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第9話 逃亡と発見


 「例のガキを捕えました 」


 その報告がなされたのはシュミットの街にある商会の一つ、フェーネン商会であった。

 報告を受けたのは二人。 子爵家嫡男チラムとフェーネン商会会頭のダルンダである。

 

 「なに!? 速いではないか。 安くても仕事はするものだな 」


 手に持っていたグラスの中身を飲み干し、チラムは満足げに首を何度も上下させた。 今回の拉致に関してチラムは殆ど金をかけてはいなかった。 良いものは欲しいがそれに対して金はかけたくない。 それがチラムという男である。


 「で、ガキはどうしている? 」


 「それが問題なのですが、自分から我々に捕まりに来まして。 一応檻には入れてありますが、どうしたものかと」


 「なに? 自分から捕まりに来たというのか? 」


 「はい。 なんでも一緒にいたエルフの女に、日ごろ嫌がらせを受けているらしく、それの仕返しをしたいからついていく等と申しておりまして 」


 雇い入れた傭兵の説明にチラムは大いに笑った。

 欲しいものが自分から来た上に、あのクソ生意気なエルフ女に仕返しがしたいというのだ。 自分にとってあまりにも都合の良すぎる話ではあるが、チラムは一切の疑問を抱かずそれを受け入れた。


 「金の卵が自らやってきたということですなチラム様。 その子供を売る際は是非とも我がフェーネン商会が協力させていただきますとも 」


 チラムと共にいたフェーネン商会の会頭も、既に頭の中は皮残余でいっぱいになっている。 考えれば上手くいきすぎているという事から、商人の勘で危険信号が出そうなものではあるが、そうい勘が出なく、既に利益を手に入れたと勘定してしまっているという事が、商人として手遅れだという事に気が付いていない。


 もっとも金の卵を手に入ったと喜んでいる二人だが、卵から生まれるのが常に非捕食者でないという事を失念している時点で彼らは未来がないのだ。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 黒幕二人が高笑いをしているその頃。 ジークは檻に入れられていた。


 とりあえず現状を確認。

 手かせ無し、足枷なし。 木製の檻があるだけ。


 周りを見ると小動物用かな?


 周囲を見渡すと幾つかの木製の檻があり、魔獣の子供だったりするのだろうか、そういった生物たちが檻に入れられている。 少し奥を見ると大き目な魔獣が鉄の檻に入れられているので、単純にサイズと戦闘能力を考えた上での選択なのだろうという事はわかった。


 窓もないし、ここに来るとき階段を何度か降りたから地下かな?

 さて、予定通り脱出の準備に入るか。


 そう。 ここまではジークとリゼッタの予定通りに事態が進行しているのだ。

 ことはジーク達が市場にいた頃にさかのぼる。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 「捕まるって正気? 」


 「はい、正気ですよ 」


 ジークから捕まった後の作戦を聞いたリゼッタは頭を抱えた。 正直こんな発想はなかったからだ。


 「先生ならあいつらに見つかることなく、僕を尾行する事できますよね? 」


 囮というわけか、とリゼッタは作戦自体の構想は納得した。 確かに証拠をみつける、奴らを捕える、という点ではそこそこ高い効果が見込めるはずである。 ただ問題としてはジークの存在がある。


 (まあ有効ではあるけど、これ私はどっちに転んでも確実にレギウスに怒られるパターンよね )


 リゼッタは考える。 ジークの思惑としては尾行した私が正面から仕掛け、捕まったジークは中から大暴れ、ついでに拉致された奴隷たちを助けて、証拠として突き付けた上で私に通報させるというものだった。


 (まったく。 穴だらけの作戦も良い所じゃない )


これで私がたまたま通りかかって通報しましたって事にすればレギウスにばれないって発想が既にダメだ。 ばれないわけがない。 それに捕まった後どうやって抜け出すかもまだ考えていないだろう……だが前者は兎も角として、後者は手がない事はない。 作戦自体は粗があるが、効果が期待できる発想ではある。


 (これは帰ったら魔法以外にも本格的に鍛えるといいかもしれないわ )


 考えをまとめたリゼッタは、幾つか捕まった後の状態を想定して、脱出作戦を組み上げた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 (さて、檻っていうのは当たっていたけど木製とはなぁ。 手枷も足枷もついていないし、これ先生が提案した事の半分以上が使えないぞ )


 内心ちょっとがっかりである。

 なにせ、まるで伝記物に出てくる脱出劇みたいな事をやる方法を教わっていたことから、本好きのジークとしては物語と同じことができると内心ワクワクしていたのだ。


 (まあいいか、とりあえず身体強化魔法を試そうっと )


 そして檻の格子に手を掛けたと同時に一気に外側に向けて力を入れた途端、檻は完全に崩壊した。


 ジークとしてはそこまでする気はなかったのだが、忘れてはいけない、ジークは元々身体能力が高い。 そんなジークが魔法で身体強化等をすれば、予想以上の力を生み出す事になる。


 (ええええ!? まずいやり過ぎた! )


 木製とはいえ檻が崩壊したのである。

 いくらなんでも大きな音がでる。

 音が出るという事は見張りが来る。


 「おい、これはどういうことだ!? 」


 やってきた見張りの一人がこの惨状と、ジークに気が付いた。


 「誰かきてくれえええ!!! 奴隷が逃げたぞおおおお!!! 」


 増援が呼ばれるのも当然のことだ。


 大人であっても負けるつもりはない。 武器を持った相手でもまだやれる。 ただし二つの条件プラス、多勢に無勢で戦うほどジークは馬鹿じゃない。 

 

 (こりゃ逃げるしかないよね )


 そう思ったジークは奥へと逃げる。

 もちろんただ逃げるなんてことはしない。 全速で逃げながら、強化魔法をかけた尻尾を左右にある木製の檻にぶつける。 檻を破壊されて自由になった魔獣たちは、丁度ジークを追ってきた傭兵たちの前に出る形で解放された。


 (足止めぐらいにはなるはず )


 魔獣が傭兵達を足止めしているのを振り返り確認しつつ、ジークは更に奥へとその足を薦める。


 そしてとうとうジークは見つけた。

 様々な種族が入り混じった大量の奴隷を。

 

 「そこの少年。 あの騒ぎを起こしているのはお主か? 」


 奴隷たちの前に現れたジークに対して、最も奥にある檻から声がかけられる。

 その言葉にジークは奥の檻を見つめる。

 檻に入っているのは、巨体で頭に角を生やし、燃えるような赤い瞳を持つオーガ族であった。

 

 

これから頑張って書いていきたいと思いますので


興味を持っていただけたり、面白いと思っていただければ幸いです




まだまだ至らない所もあると思いますが、楽しんで執筆していきたいと思います。


誤字脱字等ありましたら感想等で教えていただけると幸いです。

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