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家路に帰り着きますと、遠藤さんは慣れた手つきで手を洗い、うがいをしました。
どんな時でも、基本は手洗いうがいです!!
今は声が出せない状況ですが、遠藤さんはボーカリストです。
喉のケアは一流なのです。
わたしも負けずに手洗いうがいをします。
遠藤さんは口の端をにやりと曲げて、わたしを見下ろしてくださいました。
さきほどの頭ぽんぽんといい、今夜の遠藤さんはきゅんで満ち満ちております。
子供のようなうがいに自分で恥ずかしくなりながらも、豪快にがらがらしないと納得しないたちなのです。
がらがらがらがら。
あれ? 遠藤さんは鼻うがいまでするのですか? シュールです。ワイルド系イケメンの遠藤さんが、すました顔して鼻うがいです。
残念ながら、わたしは鼻うがいはできません。
過去に挑戦してみましたが、痛くてダメでした。
そうして今日は遠藤さんの貴重な一面を見てしまいました。 鼻うがいです。
頭ぽんぽんも思い出すときゅんとしますが、にやりと笑われたこともきゅんとしますが、鼻うがいですから。全部持って行ってしまいました。
と、ふいに遠藤さんが大学ノートに万年筆で書き付けます。ノック式の万年筆なので筆記が早いのです!
【今夜はすき焼きでいいか?】
「もちろんです!!」
そのためにたくさんの食材が必要だったのですね。
なぜ気づけなかったのでしょう。一人暮らしを始めてから初めてのすき焼きです。
なんだかとてもわくわくします。
一口コンロをテーブルに設置すると、遠藤さんが次々と食材を鍋に押し込んでゆきます。
当然焼き豆腐だって糸こんにゃくだって主役です。
【食べようか? いただきます】
「いただきます!!」
遠藤さんの合図で箸を鍋に突っ込みます。狙いは白菜です!!
「ん〜。肉厚でおいしい〜!!」
【白菜から食べるなんて、通だな】
褒められてしまいました。やったっ。
そんなわけで遠藤さんとの初鍋はすき焼きでした。
もちろんお肉もおいしかったのです。
すき焼きがこんなにおいしかったなんて、知りませんでした。
これはちょっと、癖になりそうです。
つづく




