10話 ダンジョン脱出
「シャーロット!」
シャーロットのところに向かい、状態を確認する。一目見てわかった。顔が青く、呼吸しづらそうだった。今シャーロットが陥ってるのは魔力欠乏症だ......。
(なんで気付かなかったんだ!)
俺は地面をたたく。すると全員がビクッと驚いた。俺がもっとみんなの状況把握していればシャーロットをここまで追い詰めることは無かった。するとシャーロットが俺の方を向き、頬に両手を当てる。
「ひどい顔ね? 私は少し休憩すれば大丈夫だからね?」
「本当にごめん」
「バカ。私が惚れた男がこんな顔しないで。かっこいい顔が台無しよ?」
「あぁ」
「レオンとソフィアはシャーロットの近くにいてやれ。お前たちは戦いすぎた。俺とミルシェが周りを確認しておくから」
「助かる」
そう言って3人で一旦休憩を挟む。そこから30分ぐらい経ち、シャーロットの顔が徐々に良くなってきたのが分かった。
「良くなってきてるよね?」
「あぁ。でももう戦うことはできない」
「わかってるわ。だからもう少し休憩したら帰ろ」
ソフィーとそう話しているとシャーロットが無理やり起き上がり
「私のせいで帰るなんて嫌よ! 足手まといなんてまっぴらよ」
「シャーロット、それは違うよ? 私たちはシャーロットがいたからここまでこれたの。もしシャーロットが居なかったらどうなっていたかわからないもの」
「それでもよ! 私ならやれるわ」
無理やり立ち上がろうとしたところで俺は両手でシャーロットの肩に力をのせて座らせる。
「シャーロット! 十分だ。もう十分やった。だから一旦帰ろう」
「でも......」
「ここで一番最悪なパターンは誰かが死ぬこと。そしたらもう終わりなんだよ。それにこのクエストはマッピングであり、攻略じゃない。だからクエスト失敗ではないんだよ」
現状をきちんと説明して、納得させる。
「......。わかったわ」
その後、もう少し休憩を挟んでシャーロットの顔色が最低限治ったところでダンジョンを戻ろうとした。その時だった。ダンジョン奥地から声が聞こえた。
「やばい! 逃げるぞ!」
「あぁ。相性最悪だ」
「てかなんでモンスターが魔法を使ってるんだよ!」
「あぁ。ここ最近モンスターが魔法を使う率が増えてないか?」
「そんなことを考えるのは後だ。今はこのダンジョンから抜けだすのが先だ!」
そんな声が徐々に近づいてきた。そしてあっという間に俺たちの目の前にそいつらは現れた。
「な! なんでレオンがここにいる!」
「そうだ!」
クソ! なんでこんなタイミングでこいつらに会うんだよ。それに加えてこいつらはモンスターを引き連れてきやがった。俺はシャーロットを抱きかかえて走り出す。
「みんな逃げるよ!」
全員でこの階層を脱出しようとした。だが間に合わない。予想以上にハーガルのスピードが速かった。だからジャックの横に行き
「ジャック! シャーロットを頼む」
「え? あ、あぁ。わかった」
そう言ってジャックにシャーロットを渡す。するとシャーロットもとどまろうとしたが、俺はシャーロットを一旦気絶させる。
「俺が時間を稼ぐ」
「でもそれだと......」
みんなが不安そうにこちらを見てきた。
「この状況で時間を稼げるのは俺だけだ。俺なら何とかなる。だからシャーロットを頼む」
「なら私も!」
「ダメだ! ソフィーが残ったら本当の意味で戦える奴が消えてしまう。だから頼む」
「わ、わかった」
そう言って俺だけがこの場に残り、みんなを4階層に向かわせた。そしてすぐロイドたちが俺の目の前に現れる。それに続くようにハーガルもついてきながら火玉を使用してきた。俺はすぐさま魔法無効化を使い、火玉を無効化する。
「!!」
ロイドたち全員が驚いた顔をしながら俺を横切っていった。そしてロイドたちの後ろに続くように走り始める。何度か火玉を使ってこようとしてきたが、すべて魔法無効化でかき消す。そしてギリギリのところで4階層に着くことができた。
「はぁ。はぁ......」
「あれはお前がやったのか? もしそうならなんで俺たちを助けた? お前に何て助けられなくても......」
険しい顔をしながら俺に言ってきた。
「そんなの仲間を助けるために決まってる。お前たちを助けるためじゃない」
その時、ソフィーが俺のところにきて抱きついてきた。
「良かった。生きていて......」
「あぁ」
そう話している時、ロイドたちはすでに先に進んでしまった。その後を続くようにダンジョンを出ようとした。あっという間にあいつらを見失う。俺たちは3階層、2階層とソフィーのおかげでギリギリ突破することができ、1階層はジャックの奮闘で脱出することができた。
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