ラブ・ハンターズ(仮)
『さぁ!始まりました!!!一回戦は『料理対決』!!!お題は『漢の料理』!!!さぁさぁさぁさぁ!!!!!ちゃっちゃと煮るなり焼くなり舐めるなりしちゃって下さい!!!私、町田風菜は腹ペコで死にそうです!!!』
お題を聞くなり、手際よく料理を始める直人と五十嵐君。……なんか手際が良すぎてあらゆる動作が機械的になっていて不気味だ………
「わ、わぁ〜〜〜せ、先輩方すごいですぅ〜〜〜」
「………兄、すごい」
私の右隣に座っているまちると水鳥ちゃんは目を輝かせながら感心して見物している………
「まぁ……直人は昔から料理だけは得意だったからね……料理『だけ』は」
他はダメダメだけど。
「ふふっ、まぁ美菜さんそう言ってやるな。ああ見えてもあの子は普段何事に対しても本気になってるんだよ。ただ、その本気になっている方向性に問題があるだけであの子自身の根っこの部分はとても純粋なんだ」
私の左隣に座っている茜さんは少し微笑みながら私に言う。いや…茜さん、それは褒めているようで微妙に貶している気が……この人の考えは読めないなぁ………色々と謎のお人だ。
「直人く〜ん♪料理クソまずかったら、ち●ぽ削ぎ落としますよ〜〜〜♪」
笑顔でこの人(友恵さん)はとんでもない事を言うな……(汗)
「はぁ〜〜〜い♪」
いや、あんたも笑顔で返してんじゃないわよ。
そして2人の料理は無事(?)完成し、試食タイム。まずは直人からだ。直人が作った漢の料理とは……
「………………」
「?おや?どうしたんだい?美菜?食べないのかい?………はっ!そうか!僕を食べたいんだ…ぐべっ!」
……オムライスだった。しかも……ケチャップで大きく『愛』という文字が描かれていた……
「この料理のコンセプトは『愛』です………情熱の赤をモチーフとした中の『チキンライス』は『男』を意味し、そしてその『男』を柔らかく優しく包み込む『ふっくらとした卵』は『女』を意味し、後で考えるとそれはまるで男と女が行為に及んでいるようで僕、少し興奮しました、ウフッ(///)」
「いや、解説いらないし」
グリグリ
「残念………って、あぁ!!!僕の『愛』っ!!!(泣)」
そして何か目の前で嘆いている直人をスルーし、オムライスを口に運んだ……
「「「お、おいしいですっ!!!」」」
ルルー、まちる、水鳥ちゃんは感激していた。茜さんはうんうんと頷いており、友恵さんは『あらあら…残念』とか言いながらおいしそうに口に運んでいた。何が残念なんだろう………(汗)
次は五十嵐君の作った漢の料理は……
「……何コレ?他人丼?」
「あぁ!そうさ!!!僕の美菜!!!」
「……何故?」
「ふふふ……それはね、僕の美菜!親子丼は親の鶏肉と子の卵をかけて……」
「あー、何となくオチ見えたから少し黙ってて」
「ショッキングッ!!!」
何か目の前で『うぐぉぁぁぁ……』とか言いながらブリッジし始めた五十嵐君をとりあえずスルーして他人丼を口に運んだ………
「「「………………」」」
……微妙だった。卵はパサパサ、牛肉は少し生っぽい、ご飯はしんが残っている。不味いとまでは言わないが何か色んなものが足りない。人間的にも。
「うぁぁぁぁーーーーー!!!!!何か言ってくれぇえええええーーーーー!!!!!もっと!もっと!もっとぉおおおおおーーーーー!!!!!オラにパワーをぉおおおおおーーーーー!!!!!」
「うるさい黙れ」
「と、いうわけで直人の勝利ね」
「ふふ……当然だね、僕がどこぞの馬の骨に負けるわけが無い。特に……美菜、君の為なら、ね……?ウフフ………(///)」
「く、くそぉぉぉ………」
直人と熱血君の反応は対照的だった。ていうか、あの直人の幸せそうなツラ何かムカつくわね……
『さぁ!次は2回戦を始めますっ!!!2回戦は『エロくない決め台詞しりとり』!!!甘い台詞で女の子達をメロメロにしちゃって下さい!!!』
2回戦の舞台は舞台は家庭科室から教室に移り、教室の中心で直人と五十嵐君は互いに睨み合っていた。
「な、なんだと……え、エロくない決め台詞だとっ………!なんと難解な……!」
「へへ………いきなり厄介なヤマがきやがったぜ………瀬戸際がポイントだなっ!!!」
直人は頭を抱えうずくまっており、五十嵐君はなぜか活き活きとした様子で興奮していた。コイツラの脳は腐ってるわね。ていうか、何?このイベント?
『では、藤本君から始めちゃってくださいー』
「ぬぅ………では、『ぼ、僕と一緒にスルメを食べないかい………?(///)』」
『アウトー!』
「な、なんだと!?」
『なんか『スルメ』が身体のある特定の部分を喩えているようで何か卑猥と感じたのでアウトです♪』
「ふ、深読みし過ぎじゃないかね!?それは!?そんな捉え方をする君の脳内がピンク色だよ!?」
珍しく直人がツッコミ役に回っている。なんか直人がまともに見えて気持ち悪い………(汗)ていうか、何?コレ?司会・進行の人が審査するの?私らいらないじゃない。
『では次は五十嵐君!藤本君がミスったので次は『く』から始めちゃってください〜♪』
「脈絡も無しにいきなりウェイト高くなった!?く…く…!『くちゅくちゅにしてやんよ!!!』」
『アウトー!ていうか存在がアウトー』
「ば、馬鹿なっ!?」
『じゃあ、次は藤本君始めちゃってくださーい。次は『よ』からでーす』
「ふっ……『夜……君、寂しいんだね?』」
『アウトー!ていうか完全にセクハラー』
「な、なに!?」
「………」
……こうして。
いつまでも終わる気配の無いセクハラしりとりを続ける馬鹿二人をそのまま放置して私達は帰宅した。
次の日
朝学校に登校し、自分の席に着くと机の上にスルメで『アナタノコトガスキダカラ』という怪文を発見した。
さて、棺桶2つ用意しておくか。