっている用です。」
「 ・・・そうか」
「はい。 800年前の武装蜂起が成功した時点で、争う理由は無くなっています。 しかし相手はそれを知りませんし、既に日常の一部として受け継がれる歴史が有り、止め時を見失っているのではないかと・・・」
「ふむ。 ならばプラネットより先に・・・ 相手は何て言う国だ?」
「はい。 正式には『星団連盟国』と言いますが、大体は略して連盟国と呼ばれている様です。」
「星団連盟・・・ 随分と仰々しい名前だな・・・ まぁいいか、ならばプラネットより先に星団連盟国を説得した方が話が通りやすそうだな。」
「 ・・・どうでしょう、説得は難しいのではないでしょうか。 第18次避難船団の時は昔を知る船団長が居たから話がスムーズでしたが、第104囮艦隊の名前は第3囮艦隊の仲間として誤認されかねません・・・」
「確かに、それはありそうで怖いな。」
「はい。 それと、『星団連盟国』の名前ですが、元々は『船団同盟国』と言っていたのが訛って出来たようです。」
「「・・・」」
「それ本当? 色々台無しなんだけど・・・」
「・・・」




