河童になった理由
昔、沙羅は子供の時に亡くなったひいばあちゃんから聞いた話を思い出していた。河童というものはカワウソが化けたという話だった。他から聞いたことは無い話なので信憑性がないとおもったけど、なんでもひいばあちゃんの話では、カワウソは人を騙すからということだった。
どうも、その話はカワウソを子供の時に見た際に誰かから聞いた話のようだったが、カワウソはもう絶滅しているので実際の所はどうかは知る良しも無かった。
カワウソは日本から絶滅しているけど、沙羅の目の前には想像上のもののはずの河童が目の前にいるのだ
! しかも「内臓」は高校の同級生の満枝なのだ!
「あんた、なんでえわたしの河童の身体のことを、知りたがるんよ! まさか、あんたもなりたいというわけなんかい?」
「いいや、その。満枝と旦那さんが河童に改造された場所って、東京ネヴァードリームランドと違う?」
「ええ、そうよ。でも何であんたそれを知っているんよ!」
「実は先週までそこで人形娘の内臓をしていたんよ、わたし!」
「へー、だからお盆に帰ってこんかったということなんか。たしかに人形じゃあ帰ってこれんわな。そんな事をしたら卒倒するわ。まあ玄関先で話をするんもあれじゃけえ、入りんさい。そうそう戸はたっといて(閉めといて)頂戴。蚊が入ってくるけえ」
河童になって蚊にさされるのかな? とおかしなことを思いつつ「河童の夫婦」の家に上がった。部屋の中はまあどこにでもありそうな若夫婦らしい部屋だった。そこには二人の結婚式やツーショットの写真に混じり赤ちゃんの写真もあった!
「満枝、あんた子供がいるんけえ? それに結婚した事知らんかったなあ」
「それは・・・わたし達って授かり婚だったから」
「授かり婚・・・出来ちゃったわ訳ね、赤ちゃんが。わたしも誰かとそんな関係になって永久就職したいもんだよ・・・って、赤ちゃんはいま何処にいるんけえ、あんた!」
「それが・・・うちらの息子はいまは松山の病院に入院しているんよ小児ガンで。まあ、手術も成功し術後も良好なので、もうじきうちに帰って来れそうだけど、治療が沢山かかったわ」
「まさか、治療費を稼ぐためにあんたら二人、河童になったわけなの?」
「そうよ。だってこんな田舎で暮らしていたら稼げんでしょ、そんな大金。たまたま河童になる被験者を募集していたんで、夫婦で応募したんよ。そしたら選ばれたわけなのよ。それで河童にしてもらったんよ。まあ三年間はこの姿で生活しなければいけないけど」
そういって満枝は沙羅にザラザラの手を見せた。指の間には水掻きもあるし鋭い鈎爪も生えていた。それに皮膚もくすんだ緑色をしていた。それにしても空想上の生き物なのにワニでも参考にしたと思えるような姿であった。
「満枝、それにしてもこれって着ぐるみじゃないよね。すると体表そのものが改造されているわけなの?」
「そうよ! なんでも生体着ぐるみというものとわたしの身体を融合したモノだってよ! だから自己再生もするので、垢も出るし栄養も必要なのよ。だから毎晩わたし達夫婦は互いの身体を手入れしているのよ。そうしなきゃ河童らしくなくなるから」
その時、沙羅は変な事を想像していた。満枝とその旦那は河童になった身体を二人で何かのクリームをつけるために、互いに全身を摩りあっている姿を!




