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7話 スタンピード開始

本日より、スタンピード編が終わるまで毎日投稿していきます


(なんだ!? あの数は......)


 予想を上回る数が目の前にいた。いや、そうじゃないのかもしれない。聞いていた通り、モンスターの数として数千程度なのかもしれない。だけど今回みたいなケースが初めてのため、見ている限りでは数なんて判断できない。それはここにいる全員も同様だと思う。目の前にしているモンスターの数をきちんと把握できていない。


(だけどまずは指示をしなくちゃだよな)


 見ている限り、どこにどれぐらいいるなどが分からない。だから全員がカバーできる範囲で冒険者を配置するしかない。


 先日組んでもらった通りのグループに分かれてもらい、どこの配置どのグループが行くのか指示をだした。


 グループ全体を見てランクが弱そうなところは後衛配置に、中堅グループは後衛と前衛をカバーできる中衛位置。そして俺たちと二つのパーティを前衛に配置する。


「前回も言ったと思うが、まずは全員が死なないことが最優先だ。そして俺たちの目標は数を減らすこと。殲滅することじゃないことを頭に入れてほしい」


 みんなよくわかっていないような表情をしていたが、頷いて配置場所に移動し始めた。俺たちのグループのみがここに残ったところでソフィーが質問をしてくる。


「なんで殲滅じゃなくて数を減らすことなの? 普通のクエストだと殲滅じゃない?」


 ソフィーに続くようにロイドが言う。


「ビビってるのか?」


 そりゃあビビるさ。逆にあの数を見てビビらない方がおかしい。だけど、殲滅ではなく数を減らすことを指示したのはビビっているわけではない。


「考えても見てほしい。例えばモンスター5000体に対して、人間50人だったらひとりあたり100体は倒さなくてはいけない。それは現実的に無理だろ?」


「でも後退したら街が......」


「俺たちが最前線で戦っているのに、なんで後衛部隊もいるんだ? それは後衛部隊にも戦ってもらうからだ。俺たちがすべてのモンスターを殲滅できるとはギルドマスターとかも考えていない」


 殲滅するだけなら、戦力の比重を最前線に置けばいい。だけど今回の部隊として、最前線と中衛、後衛に分かれている。後衛部隊は街を守るためだとしても、中衛部隊はモンスターと戦うことを想定して作られた部隊。だからこそ俺たちはできる限り数を減らして中衛部隊に明け渡すのがセオリーだと思う。


 俺が言ったことに対してソフィーやシャーロットたちは納得してくれたようで、先程までの疑問そうな顔色が一人を残して無くなっていた。


「それでも殲滅を目標にするのが重要だろ! 結果が出ない目標なんて意味があるのかよ!」


「あの数を見て、ロイドは殲滅できると思っているのか? 俺は不可能だと思う。だったら現実的な目標を全員に伝えた方がいい」


「......」


 さっきも言ったが、今回の目標はできる限り死なないことと。そしてモンスターの数を減らすこと。だけど殲滅することが目標と言ってしまったらできる限り死なないことが厳しくなってしまう。


 殲滅することと数を減らすことでは引き際が変わってくる。数を減らすことだと引き際を冷静に考えられると思うが、殲滅だと無理して戦ってしまうだろう。


「まあここでこんな話をしても意味がないから、俺たちも戦場に行こうか。俺たちが動かない限り、他のグループも動けないから」


 そう言ったところで全員が頷き、戦場に向かい始めた。そこから森林を数十分程歩いたところで目的地に到着する。


(近いな......)


 雰囲気でわかる。すぐ近くにモンスターの大群がいる。それはここにいる全員も感じ取っているようで、先程とは違い緊張していた。


(もうすぐ始まるのか)


 俺たちの左右数十キロ離れたところに別グループがいると思うが、その人たちも感じ取っているだろう。そう思っていた時、声が聞こえた。


「グギャャャ」


 その声は全員も聞き取っていたようで、ソフィーが言う。


「始まったね」


 モンスターの声で全員がより一層緊張が走る。そして俺たちの目の前にもゴブリンやオーク、オーガなどのモンスターが現れた。するとロイドがモンスターに走りながら言う。


「じゃあ先に行くぜ」


「おい!」


 こうして戦闘が始まった。

 

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