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よくわかる日本の歴史 ~ただし、原始時代から日本にのみダンジョンがあったものとする~【第三部完】  作者: Mr.ティン
玖章 平安時代 後期 ~摂関政治の頂点と衰退 そして武士の時代へ~

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長徳の変により政敵の藤原伊周が失脚し、藤原道長が政治の主導権を握った

何とか今日中に間に合った……

【藤原道長】


麻呂は、娘の彰子が、まるで春の桜のように美しい装束に身を包み、帝の御所へと向かう姿を見送っておった。

入内の儀は、まさに藤原北家の栄華を示すかのように、華やかに執り行われた。


彰子は、麻呂の娘の中でも特に聡明で、慎み深い娘でおじゃる。

その姿を見送りながら、麻呂は、此処に至るまでの長い道のりを思い返しておった。


麻呂は、藤原兼家の五男として生まれた。

五男でおじゃるから、本来であれば、藤原北家の中心になることなど、夢にも思っておらなんだ。


だが、運命とは、まるで川の流れのように、麻呂を思わぬ方向へと導いたのでおじゃる。


兄たちが、次々と早世していったのでおじゃる。

病によるものもあれば、呪詛によるものもあった。

平安の都は、まるで闇夜に潜む獣のように、常に危険が渦巻いておる。


長兄の道隆殿は、関白として権勢を誇っておったが、酒に溺れ、病に倒れた。

次兄の道兼殿は、わずか七日で関白の座を退き、疫病で亡くなった。


そして、麻呂が、藤原北家の中心となったのでおじゃる。


だが、麻呂の前には、まだ大きな壁があった。

それが、甥の藤原伊周でおじゃる。


伊周は、道隆殿の嫡男であり、若くして才気煥発な貴族として知られておった。

文武に優れ、多くの貴族たちから支持されておった。


麻呂と伊周は、まるで二頭の龍が天を争うかのように、政治的な主導権を奪い合う政敵となったのでおじゃる。


朝廷での評議では、常に意見が対立した。

麻呂が慎重な政策を主張すれば、伊周は大胆な改革を唱える。

麻呂が現実的な判断を下せば、伊周は理想を語る。


まるで光と影のように、二人は対照的でおじゃった。


だが、運命は再び、麻呂に味方したのでおじゃる。


長徳二年、世に言う「長徳の変」が起きたのでおじゃる。


事の発端は、まこと些細なものでおじゃった。

ある女房を巡っての、恋愛の縺れでおじゃる。


その女房は、宮中でも評判の美女でおじゃった。


その女房については、陰陽寮の加茂忠行殿から、報告を受けておった。


「あの女房は、何やら常人ならぬ気配がございますが、害意は感じられません。無害な存在かと」


忠行殿の言葉を、麻呂は信じておった。

正体が何であれ、悪さをしなければ、宮中に留め置いても問題はなかろうと。


だが、その女房の立ち振る舞いが、まるで蜜に引き寄せられる蜂のように、男性貴族の心を惹きつけてしまうことまでは、予想できなんだのでおじゃる。


伊周も、その魅力に取り憑かれた一人でおじゃった。

そして、もう一人、花山法皇もまた、その女房に心を奪われておったのでおじゃる。


麻呂は、その時の光景を、今でも鮮明に覚えておる。


ある夜、伊周が、花山法皇の御所に向かって矢を放ったのでおじゃる。


「何故、麻呂の想い人を奪うのでおじゃるか!」


伊周の叫び声が、夜の闇に響いた。

矢は、花山法皇の袖を掠めた。


花山法皇は、まるで雷に打たれたかのように驚き、怒りを露わにされた。


「これは、何たる狼藉!」


朝廷は、大騒ぎとなった。

法皇に矢を射かけるなど、前代未聞の暴挙でおじゃる。


麻呂は、その騒動の中で、件の女房を見た。

その女房は、まるで困惑した小動物のように、おろおろとしておった。


「妾は、ただ宮中の生活を楽しんでいただけなのに……こんなことになるなんて……」


女房の声は、震えておった。

その姿は、まるで自分の行いの結果に戸惑う、無邪気な子供のようでおじゃった。


麻呂は、女房に同情したが、政治の世界では、同情は禁物でおじゃる。

忠行殿が言った通り、無害な存在であったのかもしれぬが、結果として大きな騒動を引き起こしてしまったのでおじゃる。


伊周は、その暴挙の責任を問われ、大宰府への左遷が決まった。

弟の隆家も、連座して左遷された。


こうして、麻呂の最大の政敵が、一夜にして失脚したのでおじゃる。


麻呂は、その機を逃さなかった。

朝廷での発言力を強め、次々と政策を実行していった。


源氏や他の武家を取り込み、怪異や魔人への対策を強化した。

平安の都は、まるで嵐の海のように、常に危険が潜んでおる。

その危険を制御するには、強固な政治基盤が必要でおじゃる。


そして、麻呂は考えた。

さらなる盤石さを得るには、帝との繋がりを強める必要があると。


そこで、麻呂は決断したのでおじゃる。

娘の彰子を、帝に入内させることを。


彰子は、麻呂の娘の中でも、特に優れた娘でおじゃる。


幼い頃から、まるで清らかな泉のように澄んだ心を持ち、誰に対しても優しく接した。

学問にも熱心で、漢籍も和歌も、まるで水が流れるように習得していった。


麻呂が、彰子に政治の話をすると、彰子は聡明に理解し、的確な意見を述べた。


「父上、政というものは、人々の幸せのためにあるのですね」


彰子の言葉に、麻呂は深く頷いた。


「その通りでおじゃる。政とは、人々を守り、導くためのものでおじゃる」


彰子は、麻呂の言葉を真摯に受け止め、常に人々のことを考える女性に育っていった。


そして、彰子に仕える女房たちも、まるで星々が月を囲むように、優れた者たちが集まった。


紫式部は、その文才で知られ、物語を紡ぎ出す。

和泉式部は、情熱的な和歌で人々を魅了する。

赤染衛門は、深い教養で彰子を支える。


彰子の周りは、まるで文化の華が咲き誇る庭園のようになったのでおじゃる。


麻呂は、自分の娘ながら、彰子の成長を誇らしく思っておる。


(彰子は、まことに素晴らしい娘に育った)


麻呂は、内心でそう呟いた。


(慎み深く、教養があり、そして何より、心が美しい)


麻呂は、親馬鹿と言われようとも、彰子を誇りに思っておる。


彰子が帝の妃となることで、藤原北家の地位は、さらに盤石なものとなるでおじゃろう。

そして、帝と彰子の間に皇子が生まれれば、その皇子が次の帝となる。

その時、麻呂は、外祖父として、さらなる権力を手にすることができるのでおじゃる。


だが、麻呂の目的は、ただ権力を握ることだけではない。


平安の都は、怪異や魔人が溢れておる。

鬼が現れ、人を襲う。

怪異が宮中に忍び込み、貴族を惑わす。

魔人が策を巡らせ、朝廷を揺るがそうとする。


このような世の中では、強固な政治基盤こそが、人々を守る盾となるのでおじゃる。


麻呂は、源氏を始めとする武家と協力し、怪異や魔人に対抗してきた。

源頼光や、その配下の四天王たちは、まるで朝廷の刃のように、怪異を討ち払ってくれた。


酒呑童子一党を帰順させ、大江山の脅威を取り除いた。

土蜘蛛を討ち、蓮台野の安全を確保した。


このような実績は、全て、麻呂の政治的手腕と、武家との協力関係があってこそでおじゃる。


麻呂自身も、武芸に秀でておる。

特に、弓の腕前には自信があるのでおじゃる。


麻呂が矢を放つ時、『この矢当たれ』と念じる。

すると、その矢は、まるで導かれるかのように、必ず的に当たるのでおじゃる。


これは、麻呂が密かに修練してきた技でおじゃる。

政治家として表に立つ一方で、麻呂は武人としての力も磨いてきたのでおじゃる。


何故なら、この平安の世では、政治力だけでは生き残れぬからでおじゃる。

時には、自ら剣を取り、弓を引かねばならぬこともある。


麻呂は、そのことを、兄たちの死を通して学んだのでおじゃる。


回想から現実に戻る。


麻呂は、彰子が帝の御所に入っていく姿を、最後まで見送った。


「彰子よ、幸せになるのでおじゃるぞ」


麻呂は、心の中でそう呟いた。


「そして、帝を支え、この平安の都を守ってほしいのでおじゃる」


彰子の姿が、御所の奥へと消えていった。


麻呂は、深く息を吐いた。


(これで、藤原北家の地位は、さらに盤石となった)


麻呂は、内心で満足した。


(だが、これで終わりではない)


麻呂は、決意を新たにした。


(平安の都には、まだ多くの怪異が潜んでおる)


麻呂は、宮中を見渡した。

この華やかな宮殿の裏には、まるで闇夜に潜む獣のように、常に危険が存在しておる。


(麻呂は、この都の安定を守らねばならぬ)


麻呂は、拳を握りしめた。


(源氏を駆使し、怪異を討ち払う。武家と協力し、魔人の策を打ち砕く)


麻呂の目には、まるで炎のような決意が燃えておった。


(そして、人々が安心して暮らせる世を作る)


麻呂は、空を見上げた。

空には、まるで未来を祝福するかのように、美しい青空が広がっておった。


(これが、麻呂の使命でおじゃる)


麻呂は、そう心に誓った。


怪異溢れる平安の世。

その中で、人々の安全と幸せを守ること。

それこそが、藤原道長の、真の目的でおじゃった。


麻呂は、御所を後にした。

その足取りは、まるで未来へと進む船のように、力強く確かなものでおじゃった。


平安の都は、今日も、まるで生き物のように息づいておる。

その都を守るために、麻呂は今日も、政治の舞台に立ち続けるのでおじゃる。


彰子の幸せを祈りながら、そして、平安の世の安定を守るために。

麻呂の戦いは、これからも続くのでおじゃった。

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