初めてのお出かけ
「エリーゼ、準備はできたかしら?」
「はい、お姉様。お待たせしました。」
今日はエリーゼ、ハルト、マリア、サイクスの四人で王都で最近人気のあるカフェでアフタヌーンティをする。
前日までエリーゼもハルトも緊張していたのは他の二人には秘密である。
「指示した場所までお願い。」
「承知いたしました。」
御者が馬を走らせる。
「お姉様、私の装いは変じゃありませんか?」
「とても素敵よ。」
「そ、そうでしょうか?」
「ふふ。お母様も仰っていたじゃない。大丈夫よ。あなたは私の妹。胸を張りなさい?」
「はい、お姉様。」
(緊張するけど、早くハルト様にお会いしたいのも事実なのよね…)
車内でアワアワしながら目的地に到着した。
「エリーゼ嬢、こんにちは。マリア嬢も。」
「やあ、マリアもエリーゼもこんにちは。」
「ハルト様、サイクス様、ご機嫌よう。」
「ご、ご機嫌よう。」
(私なんかがこの三人に囲まれるって場違いじゃないかしら!?)
「エリーゼ嬢、緊張しなくても大丈夫だよ?」
「…えっ!?」
彼女の緊張を察してハルトが声をかけた。
「きっと今私なんかがって思っているだろうけど、そもそも君は貴族令嬢なんだから大丈夫。この国の貴族でシールズ公爵家とウォルト侯爵家よりも上はいないのだから。」
(それは余計に緊張します…)
先日の茶会で侯爵令嬢としての自覚を持ったと思いきや、彼女は臆病なままだった。
「では、マリア。」
「はい、サイクス様。」
マリアはサイクスの手を取り店内へ。
「エリーゼ嬢、お手を。」
「よろしくお願いいたします、ハルト様。」
彼女は彼の手を取り歩み始めた。
「ここはワッフルが美味しくて有名なのよ。」
「ワッフルは大好きです。」
「エリーゼに喜んでもらえて、この店を選んでよかったと思うよ。」
個室に案内されたエリーゼたちはメニューを見ながら何を注文するのか決めていた。
このカフェを選んだのはハルトだ。
「ハルト様は来られたことがあるのですか?」
「いいや。ここはフェリク…サイクスの兄からお勧めされたうちの一つなんだ。」
「フェリク様のお勧めですか?」
エリーゼはサイクスを見る。
「義姉がね、情報通なんだよ。」
「そうだったのですね。」
「今度ちゃんと紹介するよ。さあ、注文しようか?」
エリーゼとマリアはフルーツがたっぷり乗ったワッフルと紅茶のセットを、ハルトとサイクスはシンプルなワッフルとコーヒーのセットを注文し、舌鼓を打つ。
「とても美味しいです!ふわふわで、クリームも甘すぎなくて。」
「本当ね。」
エリーゼは美味しそうに頬張る。
そんな表情をハルトは見つめている。
(ああ、可愛いな…)
ハルト、見すぎだ。とサイクスがこっそり伝える。
「はは。どうやら俺はエリーゼのことになると駄目らしい。」
「まあ、ここには俺とマリアしかいないからいいだろう。どうせエリーゼ本人は気がついていないしな。」
「気を引き締めるよ。」
その後もハルトはエリーゼの顔ばかり見ていたのだった。
そして、エリーゼはそんな彼の行動に全く気が付かずお出かけを堪能したのだった。




