2話 管理者権限
「それで、俺は一体何をすればいいのかな」
「管理者権限の運用モードを説明します」
「お、なんかそれっぽい」
「本システムには、二種の管理プロトコルが存在します」
一拍。
「――上位管理モード」
「世界の存続および均衡維持を最優先とする運用形態です」
「直接的な介入は制限され、確率補正、事象誘導などの間接干渉によって世界を安定化させます」
「……裏から調整する感じか」
「はい」
「続いて」
「――干渉管理モード」
「管理者個体の意思を基準とし、現実への直接介入を許可する運用形態です」
「環境改変、事象短縮、結果固定などの権限が制限なく使用可能となります」
「……???」
「なお」
一瞬、間が空く。
「マスターは現在、後者に分類されています」
「うわ」
思わず顔をしかめる。
「完全に現場じゃん」
「はい」
「世界の管理者でありながら、同時に当事者です」
「……どうすんの」
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「…そういえば、今日ダンジョンか」
ぼそっと呟く。
現実に引き戻された感覚。
「マスター、行動予定を確認しますか」
「いや、いい」
立ち上がる。
「どうせいつも通りだしな」
――――――
ダンジョン入口。
「……なんか久しぶりな気がするな」
軽く肩を回す。
冒険者。
一応、それが今の自分の職業だ。
安定も保証もない、いわば日雇いに近い仕事。
「ま、今日も適当にやるか」
中へ入る。
その瞬間。
――警告
――管理者個体が高リスク領域へ侵入
「……ん?」
――自動防護プロトコルを起動します
――権限レベル:最上位
――戦闘補助《完全自動戦闘》付与
――回避補正《絶対回避》付与
――耐久補正《概念耐性》付与
――環境適応《全状態無効》付与
――危険予測《未来視(短期)》付与
「……なに、それ」
「説明します」
間を置かず、機械的な声が返る。
「当該スキル群は、管理者が高リスク領域へ侵入する際の最低限必要な防護措置です」
「……最低限?」
思わず聞き返す。
「はい」
一切の揺らぎもなく、続く。
「環境および状況に応じて、追加の補正およびスキル付与を随時実行します」
「……は?」
「危険度の上昇を検知した場合、さらなる対応を行います」
わずかな間。
「管理者の生存は最優先事項です、また当該区域は管理対象です、今後の活動のためにチュートリアルを受けることをおすすめします。」
チュートリアル?なんだそれ
「チュートリアルを受けるとなにがあるんですかね」
「はい、チュートリアルでは主にアーカーシャの大まかな使い方を説明いたします。」
アーカーシャ、俺に付与された力のことか、今後何かの役に立つかもしれないし、一応受けておくか
「わかった、チュートリアルをうけよう」
「承認 管理者のチュートリアルを実施」




