旧友との対話
飛び石連休ですが、シルバーウィークですね。
皆さんはどうしてますか?と言っても零は普段と変わらない日常でしたけどね。
「で、なんでてめぇがここにいるんだ。イナバ」
現在、俺はギルドマスターの部屋にライノと二人っきりでいた。
「まあ、それには色々と訳があってね。……それにしてもライノ、老けたね」
「あったりめぇじゃあボケ!伊達に数百年は生きていないわ!てか、こんなんになったのもてめぇのせいだろうが!てか、寧ろなんでてめぇは年取ってないんだぁ!」
「え?それ言っちゃうの?まあ、教えないけど。そういや嫁さんと子はどうしたんだ?フラれたか?」
「あーもう、いいわ。お前はそんな奴だったしな。……あとあいつらは今、里帰り中だ。で、真面目な話、三百年前に何があったんだ?」
「はぁ、それ言っちゃうの?ばれない様にしてたのに」
「あったりめぇだ。さぁさっさと話して貰おうか」
しょうがないのでライノにこれまでの経緯を話してやった。ついでに、なぜ、ライノが知っていたかと聞いて見ると行方不明だったジェミニの捜索を精霊に頼まれた時に全ての事情を知ったらしい。
「ん?ちょっと待て。当然だけどお前は迷宮を全て攻略したんだよな?」
「当たり前だ。しかしさっきの話からすると、ジェミニはオルン迷宮に居たのか?たしかそこはとっくの昔に攻略した筈なんだが……」
んー?どうやらはじめの頃の迷宮自体には、異物が混ざっていなかったら様だ。……しかしそうなると現時点では、他の迷宮も危ないかも知れない。―――それに、迷宮自体は元々おもちゃ箱なだけであって、そこに子供を隠しただけであるのだから。
「……虫でも湧いたのかな」
「どうやらその通りかも知れねぇな。で、お前は俺になんのようなんだ?わざと目立つまねをしたんだ、ただ昔話をしに来たんじゃないんだろ?」
やっぱり、こいつは面白い。流石だ。
「……あぁ、とても重要な依頼を一つと普通の依頼を一つ、お前に依頼したい」
「……何だ」
声のトーンを落としてその、二つの依頼を話す。この部屋にとてつもない緊迫とした空気が流れる。
「その依頼は―――
「な、なにぃぃいいい!?」
ライノの驚愕の声がギルドに響き渡った。
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
「あら、ご主人様。ライノ様とのお話は無事に終わったのですか?」
「ああ、最終的に説得するのに時間がかかったが、なんとか依頼を取り付ける事が出来た」
ギルドマスターの部屋から出てきた俺を早速、千草が迎えてくれた。 他の奴らは下に居るそうだ。
にしてもライノのあの驚き様には、驚いた。そこまで驚く事だったかな?ま、いっか。
「そういや、例の活発化している魔物については何かしらの事はわかったか?」
「それに関してなのですが、どうやらこの大陸の魔王の四天王までもが動いている様で、各地でその姿が目撃されています」
「!おいおい、嘘だろ。にしても何故だ?奴は基本的に温厚で、その配下の四天王さえ、滅多なことがない限りは、姿を見せない筈なんだが」
「それにつきましてはなんとも答え難いですが、どうしましょうか?」
本当にどうしようか。このまま、この状況が続けば魔王一派はめでたく人類の敵となってしまうだろう。人はたとえ手を出されなくても自分より強い者達に過剰に反応してしまうだろう。それはどうしても避けたい。
しかしそっちの対応に当たっている内に乃々の奴がここに来て厄介ごとを起こすのも避けたい。
……何でだろ。今のところ俺、厄介な問題を二つも抱えちゃってるんだけど、しかも二つとも滅亡エンドって……この大陸って実は今、未曾有の危機を迎えちゃってんじゃん……二つとも俺が首を突っ込める事態だし。
「マジでどうしようか。これ」
気楽な気持ちから一転、絶望に心が、塗り変わっていく。
「それでしたら、ルノアール大陸に行く際に魔王の住み処の近くを通るのでその時に対応すれば良いのではないでしょうか?」
俺の悩みに対して、千草は極めて落ち着いた態度で、折衷案を出してくれた。持つべきものは頼りになる家族だな。
「じゃあそうするか」
こうして俺達の今後の動きが決まった。
―――しかし、世の中は常に理不尽なのが世の定めだということをその後、瞬は知るのであった。




