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その5

森の中を走るオグナ

すでに28号達は遥か前方と思われる

姿こそ見えないが、激しい戦闘の爪痕が道標となっている


「…どこまで行くんだよ」


彼等が向かった先、その終着点

険しい岩肌に囲まれた大地

折り重なった岩々に隠れる様にして小さな洞穴が見える


ー おめおめと…逃げ帰って来たか ー


洞穴の最奥で光る容器

その前に立つ人造人間(ホムンクスル)


「申し訳もございません」

跪く26号の頭の中に響く声


ー 辿り着いたのは3体だけか… ー


20号は途中で力尽きて捨てられたのか

姿が見えるのは3体の姿のみ


「28号は、予想も出来ないパワーアップをしておりました」


3体の体は、多くの手傷を負っている


ー 少し早いが…足りない分は貴様らで補うか… ー


ビキビキビキ!っと容器にひび割れが走る

溶液の水圧に負けて容器が破裂する!


ぬるりと地面に降りる脚

壊れた容器の蓋を掴む4本の鉤爪

カミキリムシの様に長く垂れた触角

カチカチカチカチと発達した鋭い顎が鳴る


『…頭をよこせ』


「はっ!」っと声と同時に

26号は自らの首を切り落とした。


転がる頭


22号と25号は驚いた表情を見せる


落ちた26号の頭に前脚を伸ばす昆虫!すると顎を大きく開き、昆虫がムシャっと頭にかぶり付く!


『…足りんな』


ドス!


気が付くと22号の首は鋭い鉤爪で貫かれている

首の違和感に22号が視線を落とした瞬間


ブチッ!っと頭が持ち上がった。


汗が逆流する!恐怖で駆け出す25号!

彼女の目には出入り口の光が遥か遠くに感じられる!


(逃げなきゃ…殺される…)


ようやくたどり着いた太陽の下!もっと遠くへと思った時に!


(あれ?何これ?…)


彼女の瞳に映る、自分を追い越していく何かの姿!

その体には首が無い


(え?…あのしっぽ?)


バグ!!!!っと顎の閉じる音


4歩、5歩と足を進めて、地面に倒れる少女の体


『あぁ…力が高まる…この【暴食飢蟲(ハングリーバグ)】の能力で次は貴様を喰らってやるぞ…28号』


カチカチと鳴る昆虫の顎の音がまるで高笑いの様に岩肌に響いた。



「おいおい…なんだ…アレ?」


人造人間達を追っていた28号は身を屈め足を止めた。

Dr.アリマの研究所洞穴から

駆け出して来た25号の首の無い体

ついさっきまで追いかけていた者の変わり果てた姿

その後で来た、巨大な昆虫


「あんなの知らないよ…新顔かい」


28号の顔に困惑と焦りが浮かぶ

ほんの少し体を動かした瞬間


昆虫の触角がピクリと動き

髑髏の様な顔が28号の方を向いた。


(((ッ!!!気付かれた)))


『お帰り…28号』


不気味な声が聞こえて来たのは自分の背後


ボンッ!という砂埃!!


28号のいた足元は鋭利な昆虫の鎌で

スパっと切断されている!


間一髪!気配に気が付ついた28号は

何とかこの攻撃を避けていた。


『ほう…元気になったじゃないか、28号!!』


「テメェなんて知らねえよ」


向かい合う28号と昆虫


何かに気付いたのか

『ほう…』っと感心の声を上げる昆虫


見ると脚の1本が欠損してしまっている

避けた瞬間に28号が魔力で反撃していた様だ


「ちっ!もうちょい右か…」


昆虫は、舐める様に28号の全身を観察している


『魔力を使っても、まだ力が余っているとわ…どれほど生命を殺したのだ…』


『さぁね!!』


バッ!

っと腕を前に出す28号

流星の様に小さな黒い球体が発射される


昆虫の近くの空間が歪む

球体の通った後の地面は、削られた様に失われている


「クソッ!また外したか!」


『貴様は吾輩に攻撃出来ないさ』


「やってみなきゃ分かんねぇだろ?!」

猛スピードで昆虫に殴り掛かる28号


「え!?」っと、その拳がピタリと止まる


サッと後ろに飛び退くと、先程の球体を乱れ撃ちする


昆虫の体を逸れる様にして全ての玉が飛んで行ってしまう


「この感じ…テメェ!!!」

憎々しい表情で昆虫を睨み付ける28号


『そうさ、ようやく思い出してくれたかな…父の顔を』


髑髏の様な昆虫の顔グニャっと動き、

Dr.アリマの顔の形に変形する。


「生きてたか!」


『いや、死んだよ一度』


顔が再び、昆虫の顔に戻る


『吾輩は実験体29号!…お前の細胞と多くのモンスターを掛け合わせた完成形人造人間(ホムンクルス)であり!Dr.アリマだ!』


「素直に…死んどけよ」


『賭けだったよ!死ぬ運命だったよ!しかし狙い通り、この29号の能力が働いた!』



___________【実験体29】___________


Dr.アリマが最後に作った強化・人造人間(ホムンクルス)

10番台のナンバーズの様に人型から逸脱した異形の姿


暴食飢蟲(ハングリーバグ)】の能力で

脳を食べた生物の能力を受け継ぐ事の出来る

昆虫型人造人間


自分の死を悟ったアリマは、自らの首を完成前の29号に与えた。


本人はすでに死亡したものの

アリマの人格と記憶を引き継いでいる


__________________________________




カチカチと顎を鳴らし高笑いの29号ことDr.アリマ

『お前達ナンバーズは吾輩には攻撃出来ない!!』


「こうすりゃ!良いんだろ!!」

ドカンっ!と拳を突き立てて28号が地面を砕く!


吹っ飛ばされた岩が昆虫(アリマ)に向かって飛んで行く!


バン!!と岩かアリマにぶつかる!が

壊れるのは飛んで行った岩のみだ


『さて、そんなやり方で、この私を殺せるかな?』


「舐めんなよ!」


『せいぜい足掻いて我に喰われろ…【地獄(エデン)稲妻(トール)】」


黒い魔力の雷が天に向かって伸びる

バリバリ!っと大気を引き裂き激しい雷鳴が轟く


「ちっ!胸糞悪いねバケモンめ…」


直撃を喰らった28号は所々の皮膚が裂けて出血している

26号から奪ったと思われる能力!

その威力は格段に上がっている。


「あいつも…食ったわけか…」


内包する魔力で、28号の傷は、たちどころに塞がっていく


「オォオラ!!!」


もう一度28号が地面を叩く

無造作に飛んで行く割れた岩


『それは効かんと言って…!!!!なに!?』


バキン!っと一発!

28号の拳がDr.アリマの顔面にめり込んだ!

後方に体を運ばれながら前脚の鎌を横に払うDr.アリマ

猛スピードの鎌の一撃を腹部に受けた28号は

吹っ飛ばされて岩肌に全身を打ち付けられる


砕けた岩の中から立ち上がる28号


「へへへ…届いたぜ」


口の端から垂れる血を舐めながらニヤリと笑う28号


『成る程…』


「やっぱ、直前でブレーキがかかっちまうな…その首吹っ飛ばそうと思ったのによ!!!」


不敵な笑みで啖呵を飛ばす28号


『吾輩では無く…岩を狙ったな…』


28号が叩き割った岩がDr.アリマにぶつかる直前

目前に迫る岩の中から飛び出して来た小さな拳、飛ぶ岩を先に砕いたのは、アリマの攻撃では無く、28号の鉄拳!

岩を破壊し、その勢いのまま、28号がDr.アリマに突っ込んだのだった。


「正解!」


声と同時に再び岩を飛ばす28号


『そう何度もやられるか!!!』


飛び礫を切断する、Dr.アリマ!!

しかし岩の影に28号の姿は無い、そこにあるのは

複数の魔力の球体!!!!


『まずいッ!!!【豪炎(フレア)大瀑布(カスケード)】!!!!』


突然上がる大きな火柱!

それがDr.アリマを中心にグワッ!と広がる

その勢いは、空に向かって落ちる滝!!!


「見直したよ!根性あるね!!」


『クソアマがーーーーーーーーー!!!!!』


大気を切り裂く怒号、昆虫の顎がガチガチと激しく音を立てる、背中の4枚羽がブーーン!と音を鳴らして震える

昆虫の体には焼け焦げた傷跡が残っている

28号の魔法が着弾する寸前、

自身さえ巻き込みながら広範囲魔法で28号の魔法をかき消したのだ!


『もう楽に死ねると思うなよ失敗作が!【(ドラゴニック)堅鱗(アーマー)】!!』


Dr.アリマの昆虫の体に鱗状の外皮が生えて来る

先程の傷も再生したようだ!


『これで貴様からの打撃にも魔法にも強くなった…さぁ第2ラウドと行こうか』


Dr.アリマから激しい魔力が迸る!


「ヤバイね…こりゃ」


28号顔には焦りが滲んでいた


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