039 何が目的
「さて、どうしようかな・・・ 取り敢えずは争いを止めさせたいし、両国の間に割り込むか?」
「それは・・・ 色々と段階を飛ばし過ぎなのではないかと思うのですが・・・」
「そう? でも時間をかけると無意味な死者が増えるからね・・・ 艦隊戦力の増強も済んでるし、2ヵ国相手でも何とかなりそうじゃない?」 (513捜隊襲撃事件を踏まえて、移動中の200年で新たに戦闘艦を建造し戦力増強を行った。 元は戦闘艦2000隻、護衛艦1000隻、支援艦船7000隻だったのが、今は戦闘艦4000隻、護衛艦1000隻、支援艦船7000隻となっている。)
「そうですね・・・ 両国とも戦闘艦艇を7~8000隻保有しています。 支配宙域の警戒監視や控えの戦力を残すとして、前線に出てくるのは3~4割程度でしょうか・・・ 両国合わせて戦闘艦艇6000隻程度が相手とすれば、技術格差もありますから何とかなりそうですが・・・ こちらにも相応の被害が出ると思われます。 私としては反対させていただきます。」
「 ・・・分かった。 ふじの意見を採用、両国の間に割り込むのは無しの方向で、でもどうするか・・・」
「・・・」
「そうか、足を使うか・・・ 」
「足ですか?」
「ああ、両国の間に陣取ると動けなくなって正面から戦う事になる。 ふじはこれによって生じる被害を懸念している。 そこで、両国の間ではなく横からアプローチする。 両国から等しい距離を取りつつ近づき同時に話しかける。 こちらに気が付き話し合いに応じればよし、攻撃して来ても後ろに下がればいい。 こちらの方が加速力が上だから有利な距離で戦えるし、いざという時は逃げる事も簡単だ。 どうかな?」
「はい。 こちらの存在に気が付いた時点で、両国間の戦闘も止まる事になるでしょうし、よろしいのではないでしょうか。」
そうして十色達はプラネット星系を大きく迂回して抗争宙域の真横に陣取った。
・・・・・
今回の戦いにプラネット軍は約500隻の艦隊を派遣していた。 そして・・・
「し、司令・・・ レーダー画面に数えきれない程の反応が出ています」
「何?」
「正面に約500隻、それと左88度方向に1万隻以上の反応が・・・ 」
「そんな馬鹿な・・・ 欺瞞信号かもしれん、センサーの帯域を変えてみろ!」
「もう試しました。 レーダー画面に変化なし。」
「1万・・・ 1万以上だと・・・ 奴らの本格的侵攻が始まったと言うのか。 通信士、軍本部に緊急電だ。 敵の大規模侵攻を確認。 敵兵力1万隻以上。 本艦隊は後退し味方との合流を試みる。 以上だ! すぐ送れ!」
「り、了解。」
「操舵士。 進路反転、右160度へ全速だ!」
「了解。 面舵一杯、スラスター全開、右160度、真方位230度寄せます。 機関出力一杯、慣性制御装置の限界越えます。 横Gに注意してください。」
船体から大きな軋み音を出しながらも、プラネット艦隊が進路を変えて行く。 その中、旗艦の艦長が周りに聞かれないよう小声で司令に、
「司令、敵に後ろを見せるのはまずくないですか?」
「この戦力差だ。 けつを向けようが向けまいがやられる時はやられる。 それなら逆噴射なんかでチンタラしてないで、さっさとけつまくって距離を離した方がいい。 見逃してもらえるよう神にでも祈っててくれ」
「 ・・・了解。」
そして艦隊は無事に安全圏まで後退した。
「まさか本当に見逃してもらえるとはな・・・ 」
「はい。 神様のおかげと言う訳でもないでしょうし、何が目的なんでしょうね?」
「分からん。 取り敢えず我々は後方の主力艦隊と合流だ。」
「了解。」
そして、星団連盟国の艦隊でもプラネット軍と同じ様なやり取りが行われ、撤退していった。
両国の政府はお互いに相手の事を良く知らない為、表れた1万隻を越える艦隊を相手国の物と誤認、総力戦を行うべく艦隊の集結を急いでいた。
そんなさなか、両国の通信回線に大出力による強制介入が・・・
「皆さん、初めまして。 私は国際連合宇宙軍 第104囮艦隊 艦隊司令の十色・寺内です。」




