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マリオン道中膝栗毛 その1


「号外!号外だよーーーー!!!ゲルババ沼地が大爆発!」


ー なになに?爆発の原因は?毒ガスが引火?

ー 魔物達の縄張り争いが要因か?

ー いやはや怖いねぇ…

ー 沼地が全部、蒸発したらしいじゃねぇか

ー すげえ音したもんなぁ!!


世界に響いた衝撃音は各国のニュースの的だ!


まだ、混乱の醒め遣らぬアン・ファングの街の中

その街の小さな武器屋の裏手の倉庫から

興奮気味の声が聞こえる


「スゲェー量のオリハルコンじゃねぇかー!!!

これだけあれば、お釣りが来りゃあ!」

ガハハと大笑いするのは、ドワーフの職人パンサ


「まさか、あのガス爆発は、兄ちゃん達の仕業じゃねぇよな?」

とこか、怪訝そうに喋るのは武器屋の店主、

ドワーフのホーテだ


「あったり!まえ…!!!!」

得意満面のエイトの口を押さえてながら


「ハハハ、まさかぁー、違いますよー。」

明らかに作り笑顔で、答えるのオグナ


「いいじゃねえか!どっちでも、一々小せぇ事、気にしてっから、ハゲるんだよ!」


「イテーーー!!!」


ゴチン!と弟の頭をこつくパンサ


「で?そっちの犬っころは?」

パンサが顎先で緑の獣を指す


「ああ、彼は…」

オグナが答えより先に、獣をがぐにゃりと姿を変える

「はじめまして、僕はシシカバです」

ライムグリーンの髪に爽やかな笑顔の好青年が自己紹介をする。


「!!!!!」


間近で獣が人の姿に変わったのを見て

驚きを隠せないドワーフの兄弟


「お…おぉ!よろしくな、俺はパンサだ、でハゲが弟のホーテだ」

「ハゲって言わなくていいだろ!よ、よろしく」

「オグナの筋肉にも驚いたがよ、お前さんにも相当変わってんだな」


「ありがとうございます!」

と、どこまでも爽やかに答えたシシカバはすでに獣の姿に戻っている。


「お前さん…その姿…もしかして、ミカガミダヌキかい?」


「はい、父がそうでした。」


「でした…か、すまねぇ要らねぇ詮索だったな…」


「いえ!」


____________【ミカガミダヌキ】_____________

ゲルババ付近に生息した、絶滅した言われる狸の一種。

その生態は謎が多い。

変化(へんげ)と言われる、特殊な能力をもっており

幻視や幻覚などに頼らず

体の細胞をコントロールし組み替える事で、

有機物、無機物問わずに姿を自在に変える。

ほとんどのミカガミダヌキは1度、姿を変えると

一生その姿で生涯を終えるとされる。

中には、家族や友人、自分自身も変化したタヌキだと気が付かずに

人として生涯を終え、死後、遺体の変化が解けてから

タヌキであることが、発覚した逸話も残っている

また、過去に、レジーナ・モービーの周囲に広がっていた大森林は、そのほとんどが、木に変化したミカガミダヌキだったと唱える歴史学者もいる。

___________________________________________



「まぁ!こっからが本題だ!改めてお願いする!

あんたの馬韋駆(バイク)をこの俺に!預けてくれ!!」


深く頭を下げるパンサ!


「OK!頼んだ!!」

快承するエイトは飛びっきりの笑顔だ!


「予選レースは3ヶ月後!!それまでにバッチリ仕上げるからよ!グレイト・ウォールで落ち合おうや!!」


「おぉ!期待してる!!!」


「おっしゃ!そうと決まれば!ちょいとでも!時間が惜しい!早速作業おっ始めるぞ!」


「はいよ!兄貴!!」

ホーテは兄と仕事が出来る事にワクワクしている様子だ!


お気に入りの馬韋駆を預け、ドワーフ達の工房を後する

オグナ達一行は、エウロンの故郷マリオンへと向かう準備を始める


改めて発行された旅券を受け取ったあと

オグナは街の診療所に足を運んだ


6つのベッドの並ぶ病室

ぽつんと1人、木製の義手と義足の中年の男性が、

どこを見る訳でもなく窓の外をぼーっと眺めている。


コン!コン!


入室の気配にも気付かない男性に向け

改めて扉をノックするオグナ


ノック音に力なく振り替える男性


「あぁ、オグナト殿でございますましたか…」

「お見舞いに伺いました」

「これは、ご足労を…おかけしました」

と、仰向けの体を痛々しく起こす男性に

「あぁ!ご無理なさらずに」


すぐさま、手を添えるオグナ


「ありがとうございます」

「いえ、どうです?体調は??」

「…何とか回復に向かっております、そちらの方々はお仲間でございますか?」

「ええ、あれから少し増えました」

言うと、優しく ふふっと笑うオグナ


「そられは、よろしゅうございました…初めてまして、そちらのお嬢さんは以前お会いしましたね」


「はい、エイトとシシカバです。」


一同が挨拶を交わし終わると…


オグナは、本題へ切り込む

「そのお姿、いったい、何があったのですか?」


「私にも…わかりかねます…一体何が起こったのでしょう…ただ恐怖と、自身の不甲斐無さに震えるばかりです…」


かける言葉も見つからず、沈黙だけが流れる病室


「突然の事でございました………覚えているのは、5人の男、いや女かも知れません。1人は鳥の羽の様な仮面をつけておりました。一面の血…兵達の悲鳴……」


涙に声を詰まらせるユッケ


「奴は、遺産を探していました。エウロン様の金貨でございます。」

「どうなったのですか?」

「溶かしました…彼奴等の手に渡るぐらいならと、姫様が熱魔法をお使いになって…それから後はわかりません。どうやら落ちて来た石材の下で気を失っていたらしいく…」

「姫は?」

「……生き残りは私だけだったそうです」

「襲ったのはボルドーの手の者では無いと言っていましたね?」

「えぇ、アレだけの強者がボルドーにいたのであれば…今よりずいぶんと前にイスリールは滅んでいたでしょう。」

「何者でしょうか?」

「わかりません…………」


再びやって来る重い沈黙


「お食事の時間ですー。」

優しい看護人の声が沈黙を破る

看護人を場所を譲る様に3人ベット脇から移動する


「オグナ殿ありがとうございました。久方ぶりにお顔が見れて良かった。」


「私もです、では」


病室を後にしようとするオグナ達


「では、お食事、食べましょうね〜」

看護人が熱いスープをすくった匙をフーフーと冷ます。


「お知り合いですかー?」

「えぇ」

「イスリールの方達ですか?」


看護人はそのまま、ユッケの口元に匙を運ぶ


「いえ、まぁ色々ありまして、この前知り合った冒険者さんです」

「そうですか…」

「ぐぅ!!!!!!!!!」

匙が喉の奥へと刺さる!器官が塞がれ!嗚咽さえ出せない!

紅潮した顔でバタバタとユッケは必死の抵抗をする!

その内に下顎は砕け、頬の肉が裂ける!


「………生き残りは困るんだ」


先程まで顎だった部分は、ぶらりと垂れ下がり

鮮血の広がりとともに、三度の沈黙が、病室を包んだ。








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