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『霧島華音』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第3章 『黒歴史ノート』
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『黒歴史ノート』 其の四

2日目正午。

腹が減っては、なんとやら・・・『夢の中』でもお腹はすくらしい。

華音、香織、香奈の3人は食事を取っている。


「黒猫ちゃんには、ミルクと魚だよね?コレ・・・足はえてるけど・・・」


「香奈もだんだん様になってきたな。」


「そ、そうかな?」

「でもね、その・・・スキル使うときに技名を言わなくちゃ駄目なのが慣れない・・・」


「そお?私も前の時の最初は戸惑ったんだけど、慣れたわよ」

「慣れるとね・・・うわ、私カッコイイってなるから。」


「そうだぞ、技名を叫ぶのは良い事だ。」

「言霊というのもあるしな。」


昔から、言葉にはチカラがあると考えられていた。

思いを込めた言葉は、発した通りの結果をもたらすのだ。

それは、思いの強さ、願いの強さ、叶えたいという思い。

しかし、言うだけでは駄目だ。

其れを実行する努力、信念・・・

言霊とは、決意の事なのかも知れない。


「そ、そんな、御大層な理由じゃないんだけどなぁ・・・『黒歴史』だし・・・」


其れは兎も角。


午前中、香奈は昨日の続きでLV上げに励んでいた。

香奈用にカスタムされた『伝説級装備』を身に着けてである。

その結果、LV15にして、LV50以下の『モンスター』からダメージを受けなくなっていた。

ターゲットをLV50以上の『モンスター』に切替え・・・

・・・半日でLV45にまで上がっていた。


「今の香奈なら、LV100位でも大丈夫じゃない?」


「ならば、『ベータ前線基地』を破壊しに行くのが良いだろう。」


「そうね、きっと凍夜兄ぃ(直哉)も各地で行っている筈。」

「運が良ければ、会えるかも知れない。」


「まだ、その辺が良く分からないんだけれど・・・」


「それはね・・・」


この『惑星アース』には、『ベータ』の『前線基地』が多数存在する。

それは、システムの『侵攻度』でどのくらいあるか確認できる。

『前線基地』を破壊すれば、その地域から一定日数撤退する。

全ての『前線基地』を破壊した時・・・

其れは起こるとされている。


『ベータ大侵略作戦』


されている・・・と言う事は、一度も起こっていないイベントなのである。

理由は・・・最後の一つがどうしても落とせなかったのである。

そのうちに『前線基地』は復活。

その難易度に人離れが急激に進み・・・

終わらない冒険だったハズの世界は終わりを告げたのである。

直哉はこのゲームを本当の意味で終わらせる為に、『前線基地』を潰している。

・・・と思われる。

つまりは、『前線基地』を潰していけば、そのうちに再会できるという寸法だ。


「落とせない基地を落とすなんて・・・」


「私は、落とせると思ってるわよ?」

「だって、これは私と凍夜兄ぃ(直哉)の『夢』だから。」


「うむ、その通りだ。」

「それにしても、ゲームの時の『ガーディアンベータ』の全体攻撃・・・」


「あれ、ひどかったよねぇ・・・レイド全体が塵と化したわよ。」


「大神殿の天井は白かった・・・」


「そ、そんな所に行くの??」


「とりあえずは、簡単な所から・・・ね。」

「今の侵攻度はっと・・・36%・・・少し押し返している!」


「きっと直哉だろう。」

「ならば、この近くの『前線基地』に向かおう。」


「了解!」「了解だよ!」


さて、場面は変わって『前線基地』である。

今までの『モンスター』と違い、人型・・・と言っても全身銀色でグレイを思わせる容貌の『ベータ』が多数確認できる。


「・・・作戦は?」


「サーチ&デストロイ」


「・・・それ、作戦とは言いません、華音さん。」


「いっつかのんじょーく」

「前衛は香奈。後衛は私と香織。」

「香奈は防御に徹する事。今の装備ならダメージは通らないハズだ。」

「私と香織は攻撃に専念する。」


「う、うん。分かった」


「私はサーチ&デストロイでも良かったけどね〜」

「・・・フォーメーションの練習にはなるからね。」


「・・・行くぞ!」


真っ直ぐ『前線基地』に殴り込みをかける三人。

実は先程の説明もフォーメーションの確認ってだけで、

作戦でもなんでもない、ただの力技だと言う事に気が付かない香奈だった。


ヒュンヒュン


「わわわ・・・レーザー撃って来ましたよ?」


案外器用に盾で弾く香奈。


『ベータ』の増援。

10本ものレーザーが打ち出される。


ヒュンヒュンヒュンヒュン・・・


「香奈、広範囲防御!」


「はいっ!! 抜かせない!『ゾーンシールド』!!」


香奈の盾スキル『ゾーンシールド』

前方に光の盾を形成し、広範囲の攻撃を防ぐ。

その耐久度はスキルLVおよび盾の防御力に依存する。

『伝説級』の盾である『アイギス』で形成された光の盾はそうそう抜けるものではない。


「行きます!」

「燃やし尽くせ紅蓮の業火・・・『クリムゾン』!!」


香織の協力範囲攻撃が『ベータ』を焼く。


「撃ちもらした!?」


「華音さん上です!」


「貫け、闇の刃 『ダークネスレーザー』」


撃ちもらし、上に逃れた『ベータ』を華音の黒い光線が貫く。

香織の『クリムゾン』、華音の『ダークネスレーザー』は何れも上位魔法である。

この2発で、増援を含む10体程を殲滅した。


「また・・・きます!」

「『ベータ』10体・・・あれは、蛍光灯?」


「そんなわけないでしょ!」

「レーザーソードよ!」


「近接タイプ5、遠距離5・・・」

「私と香織に近接タイプはまずい。」

「香奈、近づけさせるな!」


ヒュンヒュンヒュン


レーザーが撃ち込まれる。

その援護を受け、近接タイプが突っ込んでくる!


香奈は、ゾーンシールドを発動せずに、盾で5発のレーザーを弾いた後、

先頭を走る『ベータ』に攻撃を加えた。


「吹き飛べ!『シールドバッシュ』!!」


盾による直接打撃。

当たった相手を吹き飛ばす効果がある。

吹き飛ばされた『ベータ』は後ろを走る4体も巻き込み、後衛の『ベータ』の所まで戻される。


「今です!」


「今度は逃がさない! 『ヴォルケーノ』!!」


マグマの渦が『ベータ』を焼き尽くす。

この一撃で、10体の『ベータ』は消滅した。


「ん〜〜なんか、いい感じですね!」


「盾特化・・・割と使えるわね。」


「ふむ、これは認識を改める必要がありそうだ・・・」


「盾特化のイメージって一体・・・」


「イロモノ。」「イロモノだな。」


「・・・うん、そんな気はしてたよ?」


「さて、雑談は此処までのようだ。」


「出た・・・わね。」


「え?、えええええ〜〜〜〜」


巨大な『ベータ』

その体長はゆうに10mはあろうかといった感じだ。

この『前線基地』のボス『サイクロベータ』であった。

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