ブレイブパワー イン スパ
迎賓館の温泉については「湯気の向こう」で詳しく紹介しています。
かぽーん。
久々の迎賓館併設温泉。
基本的に24時間いつでも入浴が可能だ。
床や壁、浴槽など、浄化の魔導陣がほどこされ、一日に一度か二度、魔力さえ流せば掃除が不要という。
履きなれたバミューダを装着し、大浴場へと向かう。
がらがらがら。
ちょうどお掃除タイムが終了した直後らしく、浄化魔導士のみなさん数名が入浴中でした。
お掃除担当の特権として一番風呂の栄誉が与えられるそうです。
「「「勇者様!」」」
「お掃除ご苦労様です!」
まだ見習いらしく、姫様よりも少し年上の女の子達がもじもじとしている。水着は色気の無いセパレートだ。
もう少し後でもよかったのかな。
「エイト様、折角ですから彼女たちの苦労をねぎらって差し上げてはどうでしょう」
突如現れたソネッタさんがいつもの感じで言う。こちらは言うまでもなくビキニスタイル。
「勇者様!それではお願いします!」
年長らしい狐耳娘の手が挙がった。どうやら僕の背中流しスキルについてはいろいろと噂が広まっているらしい。
[風呂屋の三助]Lv.128を起動する。いつからレベル制になったのだ?
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「…………んん~………」ぺしゃっ!
狐耳娘はいきなりしっぽが飛び出し、僕の顔が泡だらけになるというハプニングもあったが、背中を流し始めて15分ほどで魂の抜け殻のようになった方々が出来上がった。
「エイト様、もう少し手加減をされませんと」
ソネッタさんがニコニコしながら抜け殻となった女の子達を手早く脱衣所へ送り届ける。
「もしかして力の加減が出来なくなってきている?」
じっと手を見ていると姫さまが現れた。そうか洗われたいのか!
「姫さま、お覚悟を!」
「勇者さま、もう少し強くお願いします!」
姫さまは精霊の加護のせいか、あるいは耐性がついているのか普通に洗えた。ちょっとつまらない。
つづいてもえを洗う。おこさまみじゅぎ姿で目を閉じてなすがままにされるもえ。ちょっとわき腹をつつくと身をよじって逃げようとする。
「あるじさ…ま…」
もえの抗議でわき腹つんつんは中止された。ぷーっとほっぺたをふくらませたもえもかわいい。最近、もえに感情の起伏が見えるようになった。
さて、双子を洗おうと思ったら目の前にふよふよと漂う物体が。薄いピンクの水着に身を包んだおさわがせ妖精だ。
「ソニア、そこに座って」
なにか楽しい遊びと勘違いしたのか、言われるままに座るソニア。
「羽は普通に洗ってもいいの?」
ソニアの背中から飛び出した1対の虹色の羽を軽く触ってみる。
「あ、今触りましたね!妖精の羽は神聖な」
大丈夫そうなので石鹸の泡をこれでもかと塗りつけてそっと洗う。
「エイト!それ!羽!だめ!」
ちょっと魔力を流しすぎたのかソニアはおもらしとは違う光のエフェクトを出し、悶絶した。
とりあえず流しておこう。排水溝に何か光るものが流れて行ったけれど大丈夫だろうか。
その様子を見ていたサフランがすこし引いてるようだ。彼女はランサーさんがお世話中だ。
褐色の肌に白い水着が映えるのはいいんだけれど、胸の辺りに[さふらん]と書いてあるのはたぶん幻視の類だよね。
ソニアのいたずらに違いない。
「エイトさま、私もよろしいでしょうか?」
ふと、目の前に現れた巨大山脈。
セパレートなのに隠しきれていない山脈のオパール王妃だ。久しぶりに迎賓館の大浴場に行くことを提案した本人である。
「あの、よろしいのですか?国王様にしかられたりしません?」
「魔力に長けた魔導士をあのように骨抜きにしてしまう、エイトさまの力を確認するためですわ」
先ほど運ばれていった魔導士のみなさんはいまだに更衣室でのびている様子だ。
「エイトさま、失礼します」
王妃が僕の目の前に座る。
あいにくと人妻属性は持ち合わせていないのだが、なにしろ目の毒である。
後ろから確認できるってどういう山脈なんだと自問自答している。
「そ、それではエイト行きます!」
オパール王妃の背中にスポンジをあて、あわあわを広げると王妃のイヤリングが淡く輝きだした。
「こ…この体の中から湧き上がる魔力は!!!」
王妃の様子がおかしい。身悶えるというより、あふれ出る力を抑えるような感じで耐えている。
「シルフィール、あ…あなたはエイトさまの魔力を受けてもなんともないのですか!」
王妃は双子としゃぼんごっこをしていた姫さまにたずねた。
「お母様、たしかに気分はよくなりますが、他の方のような事には」
姫さまが幼いから(かんじない)ということでもないだろう。
王妃はそのままぐったりしてしまい、ソネッタさんにより更衣室送りとなった。
その間に双子を洗う。相変わらずはちきれんばかりのイカした幼さを振りまいている。
「マスター!もうちょっと右です!」
「レーネはもうすこし左なの!」
双子でも微妙にポイントが違うらしい。
泡だらけの双子を姫さまに流してもらう。
「エイトさま、メイドの背中も流していただけますか?」
姫さまが双子に気を取られている隙を突いて、ソネッタさんがやってきた。
「はい、お願いします。じゃなかった、どうぞ!」
心の声が出てしまうあたり、まだまだ修行が足りない。
ソネッタさんの背中にあわあわを満遍なく伸ばしていく。
「エイトさま、メイドにもこの技を教えていただき、んっ!」
ビキニの紐が取れるとか、そういったハプニングは起こらず、今日の入浴タイムは終了して。
アルマとナタリアと目つきのするどいメイド、カレラさんは別件があって不参加でした。
国王さまは珍しく酔いつぶれていたので放置です。
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ぽつぽつと灯る魔導街灯の明かりを頼りに迎賓館から「自宅」へと戻る。歩いて数分の距離だ。
草むらからは虫の音が聞こえる。
もえはすでに寝てしまい、僕が抱っこしている。
双子はオパール王妃と姫さまの腕の中だ。
「シルフィールの小さい頃を思い出しますわ」
オパール王妃はレーネの髪をなでながら小さな声でつぶやく。
「赤ちゃん…か…」
姫さまは脳内暴走が始まったのかシースを抱えて非常にだらしない顔になっている。
オパール王妃は酔いつぶれたマッスルキングさんの面倒を見るので今夜は「自宅」に泊まるという。
こうして異世界の夜は更けていく。今夜はフォースムーンらしい。
3つだと思っていた月が実は4つあり、普段隠れている4つ目が見える特別な日だとか。
4番目の月は赤黒く光り、すこし不気味な感じだ。
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もえと双子、そして姫さまを寝かしつけ、僕も隣で横になる。
程なく睡魔に襲われ、意識が遠のいていく。
深夜、あんなことが起こるとは「夢」にも思わず。
血に飢えたあの人がやってきます。人かどうかわかりませんが!
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10/5
すいません。ゴーレムの少女、アルマさんがすっぽり抜けてましたので追記しましま。
ナタリアさんの手伝いのため、お風呂には参加しておりません。




