女子会、男子会
ハルトとウォルト侯爵夫妻で何日か案を立ててから公爵の都合を確認することになった。
「では。これで失礼します。」
「お返事、お待ちしております。」
「リゼちゃんに小公爵様がお帰りになると伝えてくれる?」
夫人は使用人に指示を出そうとすると
「あの、旦那様、奥様…」
エリーゼ付のメイドのカレンが現れた。
「そうか。まあ、仕方あるまい。」
「ふふ。リゼちゃん、疲れていたのね。」
「何かありましたか?」
ハルトは侯爵夫妻に訊く。
「小公爵、申し訳ないが、娘は待っている間に寝てしまったようで。」
「久しぶり、こんなに長く出掛けていたから疲れてしまったのかもしれませんわ。」
「そうでしたか。では、私はこれで失礼します。」
ハルトが帰ってしまったことをエリーゼが知ったのは翌日のカレンが起こしに来てからだった。
朝食の後にサロンで夫人とマリアとお茶をしながら、ハルトに返事をした経緯を話すことになったエリーゼ。
「それで、私はハルとお呼びすることに…。」
「ふふ。リゼちゃん良かったわね。」
「リゼ、おめでとう。」
「ありがとうございます。」
「サイクス様にお報せしなくてわ。」
「そうね。晩餐会にはサイクス殿にも参加してもらえばいいわ。」
「そうですね。お母様、リゼたちの婚約パーティーは私たちの挙式の後がいいでしょうか?」
「そうね…」
「お姉様たちの挙式は半年を切っています。
私とハルト様のパーティーは一年後でどうでしょうか?」
「リゼちゃんの意見を採用しましょう。といっても、公爵様との話し合いもまだだから、決められないけれど。」
「そうですね。」
エリーゼが夫人と姉と話し合いをしている同時刻、コリンズ侯爵邸ではサイクスとフェリクがハルトから昨日の報告を聞いていた。
「やっとか…。おめでとう。」
「ハルト、おめでとう。良かったな。」
サイクスとフェリクは祝福する。
「ありがとう。ただ…」
「どうしたんだよ?」
「彼女が可愛すぎるんだ…」
「「…」」
「おい、サイクス。ハルトってこんなだったか?」
「兄上、ハルトはエリーゼのことに関してはポンコツだ。俺とマリアが認めるね。」
サイクスは呆れている。
「ハルト、その顔は他では絶対に見せるなよ?
他の令嬢たちが発狂するレベルの顔面だからな。」
フェリクが苦言を呈する。
「こんなのでもシールズ小公爵だから、大丈夫だろ?」
「お前たちか彼女の前でしかしない。見せられる訳がないだろう。」
「で、婚約パーティーはいつにするんだ?」
フェリクが聞いてくる。
「おい、まだ父上と侯爵の話しがついていないんだ。」
「そうだけど、お前とエリーゼ嬢が婚姻するのは決定事項だろ?」
「パーティーをするにしてもサイクスとマリアの挙式まで半年だぞ?一年後位だろ?」
「その位だと思うけど。」
「楽しみだな?今まで浮いた噂一つなかった貴公子が婚約したんだぞ?そして相手は養子とはいえ筆頭侯爵家のウォルト家の令嬢。当面は話題でもちきりだろうな。」
サイクスはニヤニヤする。
「彼女が元子爵令嬢だから…と言う輩も出てくるだろうな…」
ボソッとフェリクが呟く。
「そんなのいたら、家ごと潰すけどな。」
悪い顔のハルトがそこにいた。