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【第49話】恐怖のポーション瓶2万個入荷事件(3)

その夜、メリーさんは教会についてきた。


メリーさんはクリフトさんに今夜ごはんをご一緒したいと伝えOKを貰っていた。

あんな時間に呼び出されたから夜ご飯の準備が出来なかったんだろうが、

かなーり手慣れた感じでするりと教会に入ってきた。


更にメリーさんを見た神官やシスターさん達もメリーさんを歓迎していた。

教会で必要になったものは、メリーさんのお店で買うことが多いので歓迎ムードなのだろうかと思った。


今夜も質素な夕食を取る。

ちなみに質素と言っても、スープには野菜もお肉も入っているし、味もしっかりしている。

パンもお代わり自由なのでしっかり食べられている。

パンとスープだけなのだが、食べ応え的には質素じゃない気もする。


夕食後の雑談タイムになった。

そこでなんと、メリーさんが、昔ここのシスターをやっていたことが明かされた。

昔、教会で買い物をするのが色々不便だったそうで、

外の世界で生きたいと思っていたメリーさんが半分教会の仕入れの為にお店を始めたそうだ。

屋台から始め、今では一軒家のお店を賃貸で借りて営業している。


今も教会で何かあれば手伝う用意はあるが、店を一人でやっているためその機会は訪れないのだとか。


「実はね・・・」


メリーさんは恐怖のポーション瓶2万個入荷事件を語って聞かせた。

その結果、俺は称賛と拍手攻めにあった。


「さすがケイタさん」


「すっかり英雄ね~」


その様子を見てメリーさんは満足したような顔をしていた。


そして決意を込めた目でフローラさんを見る。

フローラさんはその目を見てうなずき返した。


なんのアイコンタクトだ。


雑談の時間が終わった後、俺はクリフトさんに呼び止められた。


「受け入れるように」


それだけを言われて俺を部屋に帰るよう言われた。


「じゃあボクも」


オモチは俺の左腕からスルリと抜け出して、テーブルの上に座り込んだ。


「・・・わかった」


部屋に帰ると、メリーさんが来ていた。


「ケイタさん、この前のお願いの件です」


フローラさんが切り出した。


「はい」


「ケイタさん、あの・・・」


「はい」


「私も、ケイタさんとの子供がほしいです」


メリーさんは、はにかみながらそう言った。

ただただかわいくて、どきどきした。


「ふふ」


フローラさんの笑い声で我に返った。

俺もメリーさんもフローラさんを見た。

フローラさんはメリーさんに優しくうなずいた。


「あ、俺からもぜひお願いします」


二人が俺の答えを待っているのが分かって、慌てて口を開く。

これが正しい答えなのかわからなかったけど、俺も勇気を出してフローラさんの前でメリーさんに告った。


「おめでとう、メリー」


「ありがとう、フローラ!」


そう言うと二人は抱き合った。

フローラさんはメリーさんをよしよししている。


「フローラさん、は、良かったんですか?」


「ええもちろんよ。私もメリーも同じ男性を選ぶなんて、

 二人して男を見る目があったってことよね」


「うふふ。そうね・・・私たち昔はよくケンカしていたのに、

 今では、これで更に一番の仲良しよね」


「そうね。それにさっきの話を聞いて、思っていた以上に、

 本人は無自覚にだけど、甲斐性があることも判明したし」


そういってフローラさんもにっこり笑った。

これは恐怖のポーション瓶2万個入荷事件の話だろう。

半日で220万を用意できる男だからな。

そう考えるとちょっと誇らしくなる。


「そうよね・・・もともとケイタさんには落とされていたんだけど、

 トドメさされちゃったわ」


そういって、くすくすと笑い合う。

とても耳心地の良い笑い声だった。


落とされていた云々は、そういうエピソードにも気づかなかったけど、

ポーション瓶の件は正直、どうだ!(意味不明)と思った。


この日は俺を真ん中に、左右にフローラさんとメリーさんという両手に花状態で眠った。

俺をはさんで昔話に花を咲かせる二人の心地よい声を子守歌に深い眠りに落ちた。


朝はくすくすと、ささやくような笑い声で目が覚めた。


目を開けると、美女二人が俺の事を見ていた。

昨日からずっとつないでいた手がちょっとしびれている。


「最高の朝だぜ」


と、今まで言った事もないキザなセリフを吐いてみた。

そうすると2人は爆笑したのでそこまで悪くはない選択だったようだ。


俺は二人を抱き寄せ、柔らかくいい匂いを堪能する。


「そろそろ起きますよ旦那様」


フローラさんが優しくそう言ってきた。


「私もお店の準備しないと」


そう言いながらもメリーさんは俺に抱き着いたままだ。


「もう、あなたたちは今夜ゆっくりできるでしょう」


フローラさんがほほを膨らませた。

今夜はメリーさんの家に行くことになっている。


「じゃあ、朝はフローラに譲るわ」


そういってあっさりとベッドから降りて、メリーさんは部屋を出て行った。



「では・・・」


「ええ? 今から?」


フローラさんを捕まえて柔らかさといい匂いを堪能する。


「昨日我慢してて、もう我慢できないです」


「もう・・・」





◇◆◇◆◇◆



「ケイタさんは当分の間は夕方の治療は不参加として頂いて問題ありませんよ」


「え、当分ですか?」


「ええ、おかげさまでみんなリフレッシュできたようです。もともとそういう約束だったですし」


「ええ、でも・・」


「部屋は引き続き使ってください。それに、落ち着いた頃にまた参加してもらえれば、こちらとしても助かります」


「わかりました」


(この人はなんで俺にこんなに良くしてくれるんだろう)



「ケイタ、今日はどうするにゃ?」


毛づくろいを終えたオモチが猫形態で歩いてきた。


「そうだな、薬草採取かな? 薬草の在庫0だし、瓶が膨大な数になっているだろ?」


「そうにゃね・・・ボクの空間収納はポーション瓶だらけなのにゃ」


確か空き瓶が1万8000個ほど入ってるはず・・・

瓶の数もやばいけど、それが余裕で入っている空間収納の容量もやばいな。

無限かな?


「じゃあ、今日は薬草採取メインで回るのにゃ」


「うん、今日もよろしくねオモチ」


「了解にゃ。ケイタ」


オモチを左手に抱いて入り口へ向かう。


「ではクリフトさん行ってきます」


「はい、がんばって」


教会業務をやるわけでもないのに、応援される。

この人はなんで俺にこんなに良くしてくれるんだろう、と思いつつ教会を出た。


「じゃあ東の森へ行こうか」


「そうにゃね」


門番さんに挨拶してから森へと続く道に立つ。


「じゃあオモチよ・・」


「うにゃ」


オモチは心得たとばかりに頷き、ケットシー形態に変身して、

左手を胸の前できゅっとにぎり、右手をいつでも突き上げられるように構えた。


「薬草を一杯とるぞー!」「「お~!」」


「クイック・パワー!」

魔力が全身を包み、筋肉に浸透して活性化していく。

透明の湯気が体中から立ち上るのが見える。


「ゴー」


猫形態に戻ったオモチと同時に走り出す。

景色がどんどん後ろに流れていく。

無心で走り続けたところ、今日は15分ほどで到着した。


オモチも余裕でついてくるけど、見てると地に足を付けず空中にいる時間が多い気がする。

前にジャンプして、着地と同時にまた前にジャンプして、を繰り返している。


動物の犬や猫が速く走る時のフォームを、高いステータスで更に無理やり高めたような走り方だ。

確かにあの小さな体、短い脚を高速で動かしてもここまでの速度はでないだろう。

もしオモチが「クイック・パワー」を使ったらどんな事になってしまうのだろうか。


まあ俺としては既に恐怖を覚える速度になっているので、これ以上を求めてはいないけど、何かあったときはこのオモチ式ダッシュをやってみよう。




◇◆◇◆◇◆



「じゃあ外周にはもう薬草はないから中層をメインで今日は少し深いところに行ってみるにゃ」


「了解」


いつまで経ってもオモチが動き出さないので左を見る。

すると、オモチはいつもの左手を優しく握って、右手をいつでも突き出せる状態で固まっていた。

さっきやったばかりなので油断してた。


「よ、ようし、いくぞー!「「おー」」」


そういうとオモチは元気よく走り出した。


「今日はいきなり飛ばすなあ! 時々俺がついてきてるか見てくれよ~」


「わかってるにゃ~」



◇◆◇◆◇◆


「ウォーターバレット、バルカン!」


トトトトトと、ウォーターバレットが連射される。

最初は3発くらいだったけど、今ならずっと撃ち続けられる。


これは新魔法・・・ではなく、魔法のカスタマイズだ。

本来ウォーターバレット・バルカンという魔法はない。


ウォーターバレットは単発でしか弾が出ない。

相手が多数いる場合に間に合わないかもしれない。

この使い勝手のいいウォーターバレットをもっと効率よく連射出来ないか、となった。


ヒーリングの魔法を習ったときに、魔法はヒーリングに限らず、イメージによって若干のカスタマイズが出来ると学んだ。


正式な発表などはないが、カスタマイズの幅は魔力操作のレベルの高さで広がるのでは・・というのは教会本部で学んでいるときに聞いたとクリフトさんは言っていた。


俺の魔力操作は上限の10だ。行けるだろう。



元々ウォーターバレットは「ここ」とイメージするだけで、そこに着弾する魔法だった。

このウォーターバレットの後に「バルカン」と言葉を付けることによって、

自動で連打される魔法になるんだと、自分の頭の中でイメージを作り定着させる。


ベースとなるのは、ヒーリングを覚えた後に、症状ごとに最適に癒せるイメージを

どんどん追加してレパートリーを増やしたのと同じだ。


ちなみに魔法に限らず、新しい知識や技能を自分の中に定着させるコツとしては、ひたすら反復練習だ。

イメージ方法がブレないようノートにまとめて、最初の頃は毎日、一日何回も丸暗記するまで

読み返し、完全に覚えた後も定期的に読み返す。


この世界は娯楽が少ないので苦も無くこれが出来る。

日本では沢山の更新されるブックマークのラノベを読んで行くのとか、スマホゲームのデイリークエスト、イベントクエストをこなすだけで一日使っていた。

時間は足りないくらいだった。でも現在はやることがない!


なのでノートを何度も読み返したり、ヒーリングでいえば現在、

教会の治癒の時間で何度も実践をやって反復練習が出来ているので

ほぼ無意識で症状によってのイメージを切り替えて使えている。

そういう意味では、治癒の時間はかなり有用な時間だ。


このカスタマイズがうまく定着出来れば、俺はMP管理をしていればいいだけになる。

弾をバルカン砲のように連打しながら歩く殺戮マシーンになれるのだ。


俺にはもう見えているぞ、手持ちバルカンの銃身が・・・!


え?日本人なら日本刀?

日本刀も好きだけど、・・・銃もいいよね!





それからモノづくり展までは固定のローテーションで行くことにした。


まず、治療の時間免除を生かして夕飯ギリギリまで森に滞在することにした。


森では薬草採取と攻略と魔法の練習を行い

それ以外の空いた時間では、付与と魔道具の本を読みなおしした。


夜はフローラさんとメリーさんの元を交互に訪ねている。

誤字報告ありがとうございます。

反映させて頂きました!

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