5 とらわれたダイヤモンドー2
目の前に、輝石ちゃんがいるというのに、助けることができない。
話すこと、触れることさえもできない。
(輝石ちゃん!)
けれど、ケースにしまわれていて、思いを伝えることができない。
(……そうだ!)
あたしはいい考えを思いついた。
(店の人に、「あたしのペットが迷子になって、ここのペットショップで売られているんです。」って言って、返してもらえばいいんだ。)
なんという名案だろう。
あたしは、まだ助けてもいないのにちょっと嬉しくなった。
(よし!やるぞ。輝石ちゃんを助けるために!)
そしてあたしは店員を呼んだ。
「はい?どのペットをお探しで?」
(そういう意味で話しかけたんじゃないんですけど……。)
「あたしのペットが迷子になって、ここで売られているんです。」
店員の顔が固まった。まるで(まさか!そんなことあるわけない。)と言っているような表情だった。
「えっと……。どのペットでございますか?」
素直に受け取ってくれたが、まだ驚いているのかいらない「ございます」までつけていた。
あたしは、輝石ちゃんを指差した。
「この子。輝石ちゃんって言うの。」
「だ、輝石ちゃん……?」
驚いている様子。
(まだ、驚いているの?)
「返してよ。」
「あ、えっと、えっとですね……。今から……あ、店長に聞いてみますから……少々お待ちください……。」
(最初のほう、いらないと思うんだけど。)
あたしは心の中で指摘した。届くはずもないけれど。
店員が帰ってきた。もちろん、店長も一緒だ。
「あのね、お譲ちゃん。このペットは、あなたの子じゃないの。」
(そんなわけ無いわ!)
そして、声でも言った。
「いいえ。あたしの子。じゃあ、あたしの輝石ちゃんは、どこに行ったって言うの?」
さすがに、ふたりも声を失ったようだ。
(返して。あたしの輝石ちゃんを!)
しかし、あたしの希望は断ち切られた。
「でもね、そんなことを言われても、この子はあなたの子じゃなくて、ペットショップの子なの。」
あたしの心は、だんだん怒りで染まってきた。
「違う!この子は、あたしの子!あたしの目の前で、『助けて。』という表情をしていた。だから、あたしの子よ!」
(本当に分かってくれないんだ。)
「もしかしたら、前の飼い主とあなたを、勘違いしていたのかもしれないからね、この子は、ペットショップの子なの。」
あたしは、遂にキレた。
「またそういうへりくつを言って!誰が何と言おうとこの子は、あたしの子なのっ……。」
そしてふたりもあたしにキレたのか、あたしをある部屋に連れて行った。
あたしは心に決めていた。
(絶対に、輝石ちゃんを助けるんだから……。)
そしてあたしは二人をにらみつけた。




