賽は投げられた
あれから楼流タンとひとしきり戯れた後、いつもの担任による朝のHRルームが始まった。ちなみに僕のクラスの担任の世渡邦彦先生は来年で定年退職されるそうだ。因みにあだ名は親しみを込めて『よっぴー』と呼ばれている。親しみというよりも僕には悪意が込められているとしか思えない。
「おいっ!!!藤本直人!!!」
突然、怒号が教室に響いた。その声の主は僕の机の前で仁王立ちしていた……
「……?なんだい大きな声で……おや……?君は確か………五十嵐…幸太郎君だったね?僕に何の用だい?もしかしてラブレター……かい?すまない……僕には既に楼流タンという愛人がいるんだ……君の期待には添えられそうにも無い……ごめんね?」
ヒソヒソ
「(やだぁ〜〜〜ひとりの男を巡って争奪戦?三角関係?キモーーーイ!)」(女子A)
ヒソヒソ
「(俺達は今、愛に飢えた醜い漢共の修羅場を目の当たりにしている……)」(男子A)
「ちっ、違うわっ!?(汗)今日こそこの僕、五十嵐幸太郎が貴様に引導を渡してやる!!!」
「済まない………君の陰毛を渡されてもこの僕の心の奥に潜んだこのピュアな気持ちは覆らない………」
ヒソヒソ
「(お、男が男に陰毛を渡すって……何?コイツラ一体どういう関係なの!?ど、どこまでイッタのかしら………?)」(女子B)
ヒソヒソ
「(俺達は今、生々しい漢同士のカップリングを目の当たりにしている……)」(男子A)
「い、引導だ!!!引導!!!(汗)誰が陰毛なんぞ渡すか!?」
「?じゃあ、僕に何の用だい?幸太郎君?」
「気安く僕の名前を呼ぶなっ!!!用件はただ1つ!!!僕の恋人(自称)、七瀬美菜と今すぐ別れろっ!」
……ピクッ
その時、僕の中で何かが切れた………
「な………に?それは聞き捨てならないな………美菜は僕の恋人。悪いけれど君に渡すわけにはいかないな………幸太郎君」
「ほぉ………この僕の言う事が聞けないと?いいだろう………では、七瀬美菜を賭けて今から勝負といこうではないか………藤本直人ぉ!!!」
「あの………わしのHR………」
『七瀬美菜争奪戦!!!愛の奴隷、藤本直人VS水の滴るいいOTOKO、五十嵐幸太郎!!!』
(美菜視点)
ざわざわ……ざわざわ……
「ちょっと……何よ、コレ………(汗)」
そして舞台はここ、家庭科室に移り、美菜が気付いたときには面白がって群がる野次馬、さらに審査員らしき人物、そしてクラスの顔見知りの男2人が何やら向かい合って対峙していた。
『さぁさぁさぁ!!!!!いよいよ始まろうとしています!!!!!『七瀬美菜争奪戦!!!愛の奴隷、藤本直人VS水の滴るいいOTOKO、五十嵐幸太郎!!!』第1回戦は………『料理対決』ですっ!!!男というものこれからの時代女に食わせてあげないといけない………そこで!まず、どちらが七瀬美菜に食わせてあげるだけの料理の技術があるのかっ………!?それを競い合いますっ!!!……あ、ちなみに私、本日司会・進行を勤めさせていただく町田風菜でございますっ!!!そして審査員には………ご本人、七瀬美菜はじめ、魔法少女ルルー!藤本まちる!美村友恵!日向水鳥!藤崎茜!の計6名に審査して頂きます!!!……ちなみに本日審査員として出席予定だった堂島楼流さんは『直ちゃん!こんなのひっどぉ〜〜〜い!浮気者〜!』と謎のメッセージを残したまま行方不明になりました。あしからず』
「って!?あんたら何してんのよ!?」
「あはは………それが私にも何がなんだがさっぱりでして……(汗)いつの間にかこんなところにいたんですよ………ね、ねぇ?まちるちゃん?(汗)」
「………うん」
水鳥ちゃんはどこかよそよそしくしていた。まちるは相変わらずね………周りの野次馬の熱気にビビッて居るのだろうか?
「だってだってだって〜〜〜直人さんのお家にいてもすごくすっごく暇なんですよぉ〜〜〜こんな面白そうなイベント逃すわけには行かないじゃないですか!!!」
「ルルー……あんたさっき司会が魔法少女って言ってたけど………モロバレじゃない」
「?別にいいですよ〜〜〜♪別に私が魔法少女ってばれた所でどうにもなりませんから♪」
周りにはコスプレだと思われていると思うけどね………ていうか、普通にいきなり馴染み過ぎ(汗)
「うふふ、こんな面白いところ見逃せるわけ無いわ……ウフ、ウフフフフフ………」
友恵さんは怪しい笑みを浮かべて笑っていた。不気味だ(汗)
「あれ?嘘………茜さんまで………(汗)」
「や、美菜さん、こんにちわ。偶々、家庭科室の前を通った時、面白そうな知り合いを見つけてね。寄ってみたら………こうなってしまったというわけだ」
………とりあえず。
「あの2人は死刑ね」
そして、今、戦いの火蓋は切って落とされようとしていたっ………!(つづく)




