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それぞれの一歩


木々が生い茂る高架下。


人気のない整備区域に、 移動研究車両が停車していた。


表面には企業ロゴすらない。


後部ハッチが静かに開く。


「スコーラオ様、危なかったですね」


冷や汗をふく助手。


「そうだな。もう無理だと思ったよ、正直」


そして、あの白い影を思い浮かべた。


スコーラオは、真顔になる。


女助手は、珍しそうにスコーラオを見た。


「リングが全て解放されていれば、こんな回りくどいことはしなくて済むんだけどね」スコーラオは、二人の助手に微笑みかけた。



「ねぇ、本当に行くの?」


「だって、カナタが学校来なくなってから、もう3週間もたつじゃない」


「諸事情によりしばらく休学なんでしょ?言えないんだって」ミルルがあわてふためく。


ミラは、ミルルを引っ張って歩いていた。


「ごめんね。ひとりだと、ちょっと勇気出なくて」

ミラは、小さく息を吸った。

「……一度、ちゃんとタシト隊長と話してみたかったの」


「カナタ、今どうしてるのかなって」


「あー、だからってなんで私なの!? 私、緊張すると変なこと言っちゃうよー」


プラス先生相手なら、いつも積極的に質問するミルルも、今回ばかりは様子が違った。


相手が、タシト隊長だからだ。


渡り廊下の向こうから、訓練施設に向かうタシトを見つけたミラ。


急いで駆け寄る。


タシトは、すぐに気付いて立ち止まり、振り向く。そして、二人の到着を待った。


「……タシト隊長」


「なんだ?」


伏し目がちにミラたちを見る。


ミルルは、ミラの後ろに隠れている。


「あの、差し出がましくてすみません。カナタは、元気でしょうか?」ミラも幾分緊張している様子だった。


「話はそれだけか」


「え?」


重い空気が流れる。


「……それだけって」


「なら、元気だ。

授業が始まる、早く戦闘スーツに着替えてこい」


沈黙。


「私……カナタさんがいても、タシト隊長のことずっと応援してます!」ミルルは、そう言うと手で口を押さえた。


タシトは、ミルルを一瞥すると去っていった。


「あー!やっぱりワケわかんないこと言っちゃったよー」ミルルは、頭を抱えていた。


「ごめん、ミルル。でもありがとう」



ユウナギの手の中で、 四つに分かれたシャインスフィアが青く静かに光る。


「……できた」


「すげー……」「まじかよ」 背後で、生徒たちがざわめいた。


汗が、頬を伝う。

だが次の瞬間、一つの光が不安定に揺れ隣とくっついた。


「……あれ」


プラス先生が笑う。


「惜しいな、ユウナギ」


ユウナギは、小さく息を吐いた。


それでも――以前より、遥かに前へ進んでいる。



(第九十五章・了)


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