晩餐会
タイトルはあんまり関係ありません。
シールズ公爵とハルトはウォルト家を訪れていた。婚約の書類を記入するためだ。
応接間には侯爵夫妻とエリーゼ、そして公爵とハルト、王宮の文官が立会人とし揃った。
「ここに、ハルト=シールズ様とエリーゼ=ウォルト様の婚約が成立いたしました。おめでとうございます。」
文官は書類を持ち、礼をして帰っていった。
「エリーゼ、晩餐の準備が整うまで、ハルト君に庭を案内しておいで。」
侯爵がエリーゼに言う。
「はい、お父様。ハルト様、参りましょう。」
「そうだね、リゼ。父上、侯爵、侯爵夫人失礼します。」
ふたりは応接間を出た。
「ウォルト殿、息子がすまない。エリーゼ嬢のことで息子がいろいろと無茶を言ったのではないか?」
「いえいえ。そんなことはないですよ。エリーゼの本当の両親は妻の遠縁でしたし、子爵の人柄には元々好感を持っておりましたから、彼の考え通りに事が進んだだけですよ。」
「そうか。なら、よかったよ。」
エリーゼとハルトは庭を散策した後に四阿で休憩することにした。お茶もお菓子も出さないで
ふたりきりにしてもらった。
「やっと婚約者になれたから、公の場でもリゼって呼べるよ。」
「ふふ。ハルト様に公の場でもリゼって呼んでもらえて
嬉しいです。」
「リゼ、敬語に戻ってるよ?応接間では父上たちがいたから仕方ないけど、ふたりきりのときは
敬語禁止だ。あと、様も禁止。いいね?」
「うう…わかったわ。ハル。」
「それでよし。今日はこの後にサイクスも来るんだよね?」
「ええ。サイクスお義兄様はお姉様とご用事があるので。ですが、予定通りならば…」
「リゼ、ただいま。」
「エリーゼ、こんにちは。」
タイミングよく、マリアとサイクスが四阿にやってきた。
「お姉様、お帰りなさいませ。サイクスお義兄様、ご機嫌よう。」
「リゼ、さっそくだけど行きましょうか?」
「サイクスもマリア嬢も俺は無視かい?」
「ハルト、いたのか?」
「あら?ハルト様、ご機嫌よう。早速ですが、妹は返してもらいますわ!」
マリアはエリーゼを引っ張るとサイクスの後ろに隠れる。
「サイクス、君の婚約者は少々強引じゃないか?俺の可愛い婚約者が奪われて…」
「ハルト、俺の可愛い義妹は
晩餐の準備があるんだ。マリアに返してもらうよ?」
「俺の味方いない…?」
「あ、あのハル。私ね、晩餐用の衣装に着替えてくるから、お姉様と行くわ。」
「えっ、もう…?」
必殺ハルトのお願い攻撃がエリーゼの行く手を阻む。が…
「ハルト様、女の子は準備に時間がかかるのですわ。失礼します。リゼ、行きましょう。
サイクス、後は頼みますね。ハルト様の足止めを。」
エリーゼは姉に手を引かれて屋敷内へ戻っていった。
「そういうことで、ハルト。 サロンにチェスを用意してもらったから、久しぶりに勝負しよう。」
サイクスとハルトは時間を潰すことにした。
晩餐時に綺麗に着飾ったエリーゼを見てハルトは人前では珍しく頬を染めるのだった。




