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その3

 これで終わりになります。ぱんつ復活!

 前回も前々回も派手に失敗した。結局古代遺跡への道は開くことはなく、鍵も手にいれることができていない。

 しかしここはやはり、鍵を手にいれる方向でなんとかせねばなるまい。


 さて、それでは鍵の在り処だが……

 おそらくは依然、アリアの部屋のタンスの中だろう。そして、アリアのタンスには鍵が掛かっている。それがネックだ。



 ――作戦考察、其の壱――


“留守中に侵入。錠を破壊。中の鍵を入手”


 これはボツだ。そりゃ、鍵は手にはいるだろうが、錠前は治すことができない。鍵の壊れたタンスを見せては、アリアを怖がらせてしまうことになる。これはいただけない。

 ピッキング技術もオレにはないし、オレが渡したあの錠前は、割としっかりした作りをしていた。隙を見て解錠するのはプロ並の技術を要するだろう。


 それと、ここはファンタジーの世界の癖に犯罪検挙率が高いのだ。探査魔法で魔法紋を調べられれば一発だ。オレは下着ドロとして憲兵のご厄介になることになる。



 

 ――作戦考察、其の弍――


“アリアの入浴中に脱衣所からタンスの鍵を拝借。タンスから古代遺跡の鍵を入手し、脱衣所にタンスの鍵を戻す。うまくすれば『アリアのぱんつ(使用済み)』も入手できる”


 ――……いやまて、最後に少し雑念が入った。

 とにかく、これもあまり現実的とは言えない。

 まず第一に、アリアが入浴中にペンダントになっている鍵を外すかどうかが判らない。

 第二にアリアは一人暮らしではない。家族がいるのだ。

 アリアの部屋に一度侵入するぐらいならなんとかなるにしても、脱衣所からアリアの部屋までドタバタと往復して、誰にも気付かれないとは考えづらい。却下。




 ――作戦考察、其の参――


“アリアがタンスの鍵をかけ忘れた時を狙う”


 アリアだって人間だ。鍵をかけ忘れることぐらいあるだろう。その時を狙い、古代遺跡の鍵を盗み出す。

 鍵を拾った事も朧気(おぼろげ)になっているぐらいだ。それが無くなったところで、アリアは気にも留めないだろう。


 これが一番現実的ではないだろうか? 待ちの姿勢になってしまうが、今のどん詰まりの状態より全然マシだ。急がないとならないイベントでもない。


 問題は、アリアが鍵をかけ忘れるタイミングがいつか……それが判断できないことだが、これはクリアできる。オレには、『使い魔の瞳』というイベントアイテムがあるからだ。

 これは魔道具になっていて、対になるアイテム『召喚主の水晶』に魔力を込めると、『使い魔の瞳』がカメラとなり、水晶に映像が出るのだ。


 これは古代遺跡とは別の遺跡から手に入れたもので、オーパーツのアイテム。いわゆるワンオフもののアイテムだ。

 本来はある貴族の不正を暴くために使用した重要品カテゴリーのアイテムなのだが……今回も使わせてもらおう。これは仕方のないことなのだ。決してアリアの様子を盗撮したいわけではないのだ!




 と、いう訳で、クマのぬいぐるみの目に『使い魔の瞳』を仕込んで、アリアにプレゼントしてきた。

 すっっっっげーーーー喜ばれた。……自殺したくなった。


 オレは足早に自室に戻る。別に悪いことをしているわけじゃないんだよ? だけれども、鼓動は痛いぐらいにオレの胸を打つ。


 それじゃ、早速『召喚主の水晶』に魔力を――――





 ………………――


 …………――


 ……――



 できるかッ!! ボケぇッッッッッッっっっ!!!!!!!!




 パねぇよッ! パねぇよッ!! パねぇよッ!!!!

 罪悪感ハンパねぇよッ!!!!!!


『召喚主の水晶』を床に叩きつけ、鬼のように踏みつける。

 壊れないはずのイベントアイテムが、ものの見事に粉々になった。


 ――はぁ、はぁ、はぁ……

 いや、これでいいんだ。こんなものがあるから、世界は平和にならないんだ。

 魔王より強大な悪を、今、オレは討ち滅ぼした。世界の平和に、また一歩近付いたんだ――。



 ……つい、興奮して、水晶を壊してしまった。それはまぁいい。それで良かったと思う。


 ――とはいえ、このままじゃどうにもならない。

 ……アレをするしかないだろう。最後の手段だ。これが思いつく限りの最後の作戦だ!



 ――作戦、其の肆――


“アリアに真正面から頼む”



「アリアッ!!」


「わ、ビックリした……なに? ルーディ」



 アリアの家に突撃し、アリアの手を握り込み、じっと瞳を見つめる。

 ――そして、勢いのままに言い放つ!




「お前の…………ぱんつをくれっっっ!!!!」


「……」


「……?」





 ―――――あ、間違えた(チーン)……








―― …… ―― …… ―― …… ――



 夕焼けに染まる丘で、オレは一人たたずんでいた。

 地平線に半分隠れた太陽は、何故、人の涙を誘うのだろう?


 陽炎に揺らめく太陽は、全てをやさしく、赤く染め上げていた――



 すっ……と、オレは自分の右手を広げてみる。

 そこに先ほどまであった温もりは、もう失われてしまっていた……

 





 システムメッセージ:『アリアのぱんつ(使用済み)を手に入れました』




 ――――もう、ゲームクリアでいいんじゃね……?

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



・アリアのぱんつ(使用済み)


 装備品:頭装備

 ステータス:TP(テンションポイント)が常にMAXになる。


 詳細

 ・アリア秘蔵の下着。負けられない戦いの時に使用する。

  すごくだいたん。


  これを装備して人前に出ると死ぬ。社会的に。

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