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よくわかる日本の歴史 ~ただし、原始時代から日本にのみダンジョンがあったものとする~【第三部完】  作者: Mr.ティン
間章5 ~大平安魔人伝~

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とある学校の体育授業風景 その2

GW休みボケで正午更新が崩れています……土日には何とか戻さないと。

体育館には、バスケットボールが床を叩く音と、バレーボールのアタックが決まる音が、まるで太鼓のリズムのように響いていた。

体育担当の佐々木先生が、派手なジャージ姿で、まるで音楽のリズムに乗るように軽やかに体育館を見回っている。


「はーい、次のチーム準備ー! 待ってる人は、ちゃんとストレッチしといてねー」


佐々木先生の声が、体育館に響いた。


試合の待ち時間。

コートの脇に座る生徒たちは、それぞれに私語を始めていた。


女子のベンチでは、芦原木乃実と稲沢が、まるで秘密の話でもするかのように顔を寄せ合っていた。

稲沢が、ロップイヤーの兎耳をぴょこぴょこ動かしながら尋ねる。


「ねえねえ、このみん。昨日のイベント、クリアした?」

「うん、クリアしたよ。道満様のエピソード、めっちゃ良かった」


芦原が、まるで宝物を語るかのように目を輝かせた。


「あのイケオジ道満様、ほんとカッコいいよね。あの飄々とした感じがたまらない」

「えー、でも私は晴明様派だなー。あの美少年、可愛すぎない?」


稲沢が、まるで夢見る乙女のように頬を染めた。


「分かるけど、でもやっぱり道満様よ。あの大人の余裕がいいのよ」


芦原が、力説する。


「実は、うちの実家、芦屋なんだよね。だから、道満法師とは僅かだけど血が繋がってるかも」

「えー! マジで!? それってすごくない!?」


稲沢が、まるで芸能人を見るかのような目で芦原を見た。


「まあ、僅かだけどね。でも、うちの陰陽術のルーツは、道満法師から来てるらしいの」

「いいなー。私なんて、先祖が呪殺系って言われても、全然嬉しくないのに」


稲沢が、少し落ち込んだように呟く。


「でも、稲ちゃんの足の速さは、兎種の混人ならではだよ。それって、すごい武器だと思う」

「ありがと、このみん。でも、やっぱり晴明様みたいな華麗な術を使ってみたいなー」


芦原が励ますように言うと、稲沢が夢見るように呟いた。


一方、男子のベンチでは、また別の会話が繰り広げられていた。

坂上が、軽い調子で定原に尋ねる。


「なあ、定ちー。お前、槍使いだけど、剣術にも興味あるっすか?」

「ああ、まあな。槍は堅実で好きだが、剣術の華麗さにも憧れる」


定原が、真面目な顔で答えた。


「ですよねー。俺も短刀使いっすけど、やっぱり剣術の達人には憧れるっす」


坂上が、まるで熱く語るように続ける。


「特に、平安時代の渡辺綱とか、めっちゃカッコいいっすよね。あの抜刀術、一度でいいから見てみたいっす」

「渡辺綱か。確かに、剣の達人として名高いな。俺も憧れる」


定原が、まるで遠い時代の英雄を思い浮かべるように呟いた。


「定ちーの推しは、やっぱり渡辺綱っすか?」

「ああ。槍使いだが、やはり剣術には興味がある。渡辺綱の技を学べたらと思うな」


坂上が興味深そうに尋ねると、定原が頷いた。


「俺の推しは、藤原秀郷っすね」

「藤原秀郷? ああ、俵藤太の」

「そうっす! 龍神から宝をもらったって話、めっちゃロマンあるっすよね」


坂上が、まるで宝物を語るかのように目を輝かせる。


「確かに、龍神との交流は興味深いな」


定原が、相槌を打った。


その会話に、久留間が加わった。

寡黙ながらも力強く言う。


「俺は、熊童子だな」

「熊童子っすか? あの酒呑童子の配下の」

「ああ。実は、俺の先祖だ」


坂上が驚いたように尋ねると、久留間がまるで秘密を明かすように静かに言った。


「マジっすか!? それってすごくないっすか!?」

「熊童子の直系なのか?」


坂上が目を丸くし、定原も驚きを隠せない様子だった。


「ああ。だから、俺は熊種の混人なんだ」


久留間が、自分の熊の耳を軽く触った。


「熊童子は、後に源頼光に帰順して、源氏に仕えたと聞いている。俺の先祖は、その時から源氏に仕え続けてきたらしい」

「それって、めっちゃ由緒正しいじゃないっすか」


久留間の言葉に、坂上がまるで尊敬の眼差しで久留間を見る。


「そういえば、坂上。お前も、坂上田村麻呂の子孫じゃないのか?」

「あー、まあ、分家筋っすけどね。そこまで誇れるもんでもないっす」


定原がふと思い出したように尋ねると、坂上が照れくさそうに頭を掻いた。


「でも、田村麻呂も名将だろう。十分誇れると思うが」

「定ちー、マジメっすねー」


定原が真面目な顔で言うと、坂上が笑いながら答えた。


そんな男子たちの会話を、ベンチの端で聞いていた女子たちも、次第に盛り上がっていった。

稲沢が、芦原に耳打ちする。


「ねえねえ、聞いた? 久留間くん、熊童子の子孫なんだって」

「え、マジで? それって、すごくない?」

「でしょ? やっぱり、平安時代の人って、今でも子孫が残ってるんだね」


芦原が驚いた顔をすると、稲沢が感心したように言った。


「そういえば、稲ちゃんは平安時代で推しとかいる?」

「私は、やっぱり晴明様かな。あの乙女ゲーの晴明様、めっちゃ可愛いし」


芦原が尋ねると、稲沢がまるで恋する乙女のように頬を染めた。


「分かる分かる。でも、やっぱり道満様よ」

「このみん、道満様推しすぎ」


芦原が負けじと言うと、稲沢が笑いながら言った。

二人の会話は、次第に熱を帯びていった。


一方、男子たちも、平安時代の話で盛り上がり続けていた。

坂上が、ふと思い出したように言う。


「でもさ、渡辺綱って、茨木童子と因縁あったっすよね」

「ああ。茨木童子の腕を切り落とした話は有名だな」

「その後、茨木童子は腕を取り戻しに来たらしいっすけど、結局また逃げられたとか」


定原が頷くと、坂上がまるで物語を語るように続けた。


「茨木童子も、後に源頼光に帰順したと聞いているが」

「そうなんっすか? じゃあ、酒呑童子一党、まるごと源氏に帰順したんっすね」

「ああ。源頼光は、ただ討伐するだけでなく、帰順させることで、大きな力を得たんだ」


久留間が静かに言うと、坂上が感心したように答え、定原がまるで歴史を語るように言った。


「それって、めっちゃカッコいいっすね。俺も、そういう器の大きい人間になりたいっす」


坂上が、目を輝かせた。


そんな盛り上がりを見ていた佐々木先生が、まるで嵐を鎮めるかのように笛を吹いた。


「ピピーッ! はいはい、そこの皆さーん。授業中ですよー」


佐々木先生の声が、体育館に響く。


「盛り上がるのはいいけど、ちゃんと試合も見ててねー」

「すみません、先生」


佐々木先生が、まるで子供を諭すような優しい口調で言うと、定原が真面目に頭を下げた。


「いやいや、平安時代の話で盛り上がるのは、歴史好きとしては嬉しいけどねー」


佐々木先生が、笑いながら言う。


「でも、授業中は授業に集中してね」

「ところで、先生も平安時代で推しとかいるんっすか?」


佐々木先生の言葉に生徒たちが頷くと、坂上がふと思い立ったように尋ねた。


「え? 先生の推し?」

「そうっす。先生も歴史好きって言ってたし、誰か推しとかいるんじゃないかと思って」


佐々木先生が少し驚いた顔をすると、坂上が続ける。

佐々木先生は少し考えてから答えた。


「そうだねー。先生の推しは、葛葉かな」

「葛葉? あの、安倍晴明のお母さんの?」


佐々木先生が、まるで宝物を語るかのように優しい声で言うと、稲沢が興味深そうに尋ねた。


「そうそう。葛葉は、白狐の化身で、保名と結ばれて晴明を産んだんだよね」


佐々木先生が、まるで物語を語るように続ける。


「でも、正体がバレて、晴明を残して去らなきゃいけなかった。その時の別れの歌が、めっちゃ切ないの」


佐々木先生の声には、どこか感慨深いものがあった。


「『恋しくば尋ね来て見よ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉』って歌、知ってる?」

「聞いたことあるっす」


佐々木先生が生徒たちに尋ねると、坂上が答えた。


「あれ、母親として子供を残して去らなきゃいけない切なさが、すごく伝わってくるんだよね」


佐々木先生が、まるで自分のことのように語る。


「先生も、子供いるから、その気持ち分かるの」

「葛葉は、晴明のために、ずっと影から見守ってたって話もあるし。母親の愛って、すごいなって思うんだよね」


佐々木先生の言葉に、生徒たちは静かに頷いた。

佐々木先生が、スマホの待ち受けに設定された家族写真を、まるで宝物を見るように眺める。


「先生、それって深いっすね」

「でしょ? だから、先生は葛葉推しなの」


坂上が感心したように言うと、佐々木先生が満足そうに笑った。


「分かる気がします」


芦原が、真剣な顔で言う。


「母親の愛って、どんな状況でも変わらないんですね」

「そうだね。葛葉も、狐の姿に戻っても、母親であることは変わらなかった。それが、すごく素敵だなって思うの」


芦原の言葉に、佐々木先生は優しく微笑んだ。

生徒たちは深く頷く。


「はい、じゃあ、そろそろ次の試合始めるよー。準備してー」


佐々木先生が、再び教師の顔に戻って、生徒たちに指示を出した。


生徒たちは、それぞれに立ち上がり、試合の準備を始めた。

だが、その心には、平安時代の英雄たちへの憧れと、それぞれの推しへの思いが、まるで灯火のように温かく灯っていた。


体育館には、再びバスケットボールとバレーボールの音が響き始めた。

だが、その音の合間に、生徒たちの笑い声と、平安時代への憧れを語る声が、まるで風のように優しく混ざり合っていた。


そんな生徒たちを見守る佐々木先生の顔には、まるで自分の子供を見守る母親のような、優しい笑みが浮かんでいた。

佐々木先生は、ふと、葛葉の別れの歌を思い出す。


(葛葉も、こんな風に晴明を見守っていたのかな)


佐々木先生は、そんなことを考えながら、生徒たちの試合を見守り続けた。


授業は、まだ続く。

だが、この短い休憩時間の会話が、生徒たちの心に、平安時代への興味と、それぞれの推しへの愛を、さらに深く刻み込んだのだった。

次話より、平安時代後期編……源平合戦に至る道へ


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待望の源平合戦! やっぱりここが1番歴史で面白い部分と思ってる
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