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56 集められたゴミ

 城の前にはゴーレムによって大量のゴミが運び込まれていた。

 適当に廃棄されているゴミをどうにかする方法についての質問が相次いでいたので、特にゴミが集まっている場所を聞き出してゴーレムに集めさせていた。

 これらは人間の侵略者から奪ったもののうち、壊れて使えなくなってしまった武器や誰も使いたがらない道具である。

 見たところ防衛戦の際に鹵獲されたものも多く含まれている。


 ここの魔物たちは人間が使っていた道具をそのまま使うという事はしないようだ。

 人間の道具をそのまま使っていると気が触れてしまうとか、邪悪な魔法がかけられていて知らず知らずのうちに人間の奴隷になってしまうとか、そういった噂がまことしやかにささやかれている。

 そんなわけでここの住人は、1度分解して使えそうな部分だけを流用して後は捨ててしまうのだ。

 勿体ないとは思うが、こちらの世界に転生してきたばかりの俺には魔物の感性とやらが鈍いらしく、人間の使った道具にそんな呪いのようなものがあるかなんて気付けない。

 単に気持ちの問題なのかもしれないが、もし噂通りにそんな呪いがあったとしたなら、住人の習慣のほうが正しいだろう。

 

「こんなものどうするのかねえ。やっぱり要らないなんて言って返すんじゃないよ」


「ソロモンの考えてることはいつも分かんねえよ。まあ処分してくれるんなら何でもいいけどさ」


 住民には変に思われているが、これもこの街のことを思ってのことなのだ。

 有用な物は知恵を働かせれば確実に手に入るわけではない。

 それに誰もが考えて見つけられるような物は既に誰かが所有してしまっていることも多い。

 集められた不用品の中から地道に探せば、きっとこれまで誰も見つけられなかった何かの役に立つものが出てくるはずだ。


「ずいぶん派手に散らかしてくれてるじゃない。それは別にいいんだけど、あんまり長いこと置いておかないでね」


 通りがかったイシュー様に釘を刺される。


「すみません、すぐに城の地下に片付けます。あそこなら十分な広さもありますし、迷惑にはなりません」


 ゴミを集める前にあらかじめイシュー様に城の空き場所を使わせてもらうようにお願いしておいた。

 城の広い地下室はゴーレムの保管には適さない環境らしく使われていなかった。

 野ざらしにされていたゴミの置き場所にはうってつけだった。


「パラスもお仕事頑張ってね。それじゃあ」


「……はい」


 イシュー様が去っていくと、住人たちが声を掛けてきた。


「なあソロモン、俺たちも手伝ってやろうか?」


「……いい、ゴーレムがいるから」


 パラスが割って入る。

 おいおい、せっかくの申し出をなぜ断るんだ?

 手を貸してもらうのがそんなに嫌なのか?


「うーん、そっか。ならいいんだけどよ」


「まあ、価値のあるものなんてこの中にはないだろうけど、せいぜい頑張りなよ」


 そういって魔物たちは帰っていった。


「パラス、あの人たちにも手伝ってもらった方がよかったんじゃないの? 作業のついでに道具の使い道について相談もできただろうしさ」


「……いいよ。借りを作ってしまうのは嫌」


「誰かに助けてもらうのは悪いことじゃないよ。むしろ助けてもらわなきゃいけないタイミングを判断して頼ることができるかどうかってのは大事なことだ。ゴーレムだって複雑なことはできないんだしさ」


「……次からは考えてみる」


 やる気のない返事をしてパラスは地下へと降りて行った。


 俺はくだらないことを質問すると馬鹿にされると思って、回答ばかりしていた時期があった。

 今ではすごく惜しいことをしたと思っている。

 パラスなりの考え方、やり方があるのだろうが、俺と同じように後悔してほしくはない。

 だが、それ以上はうるさく言わずに俺も地下へと行った。

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